サッカーの試合で選手が行うプレスの基本的な動きや戦術

サッカーの守備で「プレス」をうまく使いこなすことは、試合の主導権を握るために非常に重要です。

しかし、「プレスをかけるタイミングがわからない」「チーム全体でプレスが連動しない」といった悩みを抱える選手や指導者も多いでしょう。

本記事では、プレスの基本的な動きから、具体的な戦術の種類、成功させるためのコツまでを徹底解説します。

プレス戦術を理解し、自分のチームに適用することで、守備力を一段階引き上げましょう。

プレスの基本的な動きと考え方

  1. ボールホルダーへのアプローチ プレスの基本は、ボールを保持している相手選手に対して積極的にアプローチすることです。重要なのは、単にボールを奪うことだけを目的にするのではなく、相手に時間とスペースを与えないようにプレッシャーをかけ続けること。例えば、プレミアリーグのリヴァプールは、相手がボールを持った瞬間に2、3人で囲い込む「ゲーゲンプレス」で相手の選択肢を完全に封じ込めます。
  2. 連携とコミュニケーション プレスは個々の能力だけでなく、チーム全体の連動が求められます。特に重要なのは、プレスをかけるタイミングの統一と、プレッシングの方向をチームで共有することです。例えば、マンチェスター・シティでは、ボールを奪う際に必ず選手同士で声を掛け合い、次に狙う相手を指定し合います。これにより、常に次の動きを先読みしてプレスをかけることが可能になります。
  3. ポジショニングの精度 プレスの精度を高めるためには、相手のパスコースを限定するようなポジショニングが求められます。プレスをかける際には、自分が動く先に相手がパスを出せないような位置取りを意識することが大切です。ポジショニングが悪いと、相手にスペースを与えてしまい、プレスを回避されてしまいます。

プレス戦術の種類と適用方法

プレスには大きく分けて3つの戦術があります。それぞれの特徴と適用方法を理解し、試合の状況に応じて使い分けることが重要です。

  1. ハイプレス ハイプレスは、相手のディフェンスラインやゴールキーパーにまで積極的にプレスをかける戦術です。相手のビルドアップを最初の段階で妨害し、早い段階でボールを奪うことを目指します。特にリヴァプールのように攻撃的なチームでは、ハイプレスから一気に攻撃へ転じることが多いです。しかし、失敗すると背後に広大なスペースを与えるリスクがあるため、フォワードだけでなく、中盤やディフェンスラインの連動が不可欠です。
  2. ミドルプレス ミドルプレスは、中盤でプレスを仕掛ける戦術です。相手が中盤でのビルドアップを進める段階でプレッシャーをかけ、ボールを奪うことを狙います。この戦術は、ハイプレスほどリスクが高くなく、守備のバランスを保ちつつ相手にプレッシャーを与えることが可能です。中盤の選手は、相手の視野を狭める動きを意識しながら、パスコースを限定する役割を担います。
  3. ロープレス ロープレスは、自陣深くで守備を固める戦術です。相手にボールを持たせつつ、自陣ゴール前で堅守を敷きます。ロープレスは、カウンターアタックを狙うチームに多く採用される戦術で、相手が攻撃を仕掛けるスペースをあえて与えておいて、ミスを誘発させます。ロープレスの成功の鍵は、ディフェンスラインのコンパクトさと、中盤の選手の戻りの速さです。

プレス戦術を成功させるための具体的なコツ

  1. 正しいプレスのタイミングを見極める プレスをかけるタイミングを見誤ると、相手に簡単にかわされてしまいます。プレスを仕掛けるベストなタイミングは、相手がミスをしやすい瞬間、例えばボールを受けた直後やパスのタイミングです。選手は常に相手の動きを観察し、狙い目を見逃さないようにする必要があります。
  2. ポジションごとの役割を明確にする プレス戦術では、各ポジションごとに明確な役割があります。フォワードは相手のセンターバックやゴールキーパーにプレッシャーをかけ、パスコースを限定します。中盤は相手の攻撃の起点となる選手に寄せ、ディフェンスラインは相手のフォワードの動きを封じます。これらの役割を理解し、全員が自分のタスクを果たすことで、プレスは初めて効果を発揮します。
  3. フィットネスとメンタルの強化 プレスを継続的に仕掛けるためには、選手のフィットネスが非常に重要です。90分間走り続けるスタミナと、集中力を切らさずにプレッシングを続けるメンタルが求められます。また、プレスを仕掛ける際のアジリティ(俊敏性)や、瞬時に相手の動きを予測する判断力も不可欠です。フィジカルトレーニングとともに、メンタルトレーニングも取り入れると良いでしょう。

失敗を防ぐためのリスク管理

プレスにはリスクも伴います。最も大きなリスクは、プレスをかけることで生じる背後のスペースを相手に突かれることです。このリスクを管理するためには、以下の点に注意する必要があります。

  1. バックアッププレーヤーの配置 プレスをかける際には、必ずバックアップの選手が必要です。特に、ディフェンスラインが高く設定されている場合、カバーリングの選手がいないと相手のロングボールに対処できません。ディフェンスリーダーがバックラインをコントロールし、常にカバーの位置を確認することが重要です。
  2. ファウルの活用 プレスが失敗した場合、相手に数的優位を与えてしまうリスクがあります。この場合、必要に応じて戦術的なファウルで相手の攻撃を止めることも選択肢の一つです。ただし、これは最後の手段であり、カードをもらうリスクもあるため、慎重に行う必要があります。

まとめ

プレス戦術はサッカーにおいて、攻守のバランスを取るために非常に重要です。

成功するためには、選手の動きの連携、ポジショニング、フィットネスが欠かせません。ハイプレス、ミドルプレス、ロープレスといった戦術を状況に応じて使い分け、効果的なプレスを仕掛けることで、相手の攻撃を封じ込めることが可能です。

試合での実践を通じて、チーム全体でプレスの精度を高めていきましょう。

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