魚河岸初競り(1月5日 記念日)はどんな日?
✅ 日本各地の魚市場で、その年最初の競りが行われる年始の風物詩
✅ 江戸時代の魚市場文化を今に受け継ぐ、縁起の良い「初物」取引が行われる
✅ 豊洲市場の初競りで高額マグロを落札する「すしざんまい」や「銀座おのでら」が注目される
毎年1月5日、日本全国の魚市場では、待ちに待った「魚河岸初競り」が開催されます。
この日は、魚を扱う市場にとってまさに「正月の目玉」。
活気に満ちた威勢のいい掛け声とともに、場内には新鮮な魚が並び、その年の「一番マグロ」を巡って競り人たちの熱気が充満します。
単なる魚の取引ではありません。
そこには日本人の「商い」への誇り、新年を迎える晴れやかな気持ち、そして縁起物を扱う独自の文化が息づいています。
特に東京・豊洲市場で行われる初競りでは、毎年数億円という驚きの金額でクロマグロが競り落とされ、「どの企業が一番マグロを取るのか?」という点でも注目を集めています。
この記事では、そんな「魚河岸初競り」の歴史や由来、毎年話題となる高額マグロの秘密、そしてその裏にいる人物や企業について、わかりやすく解説していきます。
読み終わる頃には、あなたも誰かに話したくなるような「初競り豆知識」が身についているはずです。
魚河岸初競りの由来は江戸時代の「日本橋魚河岸」
「魚河岸(うおがし)」という言葉に、どこか懐かしさや日本らしさを感じる方も多いのではないでしょうか。
この言葉のルーツは、江戸時代初期までさかのぼります。
徳川家康が江戸に幕府を開いたことで、城下町・江戸は急速に発展。その頃、将軍家に魚を納めるために江戸へ来た漁師たちが、余った魚を河岸で売り始めたのが「魚河岸」の起源です。
場所は、現在の東京都中央区・日本橋周辺。
この地域にできた市場は、やがて「日本橋魚河岸」として栄え、江戸の食文化を支える重要なインフラとなっていきます。
その後、関東大震災によって市場は大きな被害を受け、築地への移転が決定。築地市場は1935年に開場し、「築地=魚河岸」として全国にその名を知られる存在になりました。
この伝統と文化を受け継ぐのが、現在の「豊洲市場」です。
2018年に移転した豊洲市場では、築地の歴史や儀式を丁寧に継承しながら、新たな設備と衛生管理のもとで取引が行われています。
そのため、「魚河岸初競り」は単なる市場行事ではなく、江戸から現代へと続く魚市場の“魂”を感じられる瞬間なのです。
魚河岸初競りで話題の「一番マグロ」とは?その価値の理由
「一番マグロ」。その言葉だけで、なんだか特別な響きがありますよね。
毎年、1月5日の初競りで最も注目されるのが、この「一番マグロ」の落札です。その年の一番最初に競りにかけられる本マグロであり、縁起物として高額な「ご祝儀価格」がつけられます。
ここで多くの人が疑問に思うのが、「なぜ1匹のマグロに何億円も払うの?」ということ。
実は、そこにはいくつもの意味と価値が詰まっているのです。
高額マグロの価値とは?
- 企業の宣伝効果
ニュースやSNSで大きく報道されることで、企業の知名度が爆発的に向上します。 - 商売繁盛の願掛け
新年の始まりに大金を使うことで「景気を呼び込む」という考えが根底にあります。 - 産地や漁業への敬意
苦労して水揚げされた最高級のマグロに正当な対価を払うことで、漁師へのリスペクトが示されます。
特に注目されるのが、青森県大間産のクロマグロ。
大間の海は潮の流れが速く、マグロの身が引き締まるとされ、世界でも最高級のマグロとして知られています。
そのため「一番マグロ」として登場するのは、ほとんどが大間産。
そして、その「高級な初物」に対して支払われる価格は、まさに“日本の正月の顔”と言えるでしょう。
魚河岸初競りで毎年注目される人物・企業とは?
魚河岸初競りのヒーローとも言える存在が、「すしざんまい」の喜代村(きよむら)と、その創業者・木村清(きむら きよし)社長です。
木村社長はこれまでに何度も「一番マグロ」を落札し、マスコミにも頻繁に登場。
その豪快な人柄と“マグロ愛”に満ちた言動から、「マグロ大王」とも呼ばれています。
喜代村と「マグロ大王」の軌跡
- 2013年:222キロのマグロを1億5540万円で落札
- 2019年:278キロのマグロを3億3360万円で落札(史上最高額)
- 2020年:276キロのマグロを1億9320万円で落札
このように、木村社長の落札劇は毎年の恒例行事となり、「今年もすしざんまいがやるのか!?」と注目される存在となっています。
一方、2020年代に入って注目を集めているのが、「銀座おのでら」などを展開するONODERA GROUP(オノデラグループ)です。
ONODERA GROUPの存在感
- 2025年:276キロのマグロを2億700万円で落札(史上2番目の高値)
→ 仲卸業者「やま幸(ゆき)」と共同落札
オノデラグループは世界中に日本料理店を展開しており、ブランド価値の強化と日本食文化の発信を目的に、初競りへの参加を強化しています。
このように、魚河岸初競りは企業間の「新年の勝負の舞台」ともなっているのです。
魚河岸初競りに関するよくある質問
Q1. 一般の人でも初競りに参加できますか?
A. 一般の方は参加できません。初競りは登録された仲卸業者や買受人のみによる取引ですが、豊洲市場の見学エリアから一部様子を観察することができます。
Q2. なぜ1月5日に行われるのですか?
A. 魚市場は年末年始に休市するため、1月5日が年始最初の営業日とされてきたことから、初競りがこの日に行われるようになりました。
Q3. 落札されたマグロはどう使われるの?
A. 落札後すぐに加工され、その日のうちに店舗で提供されます。特に一番マグロは「初物」として多くの人が注文し、その味わいと縁起を楽しみます。
魚河岸初競りのまとめ|日本の年始を彩る“粋”な文化
「魚河岸初競り(1月5日)」は、新しい年の幕開けを告げる、日本ならではの豪快で華やかな行事です。
江戸時代から受け継がれてきた魚市場の歴史と精神が、この一日だけで鮮やかに甦ります。
そこには単なる取引ではない、「文化」と「商い」の深いつながりがあります。
数億円のマグロに込められた企業の想い、漁師の誇り、消費者の期待。
すべてが交錯するからこそ、この行事は毎年ニュースになるほど注目されるのです。
今後も日本の正月の風物詩として、「魚河岸初競り」は世界に誇る“食と商いの伝統”を伝え続けていくでしょう。
