「網膜の日」（9月23日）はどんな日？
✅ 網膜色素変性症の認知度を高め、治療やケアの重要性を広めることを目的に制定された日。
✅ 9月23日（秋分の日）を選んだのは、昼夜の長さがほぼ同じになるため、視覚的な困難を認識しやすい時期だから。
✅ 日本網膜色素変性症協会が制定し、スイスの国際網膜協会が活動の背後にある。
9月23日は「網膜の日」—未来に希望をつなぐために
毎年9月23日は、「網膜の日」として、網膜色素変性症という病気への理解と支援を深めるための特別な日です。
この日を設けた背景には、患者さんたちの声がしっかりと根付いています。普段、私たちが意識しないような視覚の世界に焦点を当てることで、より多くの人々がこの病気について知り、関心を持ってもらうことが目的です。
この記念日は、東京都品川区南大井に本部を構える公益社団法人・日本網膜色素変性症協会によって制定されました
日本だけでなく、世界中で網膜色素変性症に対する認知度を高める活動が行われています。
網膜色素変性症とは？
網膜色素変性症（Retinitis Pigmentosa、RP）は、遺伝子による異常で網膜に障害が生じ、視力や視野に重大な影響を与える病気です。
網膜は目の奥にある、光を感じる重要な組織で、これに障害が生じると、光を受け取る機能がうまく働かなくなります。その結果、視界が徐々に暗くなり、最終的には完全な失明を招くこともあります。
患者さんが最初に感じるのは、夜になると見えづらくなる「夜盲」です。いわゆる「鳥目」のような症状で、暗くなると周囲が見えにくくなり、日常生活での移動が困難になることがあります。
時間が経過するにつれ、視野が狭まり、最終的にはわずかな視界しか残らなくなることもあるため、患者さんにとっては非常に辛い病気です。
網膜の日の由来と意義
9月23日を「網膜の日」と定めた理由には、非常に深い意味があります。
この日は秋分の日であり、昼と夜の長さがほぼ同じになる日です。これから夜が長くなることで、夜盲が進行する患者さんたちにとって、特に重要な時期となります。
昼夜の変化に合わせて、患者さんたちが感じる視覚的な困難を広く認識し、社会全体でその理解を深めていこうという意図が込められています。
また、記念日を制定した日本網膜色素変性症協会は、患者と支援者でつながる団体です。患者さんたちが直面している課題や希望を、社会全体に伝えるために活動しています。
この日を通じて、網膜色素変性症に対する関心を高め、支援の輪を広げていくことが期待されています。
進行中の治療研究と希望の光
網膜色素変性症に対する治療法はまだ完璧ではありませんが、研究の進展により、明るい未来も見えてきています。
特に、iPS細胞を利用した治療法の開発が注目されています。iPS細胞（人工多能性幹細胞）を使って、患者の網膜を再生させるという研究が進行中であり、これは視覚機能の回復を期待させる大きな一歩です。
また、遺伝子治療や細胞治療など、さまざまな治療法の研究が行われています。
これにより、今後さらに多くの患者さんたちが新しい治療法にアクセスできるようになることが期待されています。
技術が進化する中で、網膜色素変性症に対する希望が次第に現実のものになりつつあることに、患者さんたちはもちろん、家族や支援者たちも大きな期待を寄せています。
網膜の日を通じて広がる支援の輪
「網膜の日」が制定されてから、日本では9月の最終日曜日を中心に「世界網膜の日」として活動が行われるようになりました。
1995年からは、講演会やイベントを通じて、網膜色素変性症についての認知を広める活動が行われています。
この活動には、患者さん自身だけでなく、医療従事者や研究者、さらには一般の人々も参加し、支援の輪が広がっています。
例えば、講演会では治療法や最新の研究情報が紹介され、患者さんたちがどのように支援を受け、生活を送っているかが語られます。
このような活動を通じて、社会全体が網膜色素変性症への理解を深め、支援の手を差し伸べることができるようになるのです。
網膜の日まとめ
「網膜の日」を迎えるたびに、私たちは再び、この病気に対する理解と支援の重要性を考える機会を得ます。この日を通じて、あなたもぜひ網膜色素変性症について学び、支援の輪に加わる方法を探してみてください。
たとえば、日本網膜色素変性症協会への寄付や、ボランティア活動への参加がその一歩となります。また、医療技術の進歩を見守り、希望の未来に向けた支援を続けていくことが、社会全体でできる大切な貢献です。
目の健康を守るためには、まず自分自身がその大切さを理解することが第一歩です。この「網膜の日」をきっかけに、あなたの周りにも多くの支援の輪を広げていきましょう。