セットプレーはサッカーにおいて重要な得点機会の一つです。
フリーキック、コーナーキック、スローイン、ペナルティキックといった場面で効果的な戦術的配置をとることが、試合の勝敗を左右することも少なくありません。
今回は、プロチームや日本代表でも用いられているセットプレーの戦術的配置について、具体的なフォーメーション、動き方、そしてチーム練習で意識すべきポイントまで徹底解説していきます。
1. セットプレーの基礎:攻守の意図と基本戦術
セットプレーは、一度ボールが止まる場面でのプレー再開となるため、動きや配置において事前に決められた戦術を発揮しやすいシチュエーションです。
サッカーにおけるセットプレーには、以下のような基本的な特徴があるため、これらを最大限に活用することが重要です。
- 得点のチャンスを増やす:フリーキックやコーナーキックでは、クロスボールや直接シュートによってゴール前に大きなプレッシャーを与えることが可能です。
- 相手の隙を突く:セットプレーの場面では、マークを外す動きやフェイントを駆使して相手の守備を崩し、スペースを確保することが求められます。
- ディフェンスの配置で守備を強化:一方で守備時には、各選手が予め決めた配置に従い、ゾーンディフェンスやマンマークなど、効果的な守備で相手の得点を阻止します。
2. フリーキックの配置と戦術
フリーキックは、得点へ直結する大きなチャンス。
配置や戦術を工夫することで、キーパーを含めたディフェンスラインにプレッシャーを与えることができます。
2.1 直接フリーキック
配置と戦術例:
- 壁越えシュート:キッカーが強力なカーブシュートや無回転シュートを狙い、壁を超えてゴールを狙います。
- デコイ(囮役)の配置:キッカーの近くに別の選手を配置し、短いパスで味方がダイレクトシュートを狙うように見せかけて相手の意識を散らす戦術です。
キーポイント:
- 壁の位置を確認する:壁の横や隙間を狙うか、壁を超えるボールでキーパーの逆を突くよう調整します。
- ゴールキーパーの動き出しを利用:フェイントや一瞬のモーションでキーパーの反応を誘発し、逆方向へのシュートを決める工夫が効果的です。
2.2 間接フリーキック
配置と戦術例:
- ターゲットマンの活用:ゴール前のニアポスト(近いポスト)に背が高くヘディング力のある選手を配置し、クロスボールを合わせる。
- ゾーンでの隙間狙い:ゾーンディフェンスの隙間に飛び込むことで、ゴール前のスペースを活用します。
キーポイント:
- キックの高さや速さを変化:ファーポスト(遠いポスト)とニアポストでそれぞれターゲットを変えることで、複数の選手が得点チャンスを狙えるようにします。
- フェイントを活用:直接キックのように見せかけて、隣の選手にパスを送る「ショートパス」のフェイントが、相手の守備のリズムを崩すのに有効です。
3. コーナーキックの戦術と配置
コーナーキックでは、ボールがゴールに近いため、攻撃的な戦術と配置が非常に重要です。
3.1 攻撃的な配置の例
- ターゲットマンのポジショニング:センターリングに合わせる役として、ゴール前に高さやフィジカルが強いターゲットマンを配置します。
- ニアとファーポストの分担:ゴール前の両端に複数人を分散させ、各ポジションでボールを狙います。特にニアポストには、素早い反応ができる選手を置きます。
効果的な戦術:
- スクリーニング(壁)役:味方選手が相手のマークを一時的にブロックすることで、ターゲットマンが動きやすくする戦術です。
- ゾーンの隙間への飛び込み:相手がゾーンディフェンスを行っている場合、ゾーンとゾーンの間に飛び込むことで相手の守備網に隙を作り出します。
3.2 変則的な配置と戦術
- ショートコーナー:短いパスでコーナーキックを開始し、相手守備陣形を乱してからクロスボールを上げる戦術。
- ランニング戦術:選手がゴール前で密集し、そこから一斉に別々のポジションへ動くことで、ディフェンスを分散させます。
4. スローインの戦術と配置
スローインはセットプレーの中で得点に直結しにくいですが、攻撃の起点やポゼッションを高めるために重要です。
4.1 攻撃的なスローイン
- ロングスロー:ゴール前まで届くロングスローを持つ選手がいれば、直接ゴール前でのチャンスが作れます。
- スクリーン(サポート)役:スローインを受ける選手の近くに複数人のサポート役を配置し、素早くパスで展開する動きです。
4.2 戦術的な動き
- デコイラン:ボールをもらうように見せかけて他の選手にスペースを与える動き。
- ターゲットを分散:スローインを受ける位置をランダムに変え、相手ディフェンスの配置を乱します。
5. ペナルティキックの配置と戦術
ペナルティキックは決定的な得点チャンスです。キッカーの心理的要素やキーパーの癖を考慮した戦術が求められます。
キッカーの戦術:
- ゴールキーパーの動きの分析:キーパーのクセや好む反応方向を分析し、逆を突くシュートを狙う。
- フェイントを取り入れる:フェイントを用いてキーパーを一瞬迷わせ、キーパーの重心が偏った瞬間にシュートを決めます。
6. 守備時のセットプレー戦術と配置
守備側もセットプレー時に緻密な戦術を実行することで、相手の得点チャンスを阻止できます。
6.1 ゾーンディフェンスの活用
- ゾーンでのカバーリング:ファーポスト付近まで複数人がカバーし、キーパーを含めてディフェンスラインを強固にします。
- クリアの徹底:一旦ボールを外へクリアし、相手に次のチャンスを与えないようにします。
6.2 マンマーク
- ターゲットマンへの集中マーク:特にゴール前で強力なヘディングや高さのある選手をマンマークして守備を強化します。
7. チーム練習におけるセットプレーの練習法
セットプレー戦術は、日々の練習でしっかりと確認し、チーム全体が一体となって動けるようにすることが重要です。
- 位置取りの確認:各選手が所定の位置に正確に配置され、動きを意識できるよう練習します。
- 役割ごとの動きの練習:ターゲットマン、サポート役、デコイ役など、役割に応じて動きの練習を行い、実戦で即座に反応できるようにします。
- セットプレーの再現練習:試合形式でセットプレーを再現し、試合本番に近い形で練習することで動きの精度を上げます。
まとめ
セットプレーの戦術的な配置と実践は、サッカーの試合における得点機会を増やす重要な要素です。
攻守の役割や状況に応じた配置を取り入れることで、試合の流れを左右する力を持っています。
日々の練習でセットプレーを磨き、試合本番で最大限に発揮できるよう、各選手と役割を確認していきましょう。