世界都市計画の日（11月8日 記念日）はどんな日？
✅ 都市計画の大切さを世界中の人々に再確認してもらうための国際的な記念日です。
✅ 1949年にアルゼンチンの都市計画学者カルロス・パオレーラ教授が提唱しました。
✅ 日本では都市計画協会を中心に、講演会などの啓発イベントが開催されています。
ふと街を歩いていると、なぜここに公園があるのか、どうして駅前は広く整備されているのか、疑問に思ったことはありませんか？
その裏側には、「都市計画」という目に見えない設計図があります。
私たちの毎日の暮らしや、未来の社会にまで影響を与える都市のかたち。
その価値と意味を改めて考える日が、毎年11月8日の「世界都市計画の日」です。
でも、「都市計画」って聞くと、どこか専門的で自分には関係のない話に思えるかもしれません。
けれど、私たちが通勤する道、子どもが遊ぶ公園、高齢者が安心して歩ける歩道――すべてが都市計画の成果なのです。
この記事では、なぜ11月8日が「世界都市計画の日」なのか、その由来と背景、そして今も続く活動や関連する情報を、分かりやすく丁寧にご紹介します。
暮らしをよりよくしたいと思うあなたにこそ、知ってほしい記念日です。
世界都市計画の日の由来とは？街に命を吹き込む思想から始まった
「世界都市計画の日（World Urbanism Day／World Town Planning Day）」は、1949年、南米アルゼンチンで一人の教授の想いから始まりました。
その人物こそ、都市計画のパイオニアとして知られるカルロス・パオレーラ教授（Carlos Paolera／1890〜1960年）です。
パオレーラ教授はこう考えました。
“人が住む場所は、ただの建物や道路の集まりではない。もっと人にやさしく、自然と共生し、未来に誇れるものでなければならない。”
彼のビジョンは、建築や土木といった分野を超えた、人間中心の「街の哲学」でした。
この思想を広く世界へと届けるため、教授は1949年に「世界都市計画の日」の制定を提案。
それが、今や4大陸・30ヵ国以上で認知される国際記念日として定着しているのです。
なぜ、日付が11月8日なのか？それは、教授が都市の未来について語った重要な講演の日と重なることから、象徴的な意味を込めて選ばれたとされています。
世界都市計画の日が伝えるメッセージとは？私たちの毎日にある「まちづくり」
世界都市計画の日が訴えかけるメッセージは明確です。
「より良い街づくりは、未来をつくる第一歩になる」ということ。
都市は単なる空間ではありません。
そこに暮らす人々の営みがあってこそ、街は「生きている」といえます。
例えば、災害に強い構造にすること、交通の便を良くすること、緑豊かな空間を残すこと…。
こうした一つひとつの選択が、10年後、50年後の街の姿を決めていきます。
この記念日をきっかけに、都市をただ「住む場所」として見るのではなく、「人と人、人と自然が共に生きる舞台」として捉える視点を持つことが求められています。
日本での広がりと都市計画協会の取り組み
日本においては、**1965年（昭和40年）**から「世界都市計画の日」に合わせた活動が始まりました。
その中心を担っているのが、公益財団法人・都市計画協会です。
本部は、東京都千代田区紀尾井町にあります。
この協会は、都市計画に関する調査研究を行い、政策への提言や市民への啓発を通じて、持続可能な都市づくりを支えています。
特に11月8日を中心とする時期には、都市計画に関する講演会、展示、セミナーなどが全国で開催され、一般の人々や学生も参加しやすい形で行われています。
都市計画は専門家だけのものではなく、私たち全員に関わるテーマであるということを、これらのイベントが伝えてくれます。
都市計画と法律のつながり：「都市計画法」の重要性
都市計画というと、なんとなく抽象的に感じるかもしれません。
でも実は、日本には都市づくりを明確に規定する法律が存在しています。
それが「都市計画法」です。
この法律は1968年（昭和43年）に制定され、都市の秩序ある発展と公共の福祉を目的としています。
都市計画法のポイントは次の通りです。
- 土地の用途を住宅、商業、工業などに分類する「用途地域」の設定
- 公園、道路、学校などの公共施設の整備方針
- 市街地と非市街地の線引き（都市計画区域と市街化区域の分離）
これにより、都市の無秩序な拡大や環境破壊を防ぎ、快適な生活空間を確保する仕組みが整えられています。
つまり、法律の力で「暮らしの質」を守っているということです。
都市計画とつながる記念日たち〜実は1年中、街のことを考えている
「世界都市計画の日」だけでなく、日本には都市に関連する記念日がいくつかあります。
それぞれの役割を知ると、街を見る目がぐっと広がります。
- まちづくり月間（6月1日〜30日）
都市の整備や地域活性化について、行政と住民が協力することを目的とした月間。 - 都市緑化月間（10月1日〜31日）
都市の中に緑を増やし、自然との共生を促すための期間。 - 都市景観の日（10月4日）
都市の景観を守ることが、文化や歴史、観光にもつながるという意識を高める日。
こうした記念日は、それぞれが都市計画の一部を担っています。
都市は「全体を考えながら、細部にこだわる」ことが大切なのです。
世界都市計画の日に関するよくある質問
Q1：世界都市計画の日の主な目的は？
A1：都市計画の意義を再認識し、より良い街づくりの必要性を世界で共有することです。
Q2：日本では具体的にどんなイベントがある？
A2：都市計画協会が主催する講演会や展示会、学生向けセミナーなどが行われています。
Q3：都市計画は私たち市民にも関係あるの？
A3：もちろんです。都市は市民が住み、働き、育つ場所。住民の声が反映されることでより良い街が生まれます。
世界都市計画の日が私たちに教えてくれること
もし、未来の子どもたちがこう言ったらどうでしょう？
「この街に住んでよかった」
「どこに行っても安心できる」
「もっとこの街が好きになった」
そんな未来のために、今できることがあります。
それが、都市計画です。
11月8日の「世界都市計画の日」は、都市づくりに携わる専門家だけでなく、私たち一人ひとりが街について考えるきっかけになります。
都市は自然にできあがるものではありません。
誰かの想いや設計、そして住む人々の声によって形作られていくのです。
この日、あなたの住む街に少しだけ目を向けてみませんか？
今まで気づかなかった街の魅力や、未来の可能性が、きっと見えてくるはずです。