佐久鯉誕生の日（1月6日）はどんな日？
✅ 1746年、信州佐久の篠澤佐吾衛門包道が伊勢神宮へ鯉料理を献上した記録の日。
✅ その献上記録が全国ブランド「佐久鯉」の最古の史実とされている。
✅ 篠澤明剛氏（佐久ホテル社長）が制定し、日本記念日協会が認定・登録した記念日。
日本が誇る伝統食のひとつに「鯉料理」があります。
その中でも長野県佐久市の「佐久鯉」は、江戸時代から続く歴史と、地域が育んだ風土の味として全国的に知られています。佐久鯉の起源を示す記録が残る1月6日は、今や「佐久鯉誕生の日」として記念日になっています。
なぜこの日なのか。
どうして佐久で鯉が特別な魚になったのか。そして、現代にどんな意味を持っているのか。
ここでは、佐久鯉誕生の日の背景から、豆知識、関連する人物・団体の物語まで、じっくりとご紹介します。
「佐久鯉って聞いたことはあるけどよく知らない…」
そんな方でも、この記事を読めば佐久鯉の魅力と歴史がわかり、誰かに話したくなる内容になっています。
どうぞ最後までお読みください。
佐久鯉誕生の日の由来 — 江戸時代の鯉料理が現代まで語り継がれる理由
佐久鯉の歴史は、1746年（延享3年）1月6日に遡ります。
信州佐久の地で暮らしていた「篠澤佐吾衛門包道（ささざわ さごえもん かねみち）」は、地元で獲れた鯉を巧みに調理し、伊勢神宮の神主に献上しました。
ただの献上ではありません。
神聖な場所である伊勢神宮に献上されたという事実が、人々の目に留まり、それが佐久の鯉料理の歴史的なスタートとなったのです。
現代では当たり前に思える“ご当地食”も、江戸時代の人々にとっては日常の延長線上にあったわけではありませんでした。
ましてや、遠く離れた伊勢神宮へ献上するという行為は、地元の味と誇りを全国レベルに見せる挑戦だったとも言えます。
この佐久での献上が、後の「佐久鯉ブランド」の礎となりました。
その意味を後世へ伝えていきたいという想いから、1月6日は「佐久鯉誕生の日」として記念日になっています。
なぜ佐久で鯉が育まれたのか？ — 気候・風土が生んだ秀逸な味
ここで気になるのが、“なぜ佐久で鯉がこんなに評価されるのか？”という点です。
その答えは、佐久地方の自然環境そのものが関係しています。佐久は山々に囲まれ、標高が高く冷涼な気候で知られています。
そして、千曲川（信濃川）の清冽な流れが地域の水を育んでいます。鯉はもともと清流を好む魚ですが、佐久の水は特に透明度が高く、ミネラルバランスに富んでいます。
この環境下で育つ鯉は、身が締まっていてクセがなく、淡白で深い味わいになります。
そのため「佐久鯉」は単なるご当地魚ではなく、全国の食通たちから一目置かれる存在になっていったのです。昭和初期には佐久鯉の養殖が盛んになり、日本一の生産量を誇るまでになりました。
そればかりか、宮内省（現在の宮内庁）や旧陸軍の御用達として扱われるほどの評価を受けています。
この歴史的な評価は、佐久鯉が持つ品質の高さを表しています。
佐久鯉誕生の日が持つ地域文化としての意味
佐久鯉誕生の日は単なる食文化の記念日ではありません。
佐久の人々にとって、鯉は“祝いの魚”であり、“縁起物”として親しまれてきました。鯉は力強く泳ぐ姿から「立身出世」の象徴とされ、古くから祝宴や祭事で欠かせない存在でした。
今でも佐久市では、正月や婚礼の席で鯉料理が供されることがあり、地域の食文化として深く根付いています。
また、年に一度行われる「鯉料理フェア」や地域のイベントでは、老若男女問わず多くの人が佐久鯉を味わいに訪れます。
こうした地域一体となった取り組みが、佐久鯉を単なるブランドではなく、文化として根付かせているのです。
「佐久鯉誕生の日」を制定した人物とその想い
この記念日を提案し、実際に制定へと導いたのは、佐久市にある老舗旅館「佐久ホテル」の社長、篠澤明剛（しのざわ あきよし）氏です。
佐久ホテルは創業から350年以上続く歴史ある旅館で、篠澤家は代々その伝統を守ってきました。包道が伊勢神宮へ鯉料理を献上したという記録と、その由来は、篠澤家に伝わる古文書として現代まで大切に保管されてきました。
この史実を世の中に広く伝えたいという強い思いから、篠澤氏は「佐久鯉誕生の日」を制定しました。その想いは、日本記念日協会によって正式に認定登録されたことで、地域の誇りとしてさらに高まりました。
佐久市の人々や観光関係者、養鯉業者など多くの関係者が、この日を通じて佐久鯉の歴史と魅力を発信しています。
佐久鯉に関する豆知識 — 食べ方や文化的背景を深掘り
🍽 佐久鯉料理の定番とは？
鯉は調理法によって味が大きく変わります。佐久では、以下のスタイルが人気です。
- 鯉こく
鯉を味噌仕立てで煮込んだ逸品です。コクがあり、温かい汁が体を芯から温めます。 - 鯉のあらい
新鮮な鯉を薄造りにし、酢みそや生姜と一緒にいただく料理です。身が締まっていて歯ごたえが楽しめます。 - 鯉の甘煮
醤油と砂糖でじっくり煮込んだ甘い味付けが特徴で、骨まで柔らかく食べられる人気メニューです。
鯉は縁起物？
鯉は古来より日本で「縁起の良い魚」とされてきました。
中国から伝わる故事で、鯉が滝を登りきると龍になるという伝説があります。
この故事から日本でも“努力して成功をつかむ”という象徴になり、祝いの席で鯉料理が振る舞われるようになったのです。
佐久鯉はなぜ臭みがない？
鯉料理を敬遠する理由として「泥臭さ」が挙がることがあります。
しかし佐久鯉は清流で育ち、飼育段階で徹底した水管理をおこなっているため、臭みがほとんどありません。そのため初めて鯉料理を食べる人でも楽しめる味になっています。
よくある質問（FAQ）
Q1：佐久鯉はどこで購入できますか？
A：佐久市内の直売所、道の駅、特産物の販売所、オンライン通販でも購入できます。観光シーズンには駅前やイベント会場でも見かけます。
Q2：鯉料理はどんな味ですか？
A：淡白でクセがなく、調理法によって多彩な味わいを楽しめます。特に鯉のあらいや鯉こくは地元でも人気です。
Q3：佐久鯉誕生の日に何かイベントはありますか？
A：地域の飲食店で鯉料理フェアが開催されたり、佐久市内の観光協会がPRイベントを開催することがあります。
まとめ — 佐久鯉誕生の日は歴史・文化・味をつなぐ記念日
佐久鯉誕生の日（1月6日）は、ただの“食の記念日”ではありません。
江戸時代の逸話から現代の地域ブランドまで、佐久という土地の歴史、文化、そして人々の想いが詰まった特別な日です。
鯉を通して見える佐久の風土と人々の暮らし。
それは単なる“ご当地グルメ”の枠を超え、日本の食文化の一端を示しています。
この日をきっかけに、佐久鯉のことを深く知り、味わい、そして語っていただけたら嬉しいです。