歯ヂカラ探究月間はどんな日?
✅ 9月の1ヵ月間に歯の力を見直す
✅ 2009年には月間制定を確認
✅ モンデリーズ・ジャパンと深い関係
「歯ヂカラ探究月間」は、9月1日から30日までの1ヵ月間、歯が本来持つ力に目を向けるための記念月間です。夏の食生活を振り返り、歯の健康について考える時期にしようという狙いがあります。
制定したのは、「リカルデント」などのガムを展開する現在のモンデリーズ・ジャパンにつながる企業です。2009年9月30日の業界報道では、当時のキャドバリー・ジャパンが9月を「歯ヂカラ探求月間」として制定したことが確認できます。
名前にある「歯ヂカラ」は、医療上の診断名ではありません。制定時には「歯の体力=歯ヂカラ」という表現を使い、歯からミネラルが失われる「脱灰」などに関心を持ってもらう企画として打ち出されました。9月の30日間を通じて食事や間食、歯みがきなどを見直すきっかけになる記念月間です。
歯ヂカラ探究月間の由来は?なぜ9月1日から30日なの?
歯ヂカラ探究月間が9月に設定された理由は、夏を過ごしたあとの食生活を見直す時期と位置づけられたためです。制定時の説明では、夏は休暇や暑さによって生活リズムや食生活が乱れやすい季節とされました。
2009年9月30日付の日本食糧新聞では、キャドバリー・ジャパンが「リカルデント」ブランドを通じて月間を制定したことが報じられています。
同社は、歯からミネラルが溶け出した初期段階の状態を広く知らせ、歯そのものが持つ力を見直すことを目的としていました。
つまり、9月1日に起きた歴史的事件や「9=歯」のような語呂合わせが由来ではありません。9月という1ヵ月を丸ごと使い、夏から秋へ生活が切り替わる時期に歯や食生活を振り返ろうという考え方です。
ただし、「夏になると医学的に歯そのものの体力が低下する」と理解するのは正確ではありません。「歯ヂカラ」は制定企業が健康意識を伝えるために用いた表現です。実際のむし歯では、糖質を摂取する頻度や歯垢中の細菌が作る酸など、複数の条件が関係します。
厚生労働省の健康情報では、歯の表面でカルシウムなどが溶け出す現象を「脱灰」と説明しています。一方、唾液中のカルシウムやリン酸などによって修復へ向かう現象が「再石灰化」です。口の中では、この2つが繰り返されています。
糖分を含む食品を頻繁に口にすると、酸性になる回数も増えます。再石灰化が脱灰に追いつかない状態が続けば、むし歯へ進む可能性が高まります。9月に食生活を振り返るという月間の考え方は、こうした毎日の習慣を確認する機会として捉えると分かりやすくなります。
なお、現在紹介されている正式名称は「歯ヂカラ探究月間」で、期間は9月1日から30日です。日本記念日協会に認定・登録された記念月間として紹介されています。複数の記念日情報でも、現在はモンデリーズ・ジャパンが制定した月間として掲載されています。
制定された正確な日付については、公開情報だけでは断定できません。一方、2009年9月30日の報道で制定済みだったことは確認できるため、少なくとも2009年には「歯ヂカラ」をテーマとした9月の取り組みが始まっていました。
歯ヂカラ探究月間にまつわる興味深い背景
歯ヂカラ探究月間を知るうえで欠かせないのが、「脱灰」と「再石灰化」という2つの現象です。
歯は一度生えたら何も変化しない硬い物体のように見えますが、エナメル質の周囲ではミネラルの移動が絶えず起きています。
食事などで糖質が口に入ると、歯垢の細菌が酸を作ります。厚生労働省の情報では、エナメル質は一般にpH5.5より低い環境になると急速に溶け始めると説明されています。このときカルシウムやリン酸が歯から抜けていく現象が脱灰です。
そのまま歯が溶け続けるわけではありません。唾液には口の中の酸を中和する働きがあり、カルシウムやリン酸を歯へ戻す再石灰化にも関係します。初期段階では、脱灰した部分が再石灰化によって修復へ向かう場合があります。
一方で、すでに歯質が崩れて穴になったむし歯まで、唾液だけで元どおりになるわけではありません。厚生労働省の情報でも、崩壊した歯質は再石灰化によって自然回復せず、歯科治療が必要になると説明されています。
歯ヂカラ探究月間と特に深く結びついている商品が「リカルデント」です。日本では2000年に発売され、2020年には発売20周年を迎えました。現在もモンデリーズ・ジャパンのガムブランドの1つとして展開されています。
リカルデントで知られる「CPP-ACP」は、乳タンパクから作られるCPPと非結晶リン酸カルシウムのACPを組み合わせた牛乳由来成分です。ブランド公式情報では、メルボルン大学歯学部のエリック・レイノルズ教授による研究から生まれた成分と説明されています。
CPP-ACPには、むし歯の始まりである脱灰を抑えること、再石灰化を増強すること、その部分の耐酸性を高めることの3つの働きが示されています。2024年8月15日に再許可されたリカルデントのグレープとペパーミントについても、消費者庁の許可表示にこの3つの内容が明記されています。
ここで覚えておきたいのは、「リカルデント」という名前が付いた全製品が特定保健用食品とは限らない点です。2026年の公式ラインアップでは、グレープミントガムとさっぱりミントガムに特定保健用食品の表示があります。一方、ブラッドオレンジやパイナップルなどには「特定保健用食品ではありません」と記載されています。
特定保健用食品は、商品ごとに有効性や安全性について国の審査を受け、表示の許可を得る制度です。ブランド名だけで判断するのではなく、実際の商品パッケージにある表示を確認する必要があります。
また、むし歯予防をガム1商品だけに任せる考え方も適切ではありません。厚生労働省では、フッ化物の利用や歯みがき、糖分を含む食品を摂取する頻度への配慮などを組み合わせる考え方を示しています。
9月の30日間に見直したいのは、特別なことより毎日の繰り返しです。朝晩の歯みがきだけでなく、甘い飲み物を何度も口にしていないか、間食が長時間続いていないかなど、1日の食べ方を振り返ることも歯の健康につながります。
歯ヂカラ探究月間と関係の深い人物・企業・組織
歯ヂカラ探究月間でもっとも関係が深い企業は、現在のモンデリーズ・ジャパンです。2026年時点の本社は、東京都品川区東品川4丁目12番8号の品川シーサイドイーストタワー13階にあります。リカルデントのほか、クロレッツなどのガムブランドも展開しています。
ただし、2009年に月間が制定された当時の会社名は「キャドバリー・ジャパン」でした。日本食糧新聞の2009年9月30日付の記事でも、制定主体としてキャドバリー・ジャパンの名前が記録されています。
この会社名が現在と違うのには理由があります。キャドバリー・ジャパンは2011年1月1日に「日本クラフトフーズ」へ社名を変更することが、2010年の業界報道で伝えられました。
その後、日本クラフトフーズは2013年7月1日から「モンデリーズ・ジャパン株式会社」へ社名を変更しました。背景には、米国のクラフトフーズが2012年10月1日に事業を分け、グローバルなスナック事業を担うモンデリーズ・インターナショナルが誕生した流れがあります。
そのため、古い資料で「キャドバリー・ジャパンが制定」と書かれ、新しい資料で「モンデリーズ・ジャパンが制定」と書かれていても、まったく別の企業が同じ記念月間を作ったという意味ではありません。2009年から2013年までの社名の変化を知ると、2つの表記が存在する理由が見えてきます。
もう1人、リカルデントとの関係が深い人物がエリック・レイノルズ教授です。リカルデント公式サイトでは、CPP-ACPはメルボルン大学歯学部のレイノルズ教授による長年の研究から生まれた成分と紹介されています。
CPP-ACPは、乳タンパク由来のCPPと非結晶リン酸カルシウムのACPから成ります。歯ヂカラ探究月間そのものをレイノルズ教授が制定したわけではありませんが、月間と結びつきの深いリカルデントを理解するうえで欠かせない研究者です。
そして、日本の食品表示制度との関係では消費者庁も外せません。特定保健用食品は、商品ごとに国の審査と許可を受けて保健の用途を表示する制度です。リカルデントの一部製品についても、CPP-ACPを関与成分とした許可内容が確認できます。
歯ヂカラ探究月間は、企業が作った健康啓発の記念月間から始まりました。その背景をたどると、2009年のキャドバリー・ジャパン、2000年発売のリカルデント、CPP-ACPの研究、現在のモンデリーズ・ジャパンまで、複数の歴史が1本につながっています。
歯ヂカラ探究月間に関するよくある質問
歯ヂカラ探究月間はなぜ9月1日から30日なのですか?
9月が選ばれたのは、夏のあとの食生活や生活習慣を見直す時期として考えられたためです。制定時の2009年の説明では、夏は休暇や暑さによって生活リズムが乱れやすく、9月を歯の状態や食生活について考える機会にする狙いが示されています。
特定の9月1日の出来事を記念したものではなく、9月30日までの1ヵ月間そのものに意味があります。1日だけ歯を意識するのではなく、30日間を使って日々の習慣を振り返るという設計です。
歯ヂカラ探究月間は誰が制定したのですか?
現在のモンデリーズ・ジャパンにつながる企業が制定しました。2009年9月30日の報道では、当時の社名であるキャドバリー・ジャパンが9月を対象に制定したことが確認できます。
キャドバリー・ジャパンは2011年に日本クラフトフーズへ社名を変更し、さらに2013年7月1日にモンデリーズ・ジャパンとなりました。このため、資料の年代によって制定企業の表記が異なります。
「歯ヂカラ」とは何ですか?リカルデントを噛めばむし歯にならないのですか?
「歯ヂカラ」は、制定時に「歯の体力」を表すため使われた啓発上の表現です。むし歯の有無を判定する医学的な診断名や数値ではありません。
また、リカルデントを噛むだけでむし歯を完全に防げるという意味でもありません。CPP-ACPを配合した特定保健用食品には脱灰抑制や再石灰化などについて許可された表示がありますが、むし歯予防では歯みがきやフッ化物利用、糖分を摂取する頻度への配慮なども関係します。
歯の痛みや穴、しみる症状などがある場合には、9月という時期に関係なく歯科医療機関で状態を確認する必要があります。すでに崩れた歯質は再石灰化だけでは元に戻らないため、早い段階での確認が治療の負担を抑えることにもつながります。
歯ヂカラ探究月間は9月に毎日の「食べ方」と「歯」を見直すきっかけ
9月1日から30日までの歯ヂカラ探究月間は、夏のあとに食生活を振り返り、歯が持つ再石灰化などの仕組みに関心を向けてもらうために生まれました。
2009年にはキャドバリー・ジャパンによる制定が確認され、その流れを現在のモンデリーズ・ジャパンが受け継いでいます。
背景にある「リカルデント」は、日本で2000年に発売されたガムです。CPP-ACPを配合した特定保健用食品の一部製品では、脱灰の抑制、再石灰化、耐酸性の増強という3つの働きについて表示が許可されています。
歯の健康を考えるとき、目を向けたいのは1粒のガムだけではありません。1日の間食回数や歯みがき、フッ化物の利用など、毎日の積み重ねこそ9月に振り返りたいところです。
30日間という長さを生かし、普段は意識しにくい自分の「歯ヂカラ」に目を向けてみるのもよいでしょう。

