ケンピの日(1月7日 記念日)はどんな日?
✅ 江戸時代に高知の老舗「西川屋老舗」が創製した土佐伝統の焼き菓子「ケンピ」を讃える記念日。
✅ ケンピは芋けんぴとは異なる、小麦粉と砂糖で作られる堅くて素朴な干菓子。
✅ 「ケンピの日」は、西川屋が土佐藩初代藩主に献上した1601年1月7日(旧暦)にちなんで制定。
江戸時代から愛され続ける「ケンピ」の魅力を知る日
カリッ、コリッと噛むたびに響く、心地よい音。
じんわりと広がるやさしい甘さ。それが、土佐の伝統菓子「ケンピ」の醍醐味です。
1月7日は、そんなケンピの魅力を再発見する「ケンピの日」。
この日は、高知県高知市の老舗菓子舗「西川屋老舗」が制定した記念日で、2024年に日本記念日協会によって正式に認定されました。
土佐の地で長年受け継がれてきた「ケンピ」は、小麦粉と砂糖を主原料とした焼き菓子。
パッと見た感じでは「芋けんぴ?」と思う人も多いかもしれませんが、実はまったく別のお菓子です。
この記事では、ケンピの由来や歴史、芋けんぴとの違い、記念日を制定した西川屋老舗の物語まで、思わず人に話したくなるエピソードをたっぷりとご紹介します。
ケンピの日の由来とは?伝統と格式に裏打ちされた日付の意味
ケンピの日が「1月7日」とされた理由には、ただならぬ歴史的背景があります。
それは、今から400年以上も前、1601年(慶長6年)の旧暦1月7日。高知の地に土佐藩が誕生し、初代藩主・山内一豊公が入国した年のことでした。
その山内一豊に献上された一品が、西川屋の祖先によって作られた「ケンピ」です。
当時、白髪素麺の製法をヒントに生み出されたそのお菓子は、小麦粉・砂糖・卵を練って延ばし、細く切って焼き上げた干菓子でした。
その堅さから「堅干(けんぴ)」と名づけられたのが、現在の「ケンピ」の始まりです。一豊公はこの菓子をいたく気に入り、献上品として採用。
西川屋の祖先はその功績により、藩の御用菓子司としての任を仰せつかります。
この歴史ある始まりの年の、しかも献上が行われたとされる日が1月7日。この日にちなんで、「ケンピの日」が定められたのです。
ただの記念日ではありません。それは、土佐の誇りと職人の魂、そして藩政時代から続く菓子文化の象徴ともいえる日なのです。
ケンピと芋けんぴの違いとは?勘違いされやすいけれど全くの別物
ケンピと聞いて、「ああ、芋けんぴのことね」と思ったあなた。
実はそれ、大きな勘違いです。確かに、どちらも細長く、見た目は似ています。
でも、使われている素材も、作り方も、味も、まるで別物。
本家・ケンピは、小麦粉と砂糖をベースに、少量の卵を加えて練り、生地を細くカットして焼き上げる干菓子。
揚げていないので、油っぽさはゼロ。パリッとした軽快な食感と、じんわり広がる素朴な甘さが特徴です。
一方、芋けんぴは、大正時代に高知県東部で誕生した、サツマイモを使ったお菓子。細切りにした芋を油で揚げ、砂糖でコーティングしたもので、見た目はケンピそっくりですが、まったく違うルーツを持っています。
芋けんぴの「けんぴ」という呼び名は、形がケンピに似ていたことから名付けられたという、いわば“派生系”。
つまり、ケンピこそが“元祖”なのです。
「ケンピの日」は、この誤解を解き、ケンピという伝統菓子の存在とその魅力を、もっと多くの人に知ってもらうために誕生しました。
ケンピの日を制定した「西川屋老舗」の知られざる物語
この「ケンピの日」を制定したのが、高知県高知市に本店を構える「西川屋老舗」。
創業はなんと江戸時代、元禄年間の1688年。初代・西川屋才兵衛が赤岡町に構えた店舗を皮切りに、その味と技術は時代を超えて受け継がれてきました。
西川屋の祖先は、白髪素麺や麩の製造も手がけ、土佐藩の御用商人として仕えていました。その中で生まれた創作菓子が「ケンピ」。
御用菓子司としての誇りを胸に、時代の変化の中でも変わらぬ手仕事で菓子を作り続けています。
また、1950年(昭和25年)には、当時の天皇陛下に「梅不し」や「ケンピ」が献上されるなど、格式と技術の高さが認められてきました。
「老舗」という言葉がこれほどふさわしい店は、なかなかありません。西川屋のケンピは、今でも保存料を一切使わず、素材そのものの味を大切にしています。
噛めばカリッと響き、じわりと広がる懐かしい甘さは、現代人の心にも沁みる味。まさに、“静かに語る歴史”を感じさせてくれる逸品です。
ケンピの日に関するよくある質問
Q1:ケンピはどこで購入できますか?
A:高知県内の「西川屋老舗」各店舗、および公式オンラインショップで購入可能です。全国配送にも対応しています。
Q2:「ケンピ」と「芋けんぴ」のどちらが古い?
A:ケンピの方が古く、江戸時代から続く伝統菓子です。芋けんぴは大正時代に誕生しました。
Q3:ケンピの日はなぜ1月7日なの?
A:1601年(慶長6年)の旧暦1月7日、西川屋の祖先が山内一豊公にケンピを献上したことにちなみます。
ケンピの日(1月7日 記念日)のまとめ
1月7日は、単なるお菓子の記念日ではありません。
それは、高知という地に根付き、400年以上の歴史を持つ「ケンピ」という伝統の証を称える大切な日です。「堅干」という名の通り、素朴でいて、どこか懐かしく、しっかりとした味わいのケンピ。
その背後には、西川屋老舗という“物語を紡ぐ職人集団”の存在があります。
ケンピの日をきっかけに、日常の中でふと手に取るお菓子が、こんなにも奥深い文化と歴史を持っているということを、ぜひ知っていただきたいと思います。そしていつか、大切な人と一緒に、カリッと噛みしめてほしい。
それは、まるで小さな“時代のかけら”を味わうような、そんなひとときになるかもしれません。
