新幹線の運転見合わせで損害を受けた場合の対応と賠償請求の可否について

2024年7月22日の東海道新幹線の運転見合わせによって、多くの人々が旅行や出張の計画変更を余儀なくされました。

特に自然災害ではなく、保守用の車両が衝突・脱線した影響であるため、JR東海に対して賠償請求が可能かどうか気になる方も多いでしょう。この問題に対する法的な見解や具体的な対応方法についてまとめました。

賠償請求は可能か?

結論から言えば、新幹線の運転見合わせによる損害に対して、JR東海に賠償請求を行うことは極めて難しいです。以下に理由を説明します。

  1. 運送約款の制約 鉄道会社の運送約款には、運行遅延や運転見合わせに伴う損害に対して、払い戻しや出発駅までの無賃送還以外の対応を求めない規定が含まれています。

    これにより、鉄道会社が賠償責任を負う範囲が限定されています。鉄道営業法や民法に基づいても、約款が公表されている限り、乗客はこれに合意したとみなされます。
  2. 鉄道輸送の特殊性 鉄道は航空輸送と比べてはるかに多くの旅客を運ぶため、一人ひとりの損害に対して個別に対応することが不可能です。これもまた、賠償請求が難しい理由の一つです。

対応方法と具体的な措置

損害を受けた際にどのように対応すべきか、以下の点を押さえておきましょう。

  1. きっぷの払い戻し 新幹線が運転見合わせとなった場合、未使用のきっぷについては払い戻しが行われます。また、使用開始後のきっぷについても、出発駅まで戻る場合に限り無賃送還が認められます。
  2. 定期券・回数券の取り扱い 定期券や回数券については、5日以上連続して不通の場合に限り、有効期間の延長や払い戻しが行われます。このため、短期間の運転見合わせでは基本的に賠償の対象外となります。
  3. 遅延証明書の活用 鉄道会社が発行する遅延証明書は、会社に提出することで遅刻扱いを免れる可能性があります。ただし、これはあくまで会社の就業規則によるものであり、法的には遅延証明書の効力はほとんどありません。

注意点とエキスパートの見解

新幹線の運転見合わせに対する不満を駅員にぶつけることは避けましょう。過剰なクレームや暴言は、場合によっては強要罪や威力業務妨害罪として警察沙汰となる可能性があります。

また、現場の駅員は運行状況を改善する権限を持っていないため、問題の解決にはなりません。

まとめ

新幹線の運転見合わせによる損害に対して、JR東海に賠償請求することは難しいです。

運送約款の制約や鉄道輸送の特殊性により、払い戻しや無賃送還以外の対応は基本的に期待できません。

被害を最小限に抑えるためには、きっぷの払い戻しや遅延証明書の活用など、規定に従った対応を心掛けることが重要です。

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