世界手洗いの日(10月15日)はどんな日?
✅ 10月15日は「世界手洗いの日 (Global Handwashing Day)」として、石鹸を使った正しい手洗いの重要性を世界に広める日です。
✅ この記念日は、2008年(国際衛生年)に官民パートナーシップ(PPPHW)によって制定され、現在はGlobal Handwashing Partnership(GHP)が主導しています。
✅ ユニセフ、世界銀行、日本ユニセフ協会、ライオン株式会社、花王株式会社などが中心となって、世界中と日本で普及活動を行っています。
「手を洗う」ことは、子どものころから教えられる基本動作ですが、それが“世界を変える力”を持つ行為だとしたら、どう感じるでしょうか。
この記念日は、ただの衛生啓発日ではなく、日々の暮らしを守る「小さな革命」を世界に広げるための旗印です。
年に一度、この日をきっかけに、正しい手洗いを見直し、地域や家族で伝え合うきっかけにしていただきたいと思います。
以下では、この記念日の由来、豆知識、関係者、よくある質問、そしてあなた自身ができることまで、丁寧にご紹介します。
世界手洗いの日の由来とその歩み
記念日誕生の背景:なぜ2008年10月15日なのか?
世界手洗いの日 (Global Handwashing Day) は、2008年(平成20年)の「国際衛生年 (International Year of Sanitation)」の流れの中で制定されました。
この年、世界的にトイレ・衛生の問題、下水設備、水質改善といった“衛生環境”への強い関心が向けられていました。
その一環で、「単に施設をつくるだけではなく、人々の行動変容を促すことが不可欠」という観点から、石鹸を使った手洗いの普及が重要視されました。
この流れを受けて、官民パートナーシップ「PPPHW(Public Private Partnership for Handwashing)」が設立され、「10月15日」を“世界手洗いの日”とする記念日を制定。
その日付は、明確な由来というより、衛生年キャンペーン全体の中でタイミングを合わせたものと考えられています。
その後、PPPHWは「Global Handwashing Partnership(GHP)」と名称変更し、国際機関、政府、民間企業、NGOなどが協力して、手洗い普及活動を継続する体制が整えられました。
制定から今日まで:普及の歩み
- 記念日制定直後から、各国で学校や地域を対象とした手洗い教育プログラムやイベントが始まりました。
- GHPは各国政府やNGO、企業との連携を通し、教育用教材、ポスター、動画、イベントガイドを作成・共有。
- 日本では、日本ユニセフ協会が中心になり、ライオン・花王などが賛同し、学校での手洗い教室、ポスター配布、SNSキャンペーンなどを展開。
- 時代とともに、デジタルメディア(YouTube、Instagram、TikTok など)を利用したキャンペーンも加わり、若年層への訴求も強化されています。
- 感染症の流行期(例:インフルエンザ流行、COVID‑19)には「手洗いの重要性」が再注目され、記念日の存在も広く知られるようになりました。
このように、「建物をつくる・水道を整備する」だけでなく、人々の日々の行動に変化を起こすことを目指した意味で、世界手洗いの日は衛生啓発運動の中でもユニークな位置を占めています。
世界手洗いの日に関する豆知識:意外と知らない手洗いの力
石鹸で洗う意味とは?ただの水洗いでは足りない理由
流水だけで手を洗っても、目に見えないウイルスや細菌はなかなか落とせません。
石鹸は、界面活性剤や界面活性成分を含み、皮脂や油脂を浮かせ、水とともに洗い流す性質があります。
さらに、包み込むようにウイルスや細菌を取り囲み、膜構造を破壊したり分解したりする働きもあります。
このため、「石鹸での手洗い」は病原体を物理的かつ化学的に取り除く効果を持つと言われています。
手洗いタイミングと“手のどこを洗うか”がカギ
正しいタイミングと部位が手洗いの効果を大きく左右します。たとえ
ば、外出先から帰ったとき、トイレ後、調理前、食事前後、動物と触れた後、鼻をかんだ後など。
また、手のひら・手の甲・指の間・爪の間・指先・親指・手首部分まで、まんべんなく石鹸を行き渡らせ、20秒以上かけてこすり洗いするのが理想です。
よく知られた手洗い手順として「ハッピーバースデーを2回歌う」などの目安時間がありますが、実際には「ゆっくり・すみずみまで」が重要です。
手洗いは「最も安価なワクチン」
たとえば、インフルエンザ、ノロウイルス、風邪ウイルスなど、飛沫や接触を介して広がる感染症は多く存在します。
石鹸での手洗いが、これらの感染拡大を抑える“第一防衛線”として機能します。
特に、衛生設備が整っていない地域では、この“安くて誰にでもできる対策”が貴重な命綱となるのです。
また、エボラ出血熱のような致命性の高い感染症拡大抑止策としても、ユニセフなどは手洗いの徹底を強く訴えています。
もちろん手洗いだけで完全に防げるわけではありませんが、“最初の一歩”として、かけがえのない意義があります。
手洗い普及の壁・挑戦
ただ、手洗いを“習慣”として根付かせるには、多くのハードルがあります。
- 石鹸や水を手に入れにくい地域では、資材・インフラの不足
- 習慣づけの難しさ、特に幼児や児童に対する教育方法
- 無関心や“めんどうだ”という心理的な抵抗
- 正しい手洗いをしていると感じていても、実は不十分な洗い方にとどまるケース
これらの課題を克服するため、記念日を活かした教育イベント、ポスター掲示、啓発動画、実演パフォーマンス(手洗いダンスなど)など、さまざまな工夫が世界中で行われています。
世界手洗いの日と関係する人物・組織・国々の役割
Global Handwashing Partnership(GHP)
この官民パートナーシップは、ユニセフ、世界銀行、NGO、企業などが集まり、記念日を中心に手洗い普及を推進する枠組みです。
GHPは啓発用ツール(指導マニュアル、教育キット、動画、ポスターなど)を作成し、各国がそれを取り入れて展開できるよう支援します。
また、効果測定(普及度、行動変化)や政策提言も行います。
ユニセフ(UNICEF)
ユニセフは、世界中で子どもと母親の健康を守る国連機関であり、水・衛生・衛生教育(WASH)を重視しています。
多くの途上国で、学校のトイレ整備や衛生教育プログラムを支える中で、手洗い教育は重要な柱の一つです。
世界手洗いの日の啓発や運営にも、ユニセフが強く関わっています。
世界銀行(World Bank)
主として開発援助・インフラ支援を行う機関ですが、衛生改善・上下水道整備などにも関わります。
GHPにおいて、衛生インフラと人の行動変容を結びつける視点で関与しています。
日本ユニセフ協会・ライオン・花王など(日本での取り組み)
日本では、日本ユニセフ協会が記念日の普及窓口的役割を担い、各地で手洗い教室やイベントを実施します。
ライオン株式会社、花王株式会社などが賛同企業として支援し、石鹸・ハンドソープ製品の提供、教材作成、啓発キャンペーンなどを共同で行っています。
これにより、学校、地域、家庭単位で手洗い習慣を広げる支援が行われています。
国・地域別の特色ある取り組み
- インドやバングラデシュなどでは、学校単位で手洗い施設設置+児童への“手洗いチャレンジ”キャンペーン
- アフリカ諸国では、コミュニティ広場、教会、保健センターなどで手洗いステーションを設置
- ラテンアメリカ・カリブ地域では、衛生週間と連動して手洗いの普及イベントを展開
- 欧州・北米では、デジタルメディアを活用した啓発動画やSNS拡散企画で若者に訴求
こうした多様な取り組みが、記念日をきっかけに地域の実態に即した方法で実施されています。
世界手洗いの日に関するよくある質問(拡張版)
Q1. 手洗いとハンドサニタイザー(アルコール消毒液)、どちらがいいの?
A1. アルコール消毒液は、手がきれいな状態であれば便利ですが、目に見える汚れがある場合は石鹸と水による手洗いが優先されます。
石鹸は物理的に汚れを落とす力があるため、まず「石鹸での手洗い」が基本、その後にアルコール消毒を補助的に使うのが理想的です。
Q2. 石鹸が手にない場合、何を使えばいい?
A2. 水洗いだけでも多少の効果はありますが、十分ではありません。
可能であればアルコール消毒液を使い、手洗いできる環境が整ったら石鹸を使って洗うのが望ましいです。また
、石鹸代替として安全なハンドソープ、固形石鹸、液体石鹸などを備えておくことも重要です。
Q3. 小さな子どもに手洗い習慣を定着させるにはどうすれば?
A3. 以下の工夫が有効です:
- 歌やリズム、手洗いダンスを取り入れて「楽しい時間」にする
- カラフルなポスターやステッカーで手洗いスポットを可視化
- 手洗いチェックリストやスタンプラリーで達成感をつくる
- 家族で手洗いルールを共有し、親自身がお手本を見せる
- よく使う場所(洗面所、トイレ)に目につく注意書きを貼る
Q4. 手洗いの普及にはどんな課題がある?
A4. 代表的な課題には次のようなものがあります:
- 石鹸や水が届かない地域のインフラ整備
- 手洗いの“習慣化”には時間と継続が必要
- 意識はあっても “つい省略” してしまう心理的障壁
- 教育資源や教材、教師の専門知識の不足
- 流行時以外の関心の低下
これらを想定し、記念日を契機に地域・学校・家庭を巻き込む啓発体制をつくることが鍵です。
Q5. 記念日をきっかけに私にできる具体的な行動は?
A5. 以下のような行動が可能です:
- 自宅や職場で“正しい手洗い”を改めて実践・確認
- SNSで手洗いの写真や手順動画を発信/共有
- 学校や地域のイベントに参加または協力する
- 子どもや友人と手洗いチャレンジを始める
- 寄付やボランティアで衛生支援団体を応援
あなた自身が始められる、手洗い習慣の見直しと拡げ方
この章では、読者のあなたが即実践できる “手洗いをより確実に・楽しく・広げる” 方法をご紹介します。
日常生活で見直すポイント
- 洗う箇所を見直す
手のひら、手の甲、指の間、指先、親指、爪の間、手首部分まで意識して洗いましょう。 - 洗う時間を確保する
最低20秒以上を目安に。歌やリズムを使って時間を測るのも手です。 - 洗う前後の動作を意識する
蛇口やドアノブに触る前後、ティッシュ・ハンカチ使用後など、「触る」行動を意識して洗う習慣をつけましょう。 - 見える仕掛けを使う
洗面台に手順ポスター、ステッカー、鏡メッセージなどを貼って、“手洗いスポット”として意識づけます。 - 家族・仲間との共有
手洗いルールやチェックリストを共有し、進捗を楽しむゲーム的要素を取り入れましょう。
地域・学校・職場でできるアクション
- 手洗い講習や実演会を企画する
- ポスター掲示、パンフレット配布、啓発展示を設置
- 手洗いチャレンジ、イベント、スタンプラリー等で参加意欲を引き出す
- SNSや地域掲示板で手洗い動画や啓発メッセージを発信
- 衛生支援団体や学校と連携して教材や石鹸提供の協力をする
こうしたアクションは小さくても、記念日を契機に継続すれば大きな変化につながります。
世界手洗いの日(10月15日)から始まる小さな革命
10月15日の世界手洗いの日は、ただの記念日ではありません。
日常にある“手を洗う”という行為を、世界中で見直し、広げていくための旗印です。
ユニセフ、GHP、企業、学校、コミュニティが手を取り合い、手洗いの習慣を普遍化しようと努力しています。
その背景には、「一つのうすい習慣が人々の健康を変え、命を守る」という信念があります。
あなた自身が、家族や職場・地域で率先して“正しい手洗い”を実践し、それを伝える役割を果たせます。
手洗いは、お金も技術も要らない。けれど、世界を変える力を秘めた行動です。
10月15日をきっかけに、あなたの手洗い習慣を見直してみてください。
そして、その一歩を周りの人にも伝えてみてください。
小さな一滴の水と石鹸が、命を守る大きな波になる日を、心から願っています。
