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就職氷河期世代にとって、老後の生活が安定するための年金対策が急務です。この世代は非正規雇用が多く、年金加入期間が短いため、低年金に悩む人が多いです。
政府は、年金制度改革を通じて、厚生年金の適用範囲を拡大し、基礎年金の給付水準を改善することで、彼らの生活を支援する方針です。しかし、これには多くの課題と議論が伴います。
背景と現状
就職氷河期世代(現在40~50代)は、バブル崩壊後の経済停滞期に新卒で就職活動を行ったため、非正規雇用や短期間の労働が多くなりました。
その結果、年金加入期間が短くなり、老後の年金額が低くなる傾向があります。政府の年金財政検証では、1974年度生まれの50歳の人が65歳時点で受け取る年金額の分布を推計したところ、約4割が月10万円未満とされています。
政府の対策
政府は、2025年の年金制度改正において、氷河期世代を支援するための低年金対策を検討しています。具体的には、以下の2つの案が議論されています。
- 厚生年金の適用拡大 厚生年金の適用範囲を広げることで、非正規・短時間労働者も厚生年金に加入できるようにします。現在は従業員101人以上の企業が対象ですが、これを51人以上の企業にまで拡大し、さらに週10時間以上働く全ての人を対象にすることが検討されています。これにより、約860万人の非正規・短時間労働者が新たに厚生年金に加入できるようになります。
- 基礎年金の給付改善 厚生年金の積立金を活用して基礎年金の給付水準を改善し、減額調整の終了時期を前倒しする案もあります。これにより、所得代替率を56.2%まで引き上げ、2057年度まで続く見通しの減額調整を36年度に短縮することが可能です。
課題と議論
これらの対策には、多くの課題が伴います。
- 事業者への負担 厚生年金の適用拡大により、保険料の半分を負担する事業者の負担が増加します。特に小規模企業にとっては経営が成り立たなくなる恐れがあるため、政府は企業規模や賃金の要件を段階的に見直す方針です。
- 国庫負担の増加 基礎年金の給付改善に伴い、国庫負担が増加します。試算では2050年度時点で年1兆8000億円が追加で必要となり、増税論議が避けられない状況です。
今後の展望
これらの低年金対策が実現すれば、就職氷河期世代の老後の生活が安定し、生活保護に陥るリスクを減少させることが期待されます。
しかし、事業者や国民の負担増加に対する反発も予想され、政府・与党内での議論が難航する可能性があります。引き続き、バランスの取れた解決策を見出すことが求められます。
要点まとめ
- 就職氷河期世代の低年金問題が深刻であり、政府は年金制度改正で対策を講じる方針。
- 厚生年金の適用範囲拡大や基礎年金の給付改善が主な対策として議論されている。
- 事業者や国民の負担増加が課題であり、増税論議も避けられない。
- 政府・与党内での議論が続く中、バランスの取れた解決策が求められる。
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