1978年7月25日。
イギリスのオールダム総合病院で、世界初の体外受精による赤ちゃんが誕生しました。名はルイーズ・ジョイ・ブラウン。
彼女の誕生は、それまで「子どもを持つことを諦めるしかなかった」多くの夫婦にとって、命の奇跡と希望を与える出来事となりました。
そして、この歴史的な出来事を記念して制定されたのが「体外受精の日」です。
不妊治療のひとつとして世界中で広まり、日本でも1983年に東北大学で初の成功が報告されて以来、毎年数万人の赤ちゃんが体外受精を通して生まれています。
この日は単なる医学の進歩を祝うだけではありません。
命の尊さと、親になることを願う気持ちの重さ。
科学がその「願い」を実現できるという希望に満ちた、特別な記念日なのです。
✅ 世界初の試験管ベビー誕生の日
✅ 日本での体外受精初成功の節目
✅ 科学が命を繋ぐ希望の技術
体外受精の日はどんな日？
体外受精の日とは、1978年（昭和53年）7月25日に世界で初めて体外受精児が誕生したことを記念する日です。
舞台となったのは、イギリス・マンチェスターの北東に位置する「オールダム総合病院」。
この日、生まれたのは体重2,610グラムの元気な女の子――ルイーズ・ブラウン。
彼女は医学の歴史を変えた第一歩となった、世界初の“試験管ベビー”です。
この「試験管ベビー」とは、卵子と精子を体の外で受精させる「体外受精（IVF）」という方法によって誕生した赤ちゃんのこと。
当時はこの技術に対する賛否が大きく分かれましたが、今では年間数十万人もの赤ちゃんが体外受精によって生まれており、世界的な不妊治療の中核を担う技術となっています。
日本でも1983年、東北大学医学部の鈴木雅州博士らが日本初の体外受精による出産に成功。
それ以来、体外受精は急速に広まり、1999年には日本国内での年間出生数が1万人を突破。
現在では、日本で生まれる赤ちゃんのうち、約16人に1人が体外受精によって誕生しているとされています。
体外受精の日の由来とその歴史をたどる
「体外受精」とは、体外に取り出した卵子に精子をふりかけ、人工的に受精させ、その受精卵（胚）を子宮に戻して妊娠・出産を目指す治療法です。
正式には「体外受精・胚移植（IVF-ET）」と呼ばれています。
この技術が初めて成功したのが、1978年のこの日。
ロバート・エドワーズ博士（後にノーベル医学生理学賞を受賞）と、婦人科医のパトリック・ステップトー医師が長年にわたる研究の末に成し遂げました。
当時の医学界では、「人間の受精を体外で行う」ことに対して倫理的な議論が巻き起こりましたが、その後の成果が技術の意義を証明していきます。
日本では、1983年に東北大学医学部産婦人科チームによって、最初の成功例が報告されました。
体外受精の発展は、子どもを望む多くの家族に「可能性」という灯をともしたのです。
体外受精の日に知っておきたい豆知識
① 試験管ベビーという名前の由来
「試験管ベビー」と聞くと、まるで化学実験のような印象を持つかもしれません。
しかし実際には、卵子と精子はガラス製の小さな容器（シャーレ）で受精させることが多く、試験管を使うわけではありません。
この名称は、当時のメディアがセンセーショナルに取り上げたことから広まりました。
② 着床率を高める「胚盤胞移植」
体外受精では、受精卵を2〜3日育てた「初期胚」の段階、または5〜6日目まで培養した「胚盤胞（はいばんほう）」として子宮に戻す方法があります。
胚盤胞は着床率が高いため、近年ではこの移植法が主流になりつつあります。
また、体への負担が少なくなる「自然周期移植」や「凍結胚移植」なども登場し、より多様な選択肢が生まれています。
③ 日本の助成制度と現状
2022年4月から、日本では体外受精が保険適用となり、経済的負担が大きく軽減されました。
従来は1回数十万円かかる治療でしたが、保険適用によって利用の幅が広がっています。
また、自治体によってはさらに独自の助成金を設けている場合もあります。
体外受精の日に関わる人々とその物語
🌼 世界初の赤ちゃん：ルイーズ・ジョイ・ブラウン
ルイーズさんは現在、英国で穏やかに暮らし、自らも母となっています。
彼女の人生は「最初の存在」として注目されながらも、普通の人生を生きています。
「私は特別な方法で生まれただけ」と語る彼女の言葉は、多くの家族に勇気を与え続けています。
🧬 日本のパイオニア：鈴木雅州教授
東北大学の産婦人科医・鈴木雅州博士は、日本で最初の体外受精成功を導いた中心人物です。
その成果が、今日の日本における体外受精医療の土台となっています。
👩⚕️ 医師や培養士たちの努力
体外受精は、医師だけでなく、胚培養士（エンブリオロジスト）など多くの専門職の協力によって成り立っています。
一つの命が誕生するために、多くの人の繊細で高度な技術が注がれています。
よくある質問：体外受精の日ってどんな意味があるの？
Q1. なぜ記念日にする必要があるの？
A. 科学の進歩で命が生まれることの重みを忘れないため。多くの希望と勇気をくれた出来事を記憶に残すことはとても重要です。
Q2. 年齢によって成功率は変わるの？
A. はい、女性の年齢が高くなるほど成功率は低下します。35歳を境に下がり始め、40歳を超えるとさらに下がる傾向にあります。
Q3. 赤ちゃんに悪影響はないの？
A. 現在のところ、体外受精によって生まれた子どもに特別な問題が起きやすいという科学的な根拠はありません。多くは健康に成長しています。
まとめ：体外受精の日が伝える、命の意味と希望
7月25日は、科学の力で命が誕生した歴史的な日。
それは、ただの技術革新ではなく、「親になりたい」という願いを叶える希望の日です。
この日を知ることで、私たちは命の重みと、支える医療の大切さを再認識できます。
すべての家族に寄り添うこの記念日が、未来へつながる命の物語を紡ぎ続けることを願って――。
今日は何の日（7月25日は何の日）
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