料理はお母さんがすること?家事分担のモヤモヤ #令和の親

男女の家事分担 モヤモヤの正体 - Yahoo!ニュース
6月23日~29日は男女共同参画週間。女性の社会進出やジェンダー平等が叫ばれる今の時代ですが、依然身の回りには男女間の格差や「モヤモヤ」が多数存在します。

6月23日~29日は男女共同参画週間。女性の社会進出やジェンダー平等が叫ばれる今の時代ですが、依然として家庭内の「家事分担」には性別による格差が存在します。特に「料理」は、昔から「おふくろの味」として母親の役割と見なされがちです。しかし、この意識は本当に正しいのでしょうか?

料理代行の現実:すべては母親からの依頼

島根県松江市で料理代行サービス「ゆきどころ」を運営する稲田幸恵さんは、10年間保育園の栄養士として働いた経験を持ち、今年4月に料理代行を始めました。稲田さんがこのサービスを始めた背景には、働く母親たちの声がありました。「掃除や洗濯は最悪1日2日しなくても命には関わりませんが、食べることは1日3回必要です」。稲田さんは保育園での経験を通じて、母親たちの負担を軽減したいと考えたのです。

しかし、稲田さんが感じたのは、料理代行を依頼するのは「100%母親」という現実でした。「普段台所に立つのもほぼ100%母親というご家庭ばかり」と言います。この事実は、料理が依然として母親の役割と見なされている現状を浮き彫りにしています。

「私がやらなきゃ」:産後うつのような状態に

料理代行サービスを利用する松江市の野津さんは、3人の子を持つ母親で、生後6か月の娘を育てながら自営業の仕事や家事をこなしています。夫は仕事が忙しく家にいないことが多いため、野津さんは一人で全ての家事をこなす日々。そんな中で、「産後うつ」のような状態になってしまいました。「料理も家事も育児も全部私しかいない状態で、私がやらなきゃって思っていました」。

野津さんは、料理代行を頼むことに最初は後ろめたさを感じていましたが、実際に頼んでみると「心の余裕が前と全然違った」と感じるようになりました。「家庭がうまく回るなら、料理するのも母親じゃなくてもいいんじゃないか」と思うようになったのです。

実際に料理をしているのは?

鳥取県米子市で行ったアンケート調査では、家庭の料理を担当するのは誰が良いかという質問に対して、男女とも約90%が「どちらでも良い」と答えました。この結果だけを見ると、性別による料理の役割分担は薄れつつあるように見えます。しかし、実際に家庭内で料理をしているのは女性が71.6%と圧倒的に多い現実があります。

稲田さんも2児の母親で、夫が県外に単身赴任しているため、家事も育児もワンオペでこなしています。「料理代行を頼むことも『母親の役割なのに楽をしていいのか』という罪悪感を抱くお母さんも多いのです」。

日本の家事分担の歴史を振り返る

日本女子大学の永井暁子教授は、「“おふくろの味”とこだわる国ほど出生率が低い」と指摘します。これは、女性に負荷がかかっている現状を反映していると言います。日本でも、家庭で毎食手の込んだ料理を作るようになったのは高度経済成長を経てからのこと。それまでの時代では、妻も内職や家業の手伝いをしており、家事は全て女性が担うという状況ではありませんでした。

1970年代以降、夫が「会社勤め」、妻が「専業主婦」という家庭像が一般化し、性別役割分業意識が強まりました。1985年には男女雇用機会均等法が制定され、女性の社会進出も進みましたが、「新・性別役割分業」という新たな問題が浮上しました。男性は仕事、女性は仕事も家事もするという形になり、女性への過重負担が問題となっているのです。

夫婦で協力して家事を

共働きの渡辺さん夫婦は、家事の役割を特に決めず、気づいた人がやるスタイルを取っています。渡辺さん夫婦は、夫が午後4時45分に仕事を終え、妻が午後5時45分に帰宅する時差出勤制度を活用し、夕食は早く帰る夫が担当しています。

「料理担当が女性に偏るのは、男性が料理が苦手だったり、男性の方が帰宅時間が遅いということがあると思います」と妻の渡辺さんは言います。「働き方の部分がネックになっている場合は、何か考える余地があるのではないでしょうか」。

家事分担のモヤモヤ、その正体は?

日本女子大学の永井暁子教授は、「モヤモヤしている問題は女性だけの問題として捉えられている」と言います。「これを女性の『私の問題』ではなく、男性も『我が家の問題』として捉えていく必要があるのではないでしょうか」。

つまり、“おふくろの味”も変化していく必要があります。「『我が家の味』にしていけば良い。『我が家のカレー』はお父さんのカレー、『我が家の煮物』はお母さんの煮物…というように、家族全員で料理を作ることが大切です」。

要点まとめ

  1. 料理の役割分担:現在も多くの家庭で料理は母親が担当するという現状が続いている。
  2. 料理代行サービスの現実:料理代行を依頼するのは母親がほとんどであり、料理を母親の役割と見なす傾向が強い。
  3. 家事分担の変化:家庭内の料理担当は男女どちらでも良いという意識が広がっているが、現実はまだ女性に偏っている。
  4. 歴史的背景:日本の家庭における性別役割分業は高度経済成長期以降に強まった。
  5. 未来への提案:家事分担のモヤモヤを解消するために、家庭内の問題を家族全員で共有し、「我が家の味」を作り上げることが大切です。

このように、家庭内の家事分担の現実と意識の乖離を見直し、家族全員で協力して家事をこなすことが求められています。家庭内の「モヤモヤ」を解消し、より平等な家事分担を目指しましょう。

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