ホーリー・スリー・キングス・デー(1月6日 記念日)はどんな日?
✅ 幼子イエスに贈り物を届けた東方の三博士の訪問を記念するキリスト教の祝日です。
✅ クリスマスの締めくくりの日とされ、ツリーやオーナメントを片付ける習慣があります。
✅ 東方の三博士(メルキオール、カスパール、バルタザール)とキリスト教諸派が深く関係しています。
目に見えるものだけが「贈り物」ではありません。
誰かを思う気持ち、遠く離れた存在に導かれる直感、そして信じる力もまた、かけがえのない贈り物です。1月6日は、そんな見えない宝物を届けに旅した、3人の王の物語が祝われる日。
その名も「ホーリー・スリー・キングス・デー(Three Kings’ Day)」。
あまり日本では知られていませんが、世界ではこの日を“もうひとつのクリスマス”として、大切にお祝いする国がたくさんあります。
ここでは、「なぜ1月6日なの?」「三人の王様って誰?」「この日は何をするの?」といった疑問に答えながら、この記念日の魅力をたっぷりご紹介します。
ツリーの飾りを片付けるその手を、ちょっと止めて。三博士が導いた“星の意味”に、耳を傾けてみませんか?
東方の三博士が贈った想いとは?ホーリー・スリー・キングス・デーの由来
1月6日は、キリスト教において「公現節(エピファニー)」と呼ばれる特別な日です。
「公現」とは、“神の姿が世に現れたこと”を意味する言葉。つまり、神の子であるイエス・キリストが、世界へとその存在を示した日として祝われています。
この「公現」の象徴とされるのが、「東方の三博士」の訪問です。
彼らは、それぞれ
- メルキオール(年老いた白人の王)
- カスパール(若いアジア系の王)
- バルタザール(アフリカ系の王)
という姿で表され、世界の多様性と、すべての人々への救済を意味しています。
三博士は、夜空に現れた「ベツレヘムの星」に導かれ、遠く東の国から長い旅をして、ベツレヘムに生まれたイエスのもとを訪れました。
彼らが捧げた贈り物には、それぞれ深い意味があります。
- 黄金:イエスの「王」としての権威
- 乳香:神への祈りや神聖さの象徴
- 没薬:人としての「死」を予兆する香油
この物語は『マタイによる福音書』第2章に記されており、キリスト教の伝統において非常に重要な意味を持っています。
クリスマス(12月25日)からちょうど12日目であることから、この1月6日は「十二夜の終わり」としても知られます。
ここで、クリスマスの物語はクライマックスを迎え、静かに幕を閉じるのです。
世界中で祝われるホーリー・スリー・キングス・デーの豆知識
この日は世界各国で祝い方が異なり、それぞれの文化が色濃く反映されています。
それがこの記念日の面白さでもあり、豊かさでもあります。例えばスペインやメキシコでは、1月6日はクリスマス以上に盛り上がる“プレゼントの日”。
子どもたちは前夜に靴を窓辺に置き、朝になると三博士からの贈り物が中に入っているというのです。
また、フランスでは「ガレット・デ・ロワ(王様のケーキ)」というアーモンドクリーム入りのパイを食べます。
このケーキの中には“フェーヴ”と呼ばれる陶器の小さな人形が1つだけ入っていて、それを引き当てた人は王冠をかぶり、その日一日“王様”になれるのです。イタリアでは“三博士”の代わりに、魔女ベファーナが登場。
善い子にはお菓子、悪い子には炭を靴下に入れていくという、ちょっと不思議でかわいい風習もあります。
そしてドイツでは、子どもたちが三博士の衣装を着て家々を回り、「C+M+B」という印をドアに記して祝福を与える習慣も。
この「C+M+B」は、三博士の頭文字と思われがちですが、実はラテン語の「Christus Mansionem Benedicat(キリストがこの家を祝福します)」の略とも言われています。
このように、ホーリー・スリー・キングス・デーは「国によって全く違う表現をされながらも、同じ物語を祝っている」特別な日なのです。
ホーリー・スリー・キングス・デーに関わる人と組織
この日を語る上で欠かせないのが、「東方の三博士」。
彼らは単なる登場人物ではなく、キリスト教世界における象徴的な存在です。
3人がそれぞれ異なる年齢、人種、地域を表すことで、“イエスがすべての民族・すべての人類の救い主である”というメッセージが込められています。
また、彼らの旅には、見えない神の導き=「信仰」が描かれています。
聖書では「博士たちは夢の中で告げられて別の道から帰った」とされており、これはヘロデ王の悪意からイエスを守るためでもあり、信仰による選択の象徴でもあります。
組織としては、カトリック教会をはじめとしたキリスト教諸派(正教会、プロテスタント、聖公会など)が、この日を重要な祝祭日として制定しています。
地域ごとに儀式や習慣は異なりますが、いずれも“神の導きに従って歩む”という精神が根底にあります。
ホーリー・スリー・キングス・デーに関するよくある質問
Q1. ホーリー・スリー・キングス・デーは日本でも祝われているの?
A. 日本では公式な祝日ではありませんが、カトリック教会など一部の教会でミサが行われたり、信者の間ではこの日を大切に過ごす方もいます。
Q2. この日を意識した方がいいことってある?
A. クリスマスツリーやイルミネーションの片付けは、1月6日までが目安とされています。節目の日として覚えておくと便利です。
Q3. 子どもにこの日を教える方法は?
A. 絵本で三博士の物語を読んだり、手作りの王様の冠をかぶって“フェーヴ遊び”をするなど、家庭でも楽しく文化体験ができます。
ホーリー・スリー・キングス・デーの意味を感じるひとときを
毎年1月6日に訪れる、静かで深い祈りの日。
ホーリー・スリー・キングス・デーは、贈り物をする喜びと、導かれる旅の美しさを教えてくれます。
ただの記念日ではなく、「与える愛」「信じる心」「異文化を理解するきっかけ」として、私たちの心にも小さな灯をともしてくれる日です。
今年のクリスマスが終わったら、ツリーの片付けを急がず、少しだけ1月6日まで残してみませんか?
三人の王たちが辿った道を思いながら、その飾りにもう一度、感謝の気持ちを込めて。
