助け合いの日(10月15日 記念日)はどんな日?
✅ 全国社会福祉協議会(全社協)が1965年(昭和40年)に制定し、日常と地域での助け合いを呼びかける記念日です。
✅ 日常生活の小さな支え合いと、地域社会でのボランティア活動を促進することが目的です。
✅ 全社協および各地の社会福祉協議会、そして渋沢栄一の理念が深く関わっています。
見過ごしがちだけれど、本当に大切な「助け合い」
知らず知らず、誰かに支えられて今日がある──そんな気づきを、ふと感じる瞬間はありませんか?
公共交通機関で席を譲られたり、道に迷った時に声をかけられたり、小さな親切が日常にあふれているものです。
しかし、忙しさや目の前のことで手一杯になっていると、そうした行為を「当たり前」にしてしまいがちです。
「助け合いの日」は、そうした日常の風景を、改めて意識と行動に変えるきっかけになる日です。
10月15日、この日を通して、「自分は誰かに支えられて生きている」「私にも、支えられる誰かがいる」という感覚を、改めて抱いてほしいと思います。
この記念日をきっかけに、福祉の歴史、関わる人物、現在の課題、そしてあなた自身ができることを、ゆっくり見つめていきましょう。
助け合いの日の由来──なぜ10月15日になったのか?
「助け合いの日」が制定されたのは、1965年(昭和40年)です。
この記念日を通じて、日常生活における小さな支え合いを尊び、地域の中でのボランティア精神を育んでいこうという願いが込められています。
制定主体:全国社会福祉協議会(全社協)
記念日を制定したのは、社会福祉法人・全国社会福祉協議会(略称=全社協)です。
全社協は、全国の社会福祉協議会(社協)をつなぐ中核団体であり、福祉制度の改善や資源配分、ネットワーク支援などを担っています。
日常的には、地域福祉、災害支援、高齢者・障害者支援、福祉人材育成、ボランティア活動の推進など、多岐にわたる役割を果たしています。
全社協の前身には、1908年(明治41年)に設立された「中央慈善協会」があります。
この組織こそが、日本における近代的な慈善事業・社会福祉活動の始まりの一つとされます。
その設立には、渋沢栄一の関与が深く、慈善活動の制度化・組織化を目指す礎を築きました。
なぜ10月15日なのか?
具体的な事件や記念日が由来になった日は定められていません。
秋が深まり、各地で福祉行事や地域の催しが行われやすくなる時期という観点も考えられます。
また、記念日を制定する際には、既存祝日や行事との重複を避けたり、秋の季節感と親和性がある日を選ぶことが多いです。
したがって、10月15日は「助け合い」の理念を呼び覚ましやすく、地域行事や福祉週間などとも連動しやすいシンボリックな日になったと考えるのが自然です。
助け合いの日をもっと身近に感じる小さな工夫
「助け合いの日」は、日々の暮らしの中で生まれるものです。以下のような知識や工夫を知っておくと、記念日をより味わい深く過ごせます。
地域で見られる取り組み
- 福祉講演会・シンポジウム
地域の集会所や公民館で、福祉制度や高齢者支援・障害者支援に関する公開講座が開かれます。
ここで、地域住民が福祉の課題を知り、意見を交わす場となります。 - ボランティア説明会・体験会
普段は敷居が高く感じるボランティア活動を「体験形式」で紹介するイベントが行われることもあります。
初めて参加する人へのハードルを下げ、継続参加へのきっかけを提供します。 - 地域清掃・見守り活動
高齢者や一人暮らしの住民を対象とした安否確認、防犯・見守り通行、 ごみ拾い活動など、地域のつながりを実感できる活動が行われます。 - 学校での助け合い学習
小・中・高校では、道徳や総合学習の時間を使い、「助け合い」に焦点を当てた授業が行われることがあります。
たとえば、「隣の席の人に話しかけてみよう」「地域の高齢者に声をかける」など、実践につなげる学習です。
ボランティア保険・制度面での整備
全社協をはじめとして、助け合い活動を支える制度も整備されています。
たとえば、ボランティア保険は、活動中の事故やケガに備える保障制度です。
また、災害発生時に地域での助け合いを円滑に行うためのマニュアルや訓練支援も、全社協や各社協が担っています。
こうした制度整備のおかげで、助け合い活動はより安全に、持続的に行われる環境が整っているのです。
深く関わる存在たち──全社協と渋沢栄一
助け合いの日を語るには、全社協と渋沢栄一の存在を避けては通れません。彼らの理念と行動が今日の助け合い文化の基盤となっているからです。
全国社会福祉協議会(全社協)
全社協は、日本全国の社会福祉協議会をつなぎ、福祉における政策提言、資源の分配、情報共有、バックアップ支援などを行います。
たとえば、ある市区町村の社協が新しい高齢者支援プログラムを始めたいとすると、その立ち上げ支援、ノウハウ提供、横展開支援などを全社協が担うこともあります。
組織としての全社協は霞が関(東京都千代田区)に事務局を構え、2024年4月時点で職員数は約130名です。
全国約1,700を超える社協とのネットワークを維持しながら、地域福祉の最前線を支える司令塔的役割を果たしています。
渋沢栄一──福祉と経済をつなぐ思想家
渋沢栄一(しぶさわ えいいち、1840-1931年)は、「近代日本経済の父」として広く知られていますが、慈善活動や社会福祉の分野でも非常に重要な足跡を残しました。
彼は全社協の前身である中央慈善協会の設立に深く関わり、慈善団体の連携や寄付文化の振興を力強く推し進めました。
渋沢の思想は、「慈善事業を一時の救済にとどめず、自立支援の仕組みとすること」でした。
つまり、ただ物資を配るだけでなく、関わる人々が主体的に自らの力を取り戻す支援こそ、本当の意味での「助け合い」であるという考えです。
彼は生涯にわたり約600もの慈善事業・教育機関に関与し、社会的弱者支援や研究機関設立などを行いました。
また、病床にあっても、救護法(救護法令整備)の実現に向けた運動を続けたと言われています。
2024年(令和6年)から新しい1万円札の顔となったこともあり、渋沢栄一の功績をあらためて見直す機会が増えています。
その理念と行動は、現代の「助け合いの日」に息づいています。
よくある質問:助け合いの日にまつわるギモンを解消
Q1.「助け合いの日」は法律で定められた記念日ですか?
いいえ。国の祝日や公的な記念日ではありません。
「助け合いの日」は、全国社会福祉協議会(全社協)という民間性のある法人が制定した記念日です。
それでも、福祉関係者や自治体、学校、地域団体が多くこの日を活用しており、実質的な社会的認知も高まっています。
Q2.誰でもボランティア活動に参加できますか?
はい、誰でも参加できます。年齢・性別・職業を問いません。
ただし、活動内容や地域、作業環境の事情により、定員や条件が設けられている場合もあります。
また多くの社協では、活動前に簡単な説明会や安全マニュアルの確認、ボランティア保険の加入を求めることがあります。
こうした準備を通じて、安全かつ安心して活動に参加できる環境が整えられています。
Q3.日常的にできる「助け合い」の行動はどんなものがありますか?
日常生活の中でできる助け合い活動は思いのほかたくさんあります。
例を挙げると:
- 道に迷っている人に声をかける
- 高齢者の買い物荷物を持ってあげる
- 傘を貸す・返す際に一声かける
- 通学路で子どもたちの見守りをする
- 近所の高齢者に挨拶や声かけをする
- 災害時には避難誘導や給水支援を行う
- SNSや地域掲示板でボランティア募集を広める
小さな行為でも「あ、助けられた」「支えになった」と感じられることが、人と人との信頼を紡いでいきます。
あなたができる“助け合い”を始めるために
記念日はきっかけであり、スタートです。以下のような行動を通じて、「助け合い」を日々の習慣にしていくことができます。
1. 自分の地域の社協を調べてみる
あなたの住む市区町村には、社会福祉協議会(社協)が必ずあります。
社協の公式ウェブサイトや広報紙で「助け合いの日」関連のイベント・ボランティア募集をチェックしてみてください。
2. 家族・友人と「助け合い」について語る
「もし自分が困ったら、どう支援してほしいか?」という話題を、家族や友人と共有してみましょう。
相互理解が深まり、普段の小さな支え合いに気づけるようになります。
3. 小さな行動から始めてみる
冒頭でも述べたように、助け合いは日常の中の小さな行動から始まります。
初めてなら、傘や荷物を持つ、挨拶する、困っている人に声をかける、程度からでも構いません。
4. ボランティア体験に参加する
社協や地域団体が主催する体験型ボランティアは、ハードルが低くて始めやすいです。
一度参加する体験を通じて、「自分にもできる」を実感できます。
5. 継続するための仕組みをつくる
「毎月第1土曜日は地域掃除」「毎週水曜の夕方は見守りパトロール」など、小さなルーティンをつくってみましょう。
継続できれば、地域の安心感・信頼感は自然と高まります。感じてほしい、助け合いの“温かさ”
助け合いとは、ただ与える行為ではなく、与えあい、支えあいを通じて人と人との関係を紡ぐ営みです。
あなたが誰かを助けたとき、その人の笑顔や「ありがとう」という言葉は、自分を豊かにします。
逆に、自分が助けられたときは、「一人じゃない」という安心が心に灯るでしょう。
10月15日の「助け合いの日」は、こうした心の触れ合いを改めて思い出す日です。
記念日だからといって大きなことをする必要はありません。
大切なのは、小さな行為を「意識的に」継続することです。
地域で、家族で、学校で、職場で──
「手を差し伸べる」「声をかける」「そっと手助けする」
その心が広がることで、社会全体が温かく結ばれていくのです。
今日をきっかけに、あなた自身の「助け合いストーリー」を少しずつ紡ぎ始めてみませんか?
その積み重ねこそが、この社会を支える大きな力になります。

