LPG車の日はどんな日?
✅ 東京五輪の聖火がLPガスで燃えた日
✅ 1964年10月10日の開会式が由来
✅ LPガス自動車普及促進協議会と旧LPガス協会
10月10日の「LPG車の日」は、LPガスを燃料に走る自動車に目を向ける記念日です。背景には、日本の歴史に残る1964年の東京オリンピックがあります。
開会式が行われた10月10日、国立競技場の聖火台にはLPガスが供給されました。最終聖火ランナーの坂井義則さんが点火した炎は、大会期間中の象徴となります。第18回オリンピック競技大会は10月24日まで15日間開催されました。
その出来事から45年後の2009年、「LPG車の日」が設けられました。LPガス自動車普及促進協議会の公式記録には、2009年10月1日に10月10日を「LPG車の日」と制定したことが掲載されています。業界団体の発表では、日本記念日協会への登録日は2009年9月25日です。
普段はタクシーなどで見かけるLPG車。その記念日の由来をたどると、オリンピックの聖火から日本の自動車文化まで、意外なつながりが見えてきます。
LPG車の日の由来は?なぜ10月10日なのか
LPG車の日が10月10日なのは、1964年東京オリンピックの開会式に由来します。
1964年10月10日、東京の国立競技場で第18回オリンピック競技大会が開幕しました。東京大会はアジアで初めて開催されたオリンピックです。93の国と地域から選手が集まり、日本からは355人の選手が出場しました。
開会式の大きな見せ場の1つが、聖火台への点火でした。
最終聖火ランナーを務めたのは坂井義則さんです。坂井さんは10万713人目のリレー走者として国立競技場へ入りました。バックスタンド中央にあった163段の階段を上り、午後3時03分に聖火台へ火を移しています。
その聖火台の燃料として使われたのがLPガスでした。
当時の資料によると、国立競技場の設備には500kg容器が6本用意されていました。さらに120kg/hの能力を持つ気化器などが組み込まれています。聖火台のバーナーは外輪80kg/hと内輪40kg/hの2重構造でした。
合計すると定格燃焼量は120kg/hです。24時間その出力で燃やせば、計算上は1日約2,880kgのLPガスになります。
オリンピックの聖火と自動車用燃料は、一見すると別の話に思えるかもしれません。しかし、どちらにも「LPガスを燃料として活用する」という共通点があります。
この1964年10月10日の出来事にちなみ、LPガス自動車普及促進協議会と当時の社団法人LPガス協会が「LPG車の日」を制定しました。現在は一般社団法人全国LPガス協会が関連情報を発信しています。JAFも、両団体がLPG車の普及を目的として制定した記念日と紹介しています。
制定された時期については、2つの日付を分けて見るとわかりやすくなります。
LPガス自動車普及促進協議会の公式サイトには、2009年10月1日に「10月10日をLPG車の日と制定」と記録されています。一方、一般社団法人全国LPガス協会の2015年の発表では、日本記念日協会への登録日は2009年9月25日とされています。
つまり、2009年に誕生し、日本記念日協会にも登録された記念日と整理できます。
なお、同じ10月10日には「LPガスの日」もあります。こちらは一般社団法人全国LPガス協会の発表によると、2013年3月22日に日本記念日協会へ登録されました。「LPG車の日」とは登録時期が異なるため、混同しないようにしたいところです。
LPG車の日から見える興味深い背景
LPG車の日を知ると、日本でLPガス自動車が広まった歴史も見えてきます。
LPG車は東京オリンピックより前から走っていた
日本のLPG車の歴史は、1964年東京オリンピックより古くまでさかのぼります。
一般社団法人全国LPガス協会の資料では、昭和初期に燃料タンク交換式のLPG車研究が始まったとされています。1942年にはLPG車が4,800台まで増えたとの記録もあります。
大きな転換期となったのは1962年です。大阪市東成区に日本初のLPガススタンドが完成しました。同じ頃からタクシーへのLPG車導入も急速に進みます。
1963年には東京初のLPガススタンドが東京都江東区に開設されました。そして1964年には、LPG車の燃料タンクが固定式へ移行しています。
東京オリンピックが開かれた1964年は、LPガス自動車を支えるインフラが広がっていた時期でもありました。
聖火台でLPガスが使われた出来事と、LPG車の普及が進んだ時代。その2つが同じ1960年代に重なっていた点も、10月10日の由来を興味深くしています。
LPGとは何の略?
LPGは「Liquefied Petroleum Gas」の略です。日本語では「液化石油ガス」と呼ばれます。
LPガスには主にプロパンやブタンが含まれます。日本LPガス協会が示すJIS K 2240では、自動車用燃料として使われるLPガスについても組成などの規格が定められています。
そのため、LPG車は「LPガス自動車」や「プロパン車」と呼ばれることもあります。
自動車用LPガスは地域の気温などに合わせて成分が調整されます。一般社団法人全国LPガス協会では、ブタンとプロパンの割合が地域によって変わると説明しています。
ガソリンスタンドに対して、LPG車が燃料を補給する場所は「LPガススタンド」です。「オートガススタンド」と呼ばれる場合もあります。
LPG車がタクシーで使われてきた理由
日本でLPG車と縁が深い車といえば、タクシーです。
LPガスは自動車用燃料として長く利用されてきました。一般社団法人全国LPガス協会も、タクシーを中心にトラックや小型バスなどへ利用されていると説明しています。
LPG車には、黒煙が出にくいという特徴があります。LPガス自動車普及促進協議会は、NOxやSOxなどの排出が少ない燃料としてLPガスを紹介しています。
もちろん、自動車の環境性能は車種やエンジンによって異なります。そのため「LPGならすべて同じ数値になる」という意味ではありません。
一方、業務用車両は1日の走行距離が長くなる傾向があります。燃料費や整備性を考える必要があるタクシー業界と、LPG車は長く結びついてきました。
LPG車はハイブリッドにも進化している
LPG車は昔ながらのタクシーだけの存在ではありません。
代表例が、トヨタ自動車の「JPN TAXI」です。2017年10月23日に発売され、LPGと電気を組み合わせたハイブリッドシステムを採用しました。
JPN TAXIには1.5LのLPGハイブリッド専用エンジンが搭載されています。トヨタは、タクシーで求められる耐久性と燃費性能を考えたシステムとして開発しています。
街でJPN TAXIを見かけたとき、その燃料の一部が10月10日の記念日につながるLPガスだと考えると、見え方が少し変わります。
1964年の国立競技場で燃えていたLPガスは、半世紀以上を経た現在も、自動車用エネルギーとして活用されています。
災害時の移動を支えた記録もある
LPガスには、災害時のエネルギーという側面もあります。
一般社団法人全国LPガス協会によると、東日本大震災ではガソリンや軽油の供給が不安定になる中、LPガスがタクシーや配送車の稼働を支えた事例がありました。
こうした経験を踏まえ、「自立型LPガススタンド」の認定制度も設けられています。停電時でも一定の供給機能を保てるスタンドを増やし、地域交通の維持につなげる仕組みです。
2026年4月時点でも、自立型LPガススタンドとして認定された事業者が全国各地にあります。
LPG車の日には環境性能や経済性だけでなく、燃料を分散して持つ意味を考える視点も含まれています。
LPG車の日に関係の深い人物や団体
LPG車の日を語るうえで外せないのが、坂井義則さんとLPガス関連団体です。
坂井義則さんと1964年東京オリンピック
坂井義則さんは、1964年東京オリンピックの最終聖火ランナーです。
坂井さんは1945年8月6日、広島県三次市で生まれました。広島に原子爆弾が投下された日と同じ日に生まれた人物が、平和の祭典で聖火を運んだことでも知られています。
東京大会の聖火は1964年8月21日にギリシャのオリンピアで採火されました。その後アジア各地を経由し、9月7日に沖縄へ到着しています。
国内では4つのコースに分かれてリレーされました。10月10日の開会式で坂井さんが国立競技場の聖火台へ点火し、長い聖火リレーが完成します。
LPG車の日は自動車の記念日です。しかし、その日付を決めるきっかけには坂井さんが点火した歴史的な聖火があります。
LPガス自動車普及促進協議会
記念日の制定団体として中心的な存在が、LPガス自動車普及促進協議会です。
同協議会はLPG車の情報を発信し、車両やLPガススタンド、関連制度などを紹介しています。公式サイトには2009年10月1日の記録として、「10月10日をLPG車の日と制定」と明記されています。
LPG車の環境性能や構造、航続距離なども扱っています。自動車用LPガスを知るための専門的な情報源として活動を続けています。
2026年にもタクシー関連イベントや環境イベントへ参加しており、LPG車の普及活動は現在も継続中です。
旧LPガス協会と一般社団法人全国LPガス協会
LPG車の日を制定したもう1つの団体として、当時の社団法人LPガス協会が挙げられます。
現在、関連情報を発信しているのは一般社団法人全国LPガス協会です。同協会はLPガス事業の安全確保や普及、技術開発、防災など幅広い活動を行っています。
一般社団法人全国LPガス協会は、2015年にも「10月10日はLPガスの日・LPG車の日」としてキャンペーンを実施しました。その発表では、LPG車の日が2009年9月25日に日本記念日協会へ登録されたことも確認できます。
そのため制定団体を説明する際は、当時の「社団法人LPガス協会」という名称と、現在の「一般社団法人全国LPガス協会」を区別するとわかりやすくなります。
LPG車の日に関するよくある質問
Q.LPG車の日はなぜ10月10日なのですか?
1964年10月10日に東京オリンピックが開幕し、国立競技場の聖火にLPガスが使われたことに由来します。
東京大会は10月10日から24日まで開かれた第18回オリンピック競技大会です。開会式では坂井義則さんが最終聖火ランナーを務め、午後3時03分に聖火台へ点火しました。
国立競技場の聖火設備にはLPガスが供給されていました。この歴史から、10月10日がLPG車の日として選ばれています。
Q.LPG車の日は誰が制定したのですか?
LPガス自動車普及促進協議会と、当時の社団法人LPガス協会が制定した記念日です。
LPガス自動車普及促進協議会の記録には、2009年10月1日に10月10日をLPG車の日として制定したことが掲載されています。
また、一般社団法人全国LPガス協会の発表では、2009年9月25日に日本記念日協会へ登録されたとされています。
制定日を紹介する情報では「2009年10月1日」、登録については「2009年9月25日」という2つの日付が登場します。役割が違う日付として覚えると整理しやすくなります。
Q.LPG車と普通のガソリン車は何が違うのですか?
大きな違いは、エンジンを動かす燃料です。
LPG車は液化石油ガスを燃料として利用します。自動車用LPガスには、プロパンやブタンを含む燃料が使われています。
LPガス自動車普及促進協議会は、LPG車をCO2削減や排出ガスの面で特徴を持つ車として紹介しています。実際の排出量や燃費は車種や走行条件によって変わります。
現在はLPGだけで走る車に加え、トヨタJPN TAXIのようなLPGハイブリッド車もあります。2017年に登場したJPN TAXIは、LPG燃料対応のエンジンと電動技術を組み合わせています。
LPG車の日が伝える1964年の聖火と自動車文化
10月10日のLPG車の日は、1964年東京オリンピックの聖火から生まれた記念日です。
国立競技場で坂井義則さんが点火した聖火にはLPガスが使われました。その45年後となる2009年、LPガス自動車普及促進協議会などによってLPG車の日が制定されています。
日本では1962年に大阪で最初のLPガススタンドが誕生しました。その後はタクシーを中心にLPG車が身近な交通を支え、現在はJPN TAXIのLPGハイブリッドへ技術が受け継がれています。
街でタクシーを見かけたら、10月10日の国立競技場を思い出してみるのも面白いものです。オリンピックの聖火と日常の「働く車」が、LPガスという1つの燃料でつながっています。
