狩猟解禁日（11月15日 記念日）はどんな日？
✅ 鳥獣保護法により、全国（北海道を除く）で狩猟が合法的に始まる日です。
✅ 狩猟文化の継承と野生動物との共生を考える重要な節目です。
✅ 環境省、都道府県、猟友会などが深く関わっています。
枯れ葉が舞い、森が静けさを帯びる11月。
その自然の中に、カチリと猟銃の安全装置が外される音が響きます。
11月15日、全国の狩猟者たちにとっての“幕開け”となる日。
それが「狩猟解禁日」です。
この日を境に、法のもとで野生鳥獣の捕獲が可能となり、山と人との静かな対話が始まります。
しかし、これは単なる“狩りの解禁”ではありません。
実はこの制度には、生態系の保護、農作物の被害防止、そして古来から続く日本の狩猟文化の継承という、いくつもの意味が込められているのです。
この記事では、「狩猟解禁日とは何か？」を起点に、
・なぜ11月15日なのか？
・狩猟は誰でもできるのか？
・どんな動物が対象？
・狩猟免許ってどう取るの？
・狩猟が地域や食文化に与える影響とは？
といった素朴な疑問に答えながら、「狩猟解禁日」の奥深さと魅力をじっくりご紹介します。
自然と人が共に生きる知恵の象徴とも言えるこの記念日。
きっと、あなたの中の“自然観”が少し変わるはずです。
狩猟解禁日（11月15日）の由来はなぜこの日？理由と背景を詳しく解説
「狩猟解禁日」とは、その年の狩猟期間が始まることを意味します。
日本の法律「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律（鳥獣保護管理法）」では、毎年11月15日から翌年2月15日までが、原則的な「狩猟期間」と定められています。
この日付の設定には、大きく2つの理由があります。
まず1つ目は「野生動物の繁殖期を避けるため」です。
動物たちは春から夏にかけて繁殖し、秋には子育てを終えます。
そのタイミングで狩猟を行えば、生態系に与える影響を最小限に抑えることができるのです。
2つ目は「冬に向けて動物の活動が活発になる」こと。
気温が下がると、動物たちは越冬に備えてエサを探し始めます。
そのため追跡しやすく、狩猟が現実的に行いやすくなるのです。
なお、北海道だけは例外で、10月1日から翌年1月31日までと期間が異なります。
これは北海道特有の気候と動物分布に配慮した結果です。
つまり「11月15日」は、動物と自然への敬意とバランスを考慮した“意味のある日”なのです。
狩猟解禁日（11月15日）に知っておきたい豆知識10選
狩猟について漠然としたイメージを持っている方も多いはず。
「山の中で自由に動物を捕っていいの？」
「誰でも銃を持てるの？」
「何のために今でも狩猟してるの？」
こうした疑問を解消するため、知っておきたい基本知識をまとめました。
- 狩猟には「狩猟免許」が必要です。
- 狩猟免許には「網猟」「わな猟」「第一種銃猟」「第二種銃猟」の4種類があります。
- さらに銃を使う場合は「銃砲所持許可」も別途必要です。
- 対象となる鳥獣は国が指定しており、「イノシシ」「ニホンジカ」「カモ類」などが代表的です。
- 捕ってはいけない動物も存在し、希少種や繁殖期中の種は厳しく保護されています。
- 狩猟可能な地域、期間、時間帯も細かく法律で定められています。
- 違反すれば、罰金や免許取消など重い罰則があります。
- 最近は若い世代の「狩猟女子」も増加中です。
- ジビエブームの影響で、飲食業界でも注目されています。
- 狩猟は害獣対策や農作物被害の軽減にも役立っています。
つまり、狩猟は「自然との知的なかけひき」であり、ただ動物を捕るための活動ではありません。
しっかりした知識と倫理観のもとに成り立っている文化なのです。
狩猟解禁日（11月15日）と深く関わる人々と組織
「狩猟解禁日」が単にカレンダーに書かれた日付ではなく、社会的・文化的に意味を持つ背景には、それに関わる多くの人々の存在があります。
まず中心となるのは「環境省」。
全国の鳥獣保護や狩猟制度の統括を担っており、科学的なデータに基づいて狩猟期間や対象種の調整を行っています。
次に「都道府県」。
それぞれの地域の気候や生態系に応じて細かいルールを設けており、狩猟免許の発行や講習会も各自治体が実施しています。
そして現場の最前線にいるのが「猟友会」と呼ばれる地域の狩猟者団体です。
猟友会は、狩猟者同士の情報共有、安全教育、有害鳥獣の駆除依頼対応など、多岐にわたる活動を行っています。
たとえば農家の依頼でシカやイノシシを駆除したり、地域の学校で狩猟に関する講話をしたりと、地域社会に根付いた活動が特徴です。
また、近年では狩猟系YouTuberやインフルエンサーが登場し、狩猟の魅力やジビエ料理の魅力を若い世代にも発信しています。
「ただ獲って終わり」ではない、“つながり”の文化としての狩猟。
その舞台裏には、目立たないけれど確かな支えがあるのです。
狩猟解禁日（11月15日）にまつわる素朴な疑問を解決！
Q1. 狩猟免許って、どうやって取るの？
狩猟免許の取得には、まず都道府県が実施する試験に合格する必要があります。
試験には、筆記と実技があり、安全管理や法律の知識、実際に罠を扱う技能、銃の模擬操作などが問われます。
免許の種類によって試験内容が異なるので、自分の希望に合った猟法を選ぶことが第一歩です。
また、銃猟を希望する場合は、公安委員会による厳格な審査（精神・身体の健康、身辺調査など）をクリアしなければなりません。
手間はかかりますが、その分、制度はしっかりと整備されています。
Q2. なぜ狩猟が今も必要なの？
近年、山間部を中心に「ニホンジカ」や「イノシシ」などが農作物に大きな被害を与えています。
さらに、森林の生態系バランスが崩れ、若木の芽が食べられて樹木が育たなくなるなど、深刻な問題も発生しています。
狩猟はこうした「人と自然との境界の乱れ」を防ぐ手段の一つとして、今なお重要な役割を果たしています。
また、自然と向き合い「命をいただく」意識を持つことは、現代社会においてとても貴重な経験でもあります。
Q3. ジビエって何？狩猟とどう関係あるの？
ジビエ（Gibier）とは、フランス語で「狩猟で得た野生の鳥獣肉」のことを指します。
日本でも最近は、ジビエ料理がレストランや道の駅で提供される機会が増えており、地域の新たな名物として人気を集めています。
たとえば、イノシシの鍋、鹿肉のハンバーグ、カモのローストなど、滋味深い味わいが魅力です。
狩猟によって得られた命を「食」として活かす。
それは、命を無駄にしないという意味でも重要な取り組みです。
狩猟解禁日（11月15日）をきっかけに見えてくる、新しい自然との関係
狩猟解禁日というと、どうしても「獲物を捕る日」という印象が強くなりがちです。
ですが、その背景には、自然環境と人間社会との「共存の知恵」がたくさん詰まっています。
野生動物を「ただの害獣」と見るのではなく、時に敵として、時に資源として、人は向き合ってきました。
そしてその向き合い方は、決して乱暴なものではなく、むしろ「感謝」と「覚悟」を伴うものであるべきです。
もしこの記事を読んで、「狩猟って面白そう」と少しでも思ったなら、それは自然への関心の芽です。
自然の中で生きる動物たちの命に触れ、人間が自然の一部であることを実感できる――それが狩猟の本質なのかもしれません。
