月遅れ盆(8月15日 年中行事)はどんな日?
✅ 明治の改暦後、旧暦7月15日の盂蘭盆会を1か月遅れの8月15日に行う日。
✅ 日本古来の祖霊信仰と仏教が融合した行事で、迎え火や送り火、灯籠流し、盆踊りなどの風習がある。
✅ 寺院や地域住民、京都の五山送り火や各地の保存会が中心となり、今も伝統を守っている。
お盆という言葉を聞くと、多くの人は「帰省」「親戚との再会」「提灯」「盆踊り」など、夏ならではの情景を思い浮かべるでしょう。
その中でも、現代日本で最も広く行われているのが「月遅れ盆」です。
もともとは旧暦7月15日に行われていた行事ですが、明治時代の改暦をきっかけに、多くの地域で1か月遅れの8月15日に行われるようになりました。
月遅れ盆は、祖先の霊を迎え、感謝と供養を捧げる一連の行事で、日本古来の祖霊信仰と仏教の教えが融合したものです。
13日の夕方に焚く「迎え火」、16日に焚く「送り火」、そして灯籠流しや盆踊りなど、美しい灯りと人々の祈りが重なるこの時期は、どこか懐かしく、温かい雰囲気に包まれます。
月遅れ盆の由来と歴史的背景
月遅れ盆の起源は、仏教行事「盂蘭盆会(うらぼんえ)」です。
盂蘭盆会とは、亡くなった家族や祖先の霊を供養する行事で、古代インドの仏教説話に由来しています。
特に有名なのは、目連尊者(もくれんそんじゃ)の母親を救う話です。
目連は神通力で亡き母の姿を見たとき、母は餓鬼道で苦しんでいました。
その苦しみから救うため、釈迦の教えに従い、7月15日に多くの僧侶へ食事を供え、その功徳によって母は救われたとされます。
この故事が中国に伝わり、日本では飛鳥時代から行われるようになりました。
江戸時代までは旧暦7月15日に行われていましたが、明治5年(1872年)に日本が太陽暦を採用すると、季節感がずれる問題が生じました。
新暦の7月15日は農繁期の真っ最中で、田畑の管理に追われる農家にとって、祖先供養を行う余裕がなかったのです。
そこで多くの地域では、1か月遅れの8月15日に日程を移し、農作業の合間にゆとりを持って行えるようにしました。
こうして「月遅れ盆」が誕生し、現在では北海道から九州まで広く定着しています。
月遅れ盆の豆知識と風習
月遅れ盆は、13日の夕方に「迎え火」から始まります。
迎え火は、家の門口や墓地で火を焚き、祖先の霊が迷わず帰ってこられるよう道しるべを示す行事です。
麻幹(おがら)や藁を燃やし、その煙に霊を乗せて家まで案内するとも言われます。
14日・15日は家族や親戚が集まり、仏壇に供物を並べ、読経や食事を共にします。
供物の中でも有名なのが「精霊馬(しょうりょううま)」です。
きゅうりで作った馬、なすで作った牛に割り箸の足をつけ、ご先祖様が馬に乗って早く来られ、牛に乗ってゆっくり帰るよう願います。
16日には「送り火」で霊を見送り、京都の五山送り火や各地の灯籠流しが行われます。
五山送り火では、「大」「妙・法」「船形」「左大文字」「鳥居形」が順に点火され、夏の夜空を荘厳に彩ります。
また、海や川で行われる灯籠流しは、霊を水の彼方へ送り出す美しい行事で、幻想的な風景を生み出します。
地域ごとの月遅れ盆の特徴
月遅れ盆は全国的に行われますが、その風習は地域によって大きく異なります。
- 北海道・東北:農業の都合でほぼ全域が月遅れ盆。広い庭で迎え火を焚く家庭も多い。
- 関東:東京都心部では新暦7月盆も多いが、郊外や地方出身者の多い地域では月遅れ盆が主流。
- 近畿・中国地方:京都の五山送り火が有名。精霊流しや盆踊りも盛大に行われる。
- 九州:長崎の「精霊流し」が特徴的。爆竹や船形の精霊舟でにぎやかに送り出す。
- 沖縄・奄美:今も旧暦盆(旧盆)が主流で、エイサー踊りなど独自の文化が色濃い。
月遅れ盆と関わりの深い人々や団体
月遅れ盆は、寺院や仏教会が儀式の中心を担います。
檀家の家を回って読経を行う僧侶、迎え火や送り火の準備をする町内会、盆踊りを主催する青年団など、地域ぐるみで支えられています。
京都の五山送り火は、保存会と地域住民が何か月も前から準備を行い、木材の手配、火床の整備、当日の運営など膨大な作業をこなします。
こうした努力が、毎年の感動的な光景を生み出しているのです。
月遅れ盆に関するよくある質問
Q1. 月遅れ盆と旧盆はどう違うのですか?
A. 旧盆は旧暦7月15日を基準に行われ、沖縄や奄美などで残ります。月遅れ盆はその1か月後、新暦8月15日に行うものです。
Q2. 月遅れ盆は全国共通ですか?
A. 北海道から九州まで広く行われますが、一部地域では新暦盆や旧盆が主流です。
Q3. 迎え火・送り火は必ず行うものですか?
A. 地域や家庭によって異なりますが、屋外で火を焚くことが難しい都市部では、提灯やろうそくで代用する家庭も多いです。
月遅れ盆(8月15日)まとめ
月遅れ盆は、日本の夏を象徴する祖先供養の行事です。
明治時代の改暦を経て、多くの地域で8月15日に定着し、迎え火・送り火・灯籠流し・盆踊りなど多彩な風習が息づいています。
その背景には、家族や地域をつなぐ深い絆と、ご先祖様への感謝の心があります。
静かに灯る火や揺れる提灯の光は、過ぎ去った時と人を優しく思い出させ、これからも日本人の心に残り続けるでしょう。
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