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人形の日(10月15日 記念日)とは?由来や人形供養の意味、日本人形協会の役割も解説

人形の日の由来や人形供養の意味を表現したカラフルなペーパーアートと日本人形をモチーフにしたイラスト
目次

人形の日(10月15日 記念日)とは?

✅ 「人形の日」は、人形文化に感謝し、不要な人形を供養する日として1965年に制定された記念日です。
✅ 人形供養・感謝祭は全国の寺社で行われ、東京大神宮での「人形感謝祭」が代表的です。
✅ 日本人形協会および日本玩具及び人形連盟が制定に関与し、現在も日本人形協会が供養を継続しています。


10月15日は「人形の日」です。

長年大切にしてきた人形に、感謝を込めてお別れする文化を見つめ直す日です。この記事

では、なぜこの日に「人形の日」が定められたのか、どのように人々は人形を供養してきたのか、そして現代においてこの記念日が持つ意味を、さまざまな視点から丁寧に解説します。

読み進めることで、あなたも自宅に眠る人形に「ありがとう」を伝えたくなるかもしれません。

人形の日の由来:なぜ10月15日なのか

制定の背景と目的

「人形の日」は、1965年(昭和40年)に 日本人形協会日本玩具及び人形連盟 によって制定されました。

当時、日本人形の文化を後世に伝える意識が高まりつつあった時期であり、ただ飾るだけでなく、人形に宿る想いや歴史を大切にしようという願いが込められていました。

なぜ「10月15日」が選ばれたかについては、明確に文献上に理由が残っているわけではありません。

しかし、秋から冬に向かう季節の変わり目、人形を片づけ、手入れをし、感謝の機会を持つにはふさわしい時期という季節感の面で選ばれた可能性があります。

制定後の変遷

1972年(昭和47年)、制定団体側は「抜本的な検討を加える必要がある」として広報や活動を休止しました。

これには、制度的な維持の難しさや、社会の変化、活動資源の制約などが背景にあったと考えられます。

しかし、公式な後援や広報が止められても、「人形供養」を望む声はあちこちで根づき、多くの寺社が自主的に供養祭を行うようになりました。

こうして、「人形の日」は特定の団体の枠を越えて、日本全国の文化行事として定着していきました。

なぜ人形に焦点をあてたのか

日本には古くから「ひとがた(人形)」や「形代(かたしろ)」などの考えがあります。

これは、病気や穢れを人形や紙などに移して祓うという信仰と結びついています。

また、ひな祭り、端午の節句など、節句と人形を組み合わせた文化が日本の風土の中で育まれてきました。

つまり、人形は単なる飾りや玩具ではなく、「祓い」「願い」「供養」の意味を通じて、人々の精神性と密接に結びついてきた存在です。

そうした人形の慣習を取り巻く文化を、毎年振り返る日として「人形の日」が選ばれたのだと考えられます。

豆知識で知る「人形の日」の世界

人形供養とは何か

人形供養とは、不要になった人形を捨てるのではなく、寺社でお祓い・供養してもらう行為を指します。

この風習は地域や寺社によって異なりますが、共通するのは「感謝の気持ちを伝え、尊厳をもって見送る」という考え方です。

多くの寺社では、毎年10月(人形の日の前後)に「人形感謝祭」「人形供養祭」を行います。

参列者は自分の持ち寄った人形を祈祷してもらい、納めるか焚き上げをしてもらいます。

祈祷の際には、祈祷札やお札を受け取る寺社もあります。

供養対象となる人形の種類

供養される人形の種類は多岐にわたります。

ひな人形・五月人形・こけし・博多人形・木目込人形・市松人形・やまと人形など、伝統的な木製・陶磁器・木彫りの人形も多いです。

加えて、ぬいぐるみや人形の衣装、抱き人形といった「思い出の品」も受け入れられることがあります(ただし寺社によって制限あり)。

人形にまつわる信仰・思想

日本では、物に魂や霊性が宿るという信仰(アニミズム)が古くからあります。

そこから、人形にも魂が宿ると考え、人形を粗末に扱うことを避ける風潮が育まれました。

また、人形を通じて人間の願いを表すという考え方もあります。

ひな人形を通じて災厄を祓ったり、子どもの成長や幸せを祈ったりする行為は、祈りと願いをかたちにするという文化です。

人形の日と他の節句・行事との関係

  • 桃の節句(3月3日):ひな人形を飾り、無病息災・成長を祈る行事。人形=祓いや身代わりの意味を持っています。
  • 端午の節句(5月5日):五月人形や武具を飾り、男児の成長と家の繁栄を祈ります。
  • 人形の日(10月15日):これら“かざる”フェーズの後、“しまい・供養”を意味する節目の日ともいえます。

地域ごとの特色・面白事情

地方によっては、地域の人形店や文化施設が記念展を開くことがあります。

また、お寺によっては人形供養のほか、人形アート展や人形供養講座を同時開催するケースもあります。

こうした動きが、伝統と現代アートを結びつけ、新たな人形文化の芽を育んでいます。

関わる人物・団体・歴史の紆余曲折

日本人形協会の歩み

日本人形協会の前身は、1955年(昭和30年)に設立された「日本人形協会」です。

その後、1973年(昭和48年)6月に「日本ひな人形協会」として再編され、現在の一般社団法人・日本人形協会へと引き継がれています。

拠点は東京都台東区台東。伝統人形文化の振興、保存、普及を目的に活動しています。

この団体は、人形の展示会や講演、研究を支援するだけでなく、全国から不要な人形を引き取り、毎年10月に東京大神宮で人形感謝祭を実施しています。

そこでは祈祷・供養が行われ、持ち主の思い出とともに人形が丁寧に見送られます。

日本玩具及び人形連盟の役割

日本玩具及び人形連盟は、玩具および人形の業界団体として、人形の日制定時に深く関与しました。

玩具と人形は遊びと文化の結びつきという点で重なりがあるため、連盟の協力は記念日の意義を広めるうえで不可欠でした。

寺社・神社での寄与

寺社は、人形の日を実際に体現する舞台です。

特に 東京大神宮 は、日本人形協会と協力し、人形感謝祭を行う中心的施設です。

また、全国では淡嶋神社(和歌山県)など、多くの神社仏閣が人形供養を受け入れており、地元住民や人形所有者にとって供養先として重要な場所になっています。

実例・エピソード:地域の人形供養の記録

ある地方の小さなお寺では、地域住民から集まったこけしやぬいぐるみ、人形を一堂に集め、10月の一日を“人形供養祭”として年中行事としました。

持ち主が手紙を添え、子どもの成長や思い出を書き添える姿もあり、訪れる人々が目頭を赤くする場面も見られます。

また、文化施設が地元の大正・昭和期の市松人形を展示しつつ、合わせて人形供養の小さな式を催す例もあります。

こうした現場のドラマこそが、人形の日を単なる「記念日」ではなく、「心を動かす文化体験」にしているのです。

人形の日に関するよくある質問

以下は、多くの人が感じる疑問とその回答です。

Q1:どのような人形でも供養できますか?
基本的には、ひな人形・五月人形・こけし・博多人形・ぬいぐるみなど幅広く受け入れられています。
ただし、寺社によっては材質(ガラス製、陶磁器、プラスチックなど)や状態(破損の程度)によって受付可否を制限する場合があります。

Q2:供養料金はいくらくらいですか?
多くの寺社では「志納金(お気持ち)」という形で、お布施を求められます。
一般的な目安としては一体あたり500〜1,000円程度、場合によっては複数体で3,000円前後というところもあります。
ただし、寺社の規模・地域・供養方法によってばらつきがあります。

Q3:持ち込み時の注意点は?
・事前予約が必要な寺社もあります。
・人形を段ボールなどで包んで持参するのが礼儀とされています。
・壊れかけた部品や服飾小物がある場合、まとめて包んでおくとよいです。
・供養祭開催日を確認し、その前後に持ち込むことを心がけましょう。

Q4:郵送・宅配での供養は可能ですか?
一部の寺社では、郵送や宅配で人形を受け付けているところがあります。
ただし、送料や梱包方法、受け入れ可否などを問い合わせて確認が必要です。
また、郵送では「思いを伝える儀式感」が薄れがちなので、できれば直接持参する方が望ましいです。

Q5:人形を残したい場合の選択肢はありますか?
供養して見送る以外にも、次のような選択肢があります:

  • 写真を撮影して、思い出として残す
  • リサイクル寄付:人形を施設や人形専門店、博物館に寄贈する
  • メンテナンスや修繕をして保管する
  • 部品を使ってインテリアアートにリメイクする

これらにより、物理的に手放すことなく、思い出や文化価値を次世代につなぐこともできます。

人形の日を体験する方法・アイデア

供養に参加する

10月15日前後には、東京大神宮などで人形感謝祭が行われます。
自分の人形を持ち込み、祈祷やお祓いを体験することで、心の整理や感謝の時間を持てます。

写真や記録を残す

人形を手放す前に、写真を撮ったり、思い出を文章に残してみてください。
後日、見返すことで、改めてその存在の意味をかみしめられます。

小さな供養儀式を自宅で

拝礼の手順を真似て、感謝の言葉を唱え、花やお札を飾って見送ることもできます。
こうした手作りの供養は、心を穏やかにし、自分なりの節目にできます。

展覧会やワークショップに足を運ぶ

人形文化を扱う展示会や、地域の人形作家によるワークショップに参加することで、人形の魅力や技術を学び、記念日をより豊かな体験にできます。

人形を次につなぐ

供養だけでなく、博物館や地域文化施設へ供与する、修復を手がける団体に寄付するなど、物語を次へつなぐ行動も可能です。

実録エピソード:ある人形と家族の時間

幼少期、リカちゃん人形を手に取って遊ぶ時間が、誰にとっても懐かしい思い出ではないでしょうか。

ある女性は、祖母がくれた市松人形をずっと保管していました。

年月とともに埃をかぶり、部品のひとつが壊れてしまったとき、捨ててしまうかどうか迷ったそうです。

人形の日を知って、東京大神宮の人形感謝祭に持ち込んだところ、神職が手を合わせ、持ち主の思いを祈祷してくれたといいます。

その瞬間、「ただの物」だった人形が再び家族の一員のように扱われ、心が温かくなったと語っています。

このような体験談は全国で少なからず共有され、「物を大切にすること」「想いを言葉にすること」の大切さを伝えています。

人形の日を未来につなげる意味

人形の日は、単なる行事ではありません。

それは、物を敬い、記憶をつなぎ、文化を再発見する機会です。

現代社会では、モノがあふれ、使い捨てられる傾向があります。

そんな中で、人形という “思い出を宿すモノ” を丁寧に扱う文化を持ち続けるということは、日常の中に “祈り” や “感謝” を取り戻すということです。

また、若い世代や子どもたちにも、この文化を伝えることは重要です。

ワークショップ、学校教材、地域イベントなどで「人形の日」を意識した取り組みを広げることは、次世代につながるアクションです。

人形の日をきっかけに、家族や地域で人形にまつわる話を共有する機会が増えれば、記念日としての存在感はより強まるでしょう。

まとめ:人形の日──ありがとうをかたちにする日

人形の日(10月15日)は、日本人形協会と日本玩具及び人形連盟が1965年に制定した記念日で、人形文化への感謝と人形供養を表す日です。

公式活動は1972年に一時休止されましたが、その精神は全国の寺社での供養祭を通じて今も息づいています。

この記念日は、ただ忘れられた人形を供養するだけでなく、物に対する敬意、思い出を紡ぐ力、文化を伝える役割を帯びています。

自宅に眠る人形たちに「ありがとう」を伝えることで、心が整理され、感謝の気持ちが自然と湧いてくるでしょう。

これからの人形の日には、
・自宅での小さな供養儀式
・寺社へ持ち込み祈祷
・展示会やワークショップへの参加
など、あなたに合った方法で関わってみてください。

人形は、あなたの人生の一部です。
その存在に、もう一度、優しいまなざしを。

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