国民栄誉賞の日(9月5日)はどんな日?
✅ 国民的英雄・王貞治が世界記録を達成し、日本初の国民栄誉賞を受賞した日。
✅ 賞の創設は福田赳夫首相によるもので、日本人の心に残る偉業をたたえる目的がある。
✅ 初代受賞者・王貞治と創設者・福田赳夫元首相が深く関わっている。
「誰かをたたえる日」があるって、なんだか素敵じゃない?
私たちが日々目にするニュースの中には、世界記録や金メダル、偉業を成し遂げた瞬間がたくさんあります。
でも、その「すごさ」をどう讃えるか、日本らしい方法って案外知られていません。
そんな中、「誰かの努力や才能を、国を挙げて讃える日」があると聞いたら、どう感じますか?
それが「国民栄誉賞の日」です。
9月5日は、1977年に王貞治選手が日本で初めて「国民栄誉賞」を受賞した日。
この日から、日本は「誰かの輝きを、みんなで讃える文化」を持つ国になったのです。
この記事では、その背景にあるストーリー、賞の成り立ち、そして今に続く想いを、たっぷりご紹介します。
なぜ9月5日?国民栄誉賞の日の由来と歴史
話は、1977年(昭和52年)の夏にさかのぼります。
プロ野球・読売ジャイアンツの4番打者、王貞治(おう さだはる)選手。
彼は日本プロ野球界を代表するホームランバッターとして、すでに「世界にもっとも近い男」と呼ばれていました。
そして9月3日、東京・後楽園球場。
王選手はアメリカのハンク・アーロンが持つ通算本塁打記録「755本」を超え、ついに756本のホームランを達成。
これは世界記録更新の瞬間でした。
そしてその2日後の9月5日。
当時の内閣総理大臣・福田赳夫(ふくだ たけお)は、王選手の偉業を称え「国民栄誉賞」を創設。
その記念すべき第1号として王貞治選手が選ばれたのです。
日本中が感動と歓喜に包まれたあの瞬間。
そこには「偉業を讃え、後世に語り継ぎたい」という国全体の強い想いがありました。
この出来事を記念して、9月5日は「国民栄誉賞の日」として知られるようになりました。
国民栄誉賞ってどんな賞?どうして特別なの?
「国民栄誉賞」は、政府が授与する賞の中でも、特別な意味を持っています。
正式には「内閣総理大臣表彰」のひとつで、1977年8月に新たに設けられた制度です。
受賞の対象は、「広く国民に敬愛され、社会に夢と希望を与える顕著な功績を残した人物」。
つまり、成績や記録だけではなく、その人が国民に与えた影響や感動が評価の基準になります。
選定は内閣によって行われ、必ずしも明確なルールがあるわけではありません。
だからこそ、その時代の空気や国民の感情が色濃く反映される賞なのです。
この賞は、いわば「日本中の感謝の気持ち」を表す、シンボルともいえる存在。
誰もが納得し、心から讃えたいと思える人にだけ贈られる、それが国民栄誉賞です。
王貞治という存在が、なぜ特別だったのか?
王貞治選手は、ただホームランを打っただけの選手ではありません。
彼のスイング、構え、表情、言葉、どれをとっても多くの人の記憶に深く刻まれています。
通算868本塁打という記録はいまだに破られていませんし、その努力の軌跡は、まさに「伝説」。
ですが、王選手が人々に愛されたのは、記録だけではありません。
試合後のインタビューで見せる穏やかな笑顔。
チームメイトやファンへの感謝の言葉。
その姿勢に、日本人らしい美徳や謙虚さを見た人も多かったはずです。
当時の福田首相も、「王選手の姿が、日本人の理想像に重なった」と語ったそうです。
だからこそ、「この人に栄誉を贈りたい」と多くの人が心から思ったのです。
27人1団体が受賞!国民栄誉賞を受けた人たちの共通点
2025年9月現在、国民栄誉賞を受賞したのは27人と1団体です。
以下に、特徴的な受賞者をいくつかご紹介します。
- 古賀政男(作曲家):演歌の父と称され、昭和歌謡の礎を築いた人物。
- 美空ひばり(歌手):没後に受賞した初の人物。今もなお日本の歌姫として愛されています。
- 長谷川町子(漫画家):『サザエさん』で日本の日常と笑いを描き続けた先駆者。
- 高橋尚子(マラソン選手):シドニー五輪での金メダルと「笑顔のゴール」は国民に勇気を与えました。
- 羽生結弦(フィギュアスケート選手):史上最年少・23歳で受賞。美と技術の両立で世界を魅了。
- なでしこジャパン(団体):2011年FIFA女子ワールドカップで優勝、日本初の団体受賞者。
驚くべきことに、このうち12名は没後に受賞しています。
これは、命が尽きた後でも「あなたの功績は忘れない」という、国家としての最大限の敬意の表れです。
「栄誉」を受けるとはどういうことか?辞退した人たちの選択
実は、国民栄誉賞は辞退することも可能です。
これまでに、政府から打診を受けながらも受賞を辞退した人物が数人存在します。
中でも有名なのは、メジャーリーガーのイチロー選手。
2001年にアメリカンリーグのMVPを獲得し、世界的な評価を受けましたが、「まだ現役中であり、もっと成長したい」という理由で辞退しました。
また、2021年にメジャーリーグでMVPを受賞した大谷翔平選手も、同様に「今はその段階ではない」として辞退。
このように、国民栄誉賞は「国が与える最大級の賛辞」ではありますが、あくまで本人の意志が尊重されます。
その辞退の姿勢すらもまた、多くの人に感動を与えてきました。
9月5日が教えてくれること──「称える文化」の美しさ
国民栄誉賞の日、つまり1977年9月5日。
この日は、ただ一人の選手が賞を受けただけの日ではありません。
日本が「人を讃える文化」を、国として制度化した日なのです。
王貞治という象徴的な存在がいたからこそ、福田赳夫首相がその決断をし、国民がそれを祝福しました。
スポーツ、音楽、芸術、文化、どの分野であっても、誰かの努力を讃える心。
それは、時代が変わっても変わらない、日本人の美しい価値観です。
9月5日は、そんな「日本らしさ」を思い出させてくれる記念日なのです。
国民栄誉賞の日に関するよくある質問
Q1:国民栄誉賞はどのように決まるの?
内閣総理大臣が主導し、社会的評価・国民の声・象徴的な功績をもとに検討され、最終的には閣議決定されます。
Q2:賞金や副賞はあるの?
形式的な副賞や賞金はその都度異なり、必ずしも設けられているわけではありません。記念品や盾が贈られることもあります。
Q3:複数回受賞することはある?
現在のところ、国民栄誉賞は一人一回まで。重複しての授与は行われていません。
国民栄誉賞の日(9月5日)は、私たちの誇りを見つめ直す日
「国民栄誉賞の日」は、過去の偉業を讃えるだけでなく、私たちが何を美しいと感じ、誰を誇りに思うのかを改めて考える日です。
王貞治のホームラン、福田赳夫の決断、日本中の歓声。
それらが織りなすストーリーは、45年以上経った今も色褪せることがありません。
人を讃えること。
その価値に、あらためて思いを巡らせる1日。
それが、9月5日──国民栄誉賞の日なのです。
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