国際移民デー(12月18日)はどんな日?
✅ 1990年12月18日に国連で「移民労働者とその家族の権利に関する条約」が採択されたことを記念する日です。
✅ グローバル社会で生きる移民たちの権利と尊厳を守るため、国際社会が連携する日です。
✅ 国連をはじめ、IOM(国際移住機関)や市民団体がイベント・啓発活動を通じて関心を高めています。
移民の尊厳を守るために|国際移民デーの成り立ち
あなたの周りに、外国から来た人はいますか?
学校、職場、地域、どこにでも彼らはいます。でも、その背景や心の声を知る機会は、実はあまり多くありません。
国際移民デーは、そんな「移動してきた命」に寄り添い、世界中で生きる移民たちが抱える問題を、私たち一人ひとりが考えるきっかけとなる記念日です。
制定のきっかけは、1990年12月18日。この日、国連総会で「移民労働者とその家族の権利に関する国際条約」が採択されました。
この条約は、世界中で増え続ける移民労働者が、劣悪な労働環境や差別的扱いから守られることを目的に作られました。
その後、2000年に国連総会にて、12月18日を「国際移民デー(International Migrants Day)」と正式に制定。
今では世界各地で記念イベントや啓発活動が行われ、移民とその家族が直面する課題への理解を深める国際的な機会となっています。
国際移民デーにまつわる豆知識|知ると世界が違って見える
「移民」と「難民」は何が違うの?
まず混同されやすいのが「移民」と「難民」の違いです。
移民(Migrants)は、生活や経済的理由で自らの意思で国境を越える人々のこと。
一方で難民(Refugees)は、迫害や戦争などから逃れるために避難してきた人たちです。
この違いを知ることは、私たちの理解と配慮に大きな差を生みます。
世界には何人の移民がいるの?
国連の統計によると、2020年時点での国際移民の数は約2億8,100万人。
これは世界の全人口の約3.6%にあたります。
国を越えて暮らす人は、今や特別な存在ではなく、「普通の社会の一部」として根付いているのです。
移民が直面する現実とは?
自由な国際移動が可能になった一方で、移民たちはしばしば不当な低賃金、劣悪な労働環境、社会的差別などに直面しています。
中には、法的保護を受けられず「見えない存在」として扱われることも。
国際移民デーは、こうした状況に対し、国境を越えた理解と連帯の心を育むための大切な一日です。
日本と国際移民デー|意外と知らない国内の動き
「日本は移民を受け入れていない国」だと思われがちですが、実際は違います。
2023年時点で、日本には約330万人の在留外国人が暮らしています。これは日本の総人口の約2.6%にあたり、年々増加傾向にあります。
特に技能実習制度や特定技能制度などを通じて、アジア諸国を中心とした外国人労働者が日本の現場を支えています。
しかし、日本では移民労働者に関する人権保護が十分とは言えない現状も。
言葉の壁、文化の違い、制度の不備――。そうした課題に直面しながら、彼らは懸命に生活しています。
国際移民デーは、そうした**「見えにくい隣人」の姿に光を当てる日**でもあります。
国際移民デーと関わる主要な団体・人物たち
国連(United Nations)
国際移民デーの制定母体である国連は、移民問題を人権と持続可能な開発の観点から捉え、積極的に政策をリードしています。
移民を守るための法整備、加盟国間の連携強化などを推進しています。
IOM(国際移住機関)
IOMは国連関連機関として、移民の安全な移動と尊厳の保護を目的に活動しています。
難民支援とは異なり、「平時の移民」に特化した支援を行っているのが特徴です。
NGO・NPO、市民団体
世界中で移民支援に関わる団体が活躍しています。
例えば、通訳ボランティアの派遣、医療・法律相談のサポート、地域との交流イベントなど。こうした活動は、国際移民デーをきっかけに一層注目を集めています。
国際移民デーに関するよくある質問
Q1:なぜ12月18日なのですか?
1990年12月18日に、国連総会で「移民労働者とその家族の権利に関する条約」が採択された日だからです。
この日が「移民の権利を守る原点」として選ばれました。
Q2:私たちができることって何?
まずは知ること、そして伝えることが第一歩です。
ニュースを読む、本を手に取る、映画やドキュメンタリーを観る。
地域のイベントに参加することも立派な行動です。
日々の生活の中で、「違い」に対して偏見ではなく好奇心と敬意を持つことが大切です。
Q3:国際移民デーは祝日なの?
いいえ、日本では祝日ではありません。
しかし、国際的には多くの国が記念イベントや啓発活動を行っており、教育現場や市民団体がこの日に合わせた取り組みを実施しています。
国際移民デー(12月18日)まとめ|小さな関心が世界を変える
「国際移民デー」は、遠い国の話のように思えるかもしれません。でも実は、あなたの職場に、学校に、街に――移民の方々は確かに存在しています。
この日を通じて、私たちが少しだけ視野を広げることができたなら、それはきっと世界を少し良くする一歩になります。
移民は「社会の負担」ではありません。彼らは、新しい文化、新しい視点、そしてたくましい希望をもたらす存在です。
12月18日は、そんな彼らの存在に敬意を払い、共に未来を考える大切な日です。

