戊辰戦争開戦の日（1月3日）はどんな日？
✅ 1868年1月3日に旧幕府軍と新政府軍が京都・鳥羽・伏見で初めて交戦した日です。
✅ 戊辰戦争は日本の近代化と明治政府誕生のきっかけとなった内戦です。
✅ 徳川慶喜、新政府軍の薩摩藩・長州藩、奥羽越列藩同盟が中心勢力でした。
幕末、日本が大きく揺れ動いた「開戦の日」
1868年の1月3日。お正月ムードの中、京都では新時代を告げる「最初の一発」が放たれました。
場所は、鳥羽・伏見。この日を境に、日本は250年にわたる徳川幕府の時代に終止符を打ち、「明治」という新たな時代へと一気に加速していきます。
この戦争の名前は「戊辰戦争（ぼしんせんそう）」。
聞いたことがある人も多いかもしれませんが、実は「戊辰」という名前は当時の干支（えと）から来ています。
1868年は干支で「戊辰（ぼしん）」にあたる年。その年に始まったため「戊辰戦争」と呼ばれるようになったのです。
この記念日、単なる「戦争が始まった日」と思っているとしたら、それはもったいないです。
実はこの日は、日本という国が「武士の国」から「近代国家」へと一歩を踏み出した、まさに歴史の転換点ともいえる大事な日。だからこそ、毎年1月3日を振り返ることで、日本の今をより深く理解できるようになります。
戊辰戦争開戦の日の背景と由来 ― なぜ1月3日が歴史的な意味を持つのか
1867年の年末、江戸幕府第15代将軍・徳川慶喜が政権を朝廷に返上する「大政奉還」が行われました。それによって、日本の政権は一度、朝廷の手に戻ります。
けれど、これは単なる表面上の返還でした。実際には、幕府の権力構造や武士の特権が根強く残っており、「体制が変わった」と胸を張って言える状況ではなかったのです。
その中で、朝廷を中心とする勢力――特に薩摩藩・長州藩などは、本気で新しい政府を作ろうとしていました。
1868年1月、ついに王政復古の大号令が出され、「天皇親政」が宣言されます。
ここから新政府が誕生し、「幕府」という存在を正式に解体しようという動きが本格化するのです。
そして、緊張の糸が切れたのが1月3日。薩摩・長州を中心とした新政府軍と、旧幕府勢力が京都・鳥羽伏見の地で衝突。
ここに、日本最後の大規模内戦――戊辰戦争が開戦するのです。
旧幕府軍がなぜ敗れたのか？その理由と歴史の教訓
「徳川幕府って、ずっと日本を支配してきたんじゃないの？」
「そんなに簡単に倒れるわけがない」
そう思っていた人も多かったでしょう。でも、戊辰戦争が始まると、流れはあっという間に変わっていきました。
その大きな理由は3つあります。
① 新政府軍は「時代の流れ」に乗っていた
薩摩藩と長州藩は、幕末期にいち早く西洋の軍事技術を学び、近代兵器を導入していました。
鉄砲・大砲などの火器が充実しており、武士の伝統的な戦い方よりも、現代的な戦術にシフトしていたのです。
② 旧幕府軍の「将軍不在」
徳川慶喜は、鳥羽伏見の戦いのわずか3日後――1月6日には戦線を離脱して大坂から江戸へ逃げてしまいます。
現場の士気は一気に低下。
リーダーを失った旧幕府軍は、統制を失い、戦意も途切れました。
③ 世論と国際的な支持
欧米列強は、どちらが「日本を代表する政府なのか？」に注目していました。新政府軍が勝利するにつれ、諸外国も新政府を正当な統治者として認め始め、旧幕府側は孤立していきます。
つまり、時代はすでに「徳川家」ではなく「新しい日本」に流れ始めていたのです。
徳川慶喜はなぜ逃げたのか？ ― 幕府最後の将軍が下した決断
戊辰戦争開戦からわずか3日後。将軍・徳川慶喜は、大坂城を後にして、ひっそりと海路で江戸へ逃げ帰ります。
なぜ逃げたのか？
その理由は一言でいうと、「戦って勝てる見込みがない」と判断したからです。
彼は決して無謀な戦争を望んだわけではありません。むしろ、戦わずして政治的に決着をつけたかったのです。徳川家の血を守り、無用な流血を避けるため、自ら前線から退いたともいわれています。
しかし、その「撤退」は、結果的に旧幕府軍にとって致命的な行動でした。
リーダーを失い、士気を下げ、敗北を早めたとされるからです。
歴史に「もしも」はありませんが、もし徳川慶喜が鳥羽伏見で踏みとどまっていたら――日本の歴史は、もしかしたら違った形をとっていたかもしれません。
戊辰戦争に登場する人物たち ― ドラマよりドラマチックな実在の英雄たち
この戦争には、歴史に名を残す人物たちが多数登場します。
- 徳川慶喜：最後の将軍。理知的で冷静な判断力を持つが、撤退により旧幕府を崩壊へ。
- 西郷隆盛：薩摩藩の英雄。新政府軍の精神的な柱。
- 大久保利通：実務家として新政府を支え、近代化を推進。
- 木戸孝允（桂小五郎）：長州藩の知将。維新の設計者とも呼ばれる。
- 勝海舟：戦争終結に向けて、江戸無血開城を導いたキーパーソン。
まさに、幕末から明治へとつながる「豪華なキャスト」が、この戦争には揃っていました。それぞれの立場と信念が交錯する中で、日本の運命は大きく動いていったのです。
現代とつながる「戊辰戦争開戦の日」から学べること
現代の日本社会に暮らす私たちにとって、内戦や武士の時代は遠い過去の話かもしれません。けれど、この記念日は意外なほど、今と深く関係しています。
それは、「変化を恐れない勇気」の象徴だからです。
徳川時代という安定の象徴が終わることは、当時の人々にとって大きな不安だったはず。でも、変化を選んだことで、日本は西洋列強に立ち向かう近代国家への道を歩みました。
今もなお、「古い仕組み」と「新しい価値観」の狭間で揺れる社会の中で、1月3日は「時代を変えた一歩」を思い出させてくれる記念日なのです。
戊辰戦争開戦の日に関するよくある質問
Q1：戊辰戦争はどれくらい続いたのですか？
A：1868年1月から1869年5月まで、およそ1年5か月にわたって続きました。
主な戦場は、鳥羽・伏見、上野戦争、会津戦争、函館戦争などです。
Q2：戊辰戦争の勝者と敗者は？
A：新政府軍（薩摩・長州・土佐など）が勝者となり、旧幕府勢力が敗北しました。
結果、日本は明治政府による統一国家へと移行しました。
Q3：なぜ「戊辰戦争」と呼ぶのですか？
A：戦争が始まった1868年が干支の「戊辰（ぼしん）」に当たるため、その名が付きました。
「慶応4年」とも言われますが、年号ではなく干支で覚えられることが多いです。
まとめ ― 戊辰戦争開戦の日は、日本の未来を切り拓いた日
「戊辰戦争開戦の日（1月3日）」は、ただの戦争の始まりではありません。それは、武士の時代に別れを告げ、日本が近代国家としての第一歩を踏み出した「覚悟の日」です。
歴史の中にあるこの1日を知ることで、日本人としてのルーツを感じられるとともに、これからの社会でも「勇気を持って変化を選ぶ」ことの大切さを思い出させてくれる記念日です。