バッテリーの日(12月12日 記念日)とは?──忘れがちな“電池の絆”を思い出す日
✅ バッテリーの日は、1985年に当時の日本蓄電池工業会が「カーバッテリーの日」として制定し、1991年に「バッテリーの日」と名称を変更した記念日です。
✅ 日付の「12月12日」は、野球における投手(1番)と捕手(2番)の守備位置番号が“1”と“2”であることにちなみ、「バッテリー=1 と 2」の語呂合わせで決まりました。
✅ この日は、自動車用バッテリーだけでなく、乾電池や充電池、モバイルバッテリーなどあらゆる電池・蓄電池の安全な使い方をあらためて考える日として、当時の日本蓄電池工業会(現在の電池工業会)が、電池の正しい使い方と安全性の啓発を目的に設定しています。
この日は、私たちの日常で「当たり前」になっている電池やバッテリーを、改めて見つめ直すきっかけです。
たとえば寒い冬の朝、車がうまくかからず焦った経験。あるいは懐中電灯に入れた単三電池の液漏れ。そんな小さなトラブルも、たしかに電池やバッテリーの“当たり前”が関係しています。
バッテリーの日は、そんな「見過ごされがちな縁の下の力持ち」に感謝し、正しく安全に使うためのヒントや心がけを思い出させてくれる大切な記念日です。
バッテリーの日の由来と決まり — なぜ12月12日?
バッテリーの日の歴史は、1980年代の日本の自動車社会の広がりとともに始まります。
当時、自動車の普及に伴い「カーバッテリー」の重要性は増していました。特に日本の冬は寒さが厳しく、気温が下がるとバッテリーの性能が落ちやすくなるため、故障や“バッテリー上がり”によるトラブルが頻発する季節でもありました。
そこで、当時の日本蓄電池工業会は、カーバッテリーの正しい知識と点検・管理の習慣を広めるため、「カーバッテリーの日」を制定することを決めたのです。年は1985年(昭和60年)でした。
そして1991年(平成3年)、時代の変化に合わせて「バッテリーの日」と名称を変更。
これは、自動車用バッテリーに限らず、「乾電池」「充電池」「蓄電池」といったあらゆる電池・バッテリーに関する啓発の意味合いを広げるためでした。
なぜ12月12日か。ここに、ちょっとしたユーモアが隠れています。
「バッテリー」と聞くと、野球の「バッテリー」――投手と捕手のコンビを思い浮かべる人も多いでしょう。
その守備位置、投手は「1番」、捕手は「2番」。つまり「バッテリー=1 と 2」。
この“1と2”の並びをカレンダーにしたら「12月12日」――そんな語呂合わせに親しみを感じ、電池業界界隈ではしっくりきたようです。
さらに、この記念日は、同時に制定された電池の日(11月11日)とあわせて、11月11日から12月12日までを「電池月間」と定める取り組みにもつながっています。
電池月間を通じて、乾電池から大型蓄電池まで、“電池の安全・適正使用”について一連の啓発を行う――そんな意図が込められているのです。
こうして、「バッテリーの日」は単なる“記念日ギミック”ではなく、電池と私たちの暮らしの関係を見直すための、大切なきっかけとして誕生しました。
バッテリーの日にまつわる豆知識 — 電池・バッテリーと冬の注意点、使い方のコツなど
冬場のバッテリートラブルが増えるワケ
寒さは、バッテリーの大敵です。自動車用バッテリーも、乾電池も、気温が下がると化学反応の速度が落ち、電力の供給能力が低下します。
特に車の場合、寒い朝に「エンジンがかからない!」――こんな経験をした人は少なくないでしょう。
実際、冬場におけるバッテリーの上がり、つまり電力不足でエンジンがかからないというトラブルは多く、自動車のロードサービス出動理由の上位に入るほどです。
だからこそ、「バッテリーの日」は年末前の“冬の備え”としてぴったりのタイミングです。
この日をきっかけに、車のバッテリーの状態を点検したり、冬季用のバッテリーに切り替えたり、必要があれば交換を検討したりするのはとても理にかなっています。
家庭や持ち歩き機器の電池にも注意を
“バッテリー”という言葉からまず思い浮かぶのは車のバッテリーかもしれませんが、私たちの身の回りには多くの電池があります。
リモコン用の乾電池。懐中電灯や非常用ライト。スマートフォンやタブレット、モバイルバッテリー。さらには家庭用の非常用蓄電池――。
冬は寒さだけでなく、暖房の使用増加や停電リスク、災害への備えとして、こうした電池の使用頻度が上がります。
しかし、電池を長期間入れっぱなしにしておくと液漏れの恐れ。さらに、使い切った電池をそのまま放置するのも安全上好ましくありません。
そのため、バッテリーの日をきっかけに、
- 家庭内の乾電池や充電池の使い残しはないか
- モバイルバッテリーなどを過充電したまま放置していないか
- 災害時に備えて、使える電池を備蓄しているか
――といった点を確認する良い機会になります。
かつて行われた「最優秀バッテリー表彰」
面白いエピソードとして、かつては「バッテリーの日」にちなんで、スポーツとしての“バッテリー”――つまり野球の投手と捕手のコンビにスポットをあてた表彰が行われたことがあります。
セ・リーグとパ・リーグからそれぞれ最優秀バッテリー1組ずつを選び、功績や技術を称える――というもので、多くのファンや選手の注目を集めました。
このように、“電池・蓄電池のバッテリー”としての意味と、“野球のバッテリー”としての意味を橋渡しするユーモアと親しみが、「バッテリーの日」には込められていたのです。
バッテリーの日に関わる団体と、その取り組み
「バッテリーの日」を制定したのは、現在の電池業界を代表する団体である電池工業会です。
この団体は、もともと日本乾電池工業会や日本蓄電池工業会など複数の蓄電池関連団体が統合されてできています。
電池工業会は、ただ記念日を作るだけでなく、電池・バッテリーの安全な使い方、正しい廃棄方法、リサイクルの呼びかけなどを継続して行っています。
また、家庭用の蓄電池、自動車用バッテリー、モバイルバッテリーなど、用途が多様化した現代のニーズに応じた情報提供や普及啓発も行っています。
たとえば、冬季前になると「バッテリー点検を忘れずに」「古い電池は適切に処分を」といった呼びかけが行われたり、災害への備えとして「家庭の非常用電池チェックリスト」が公開されたりすることもあります。
こうした活動により、「バッテリーの日」は単なる“語呂の記念日”ではなく、現代社会で役立つ“暮らしの安全文化”の一部となっています。
バッテリーの日に関するよくある質問
Q1.なぜ冬にバッテリーが弱るのか?
寒さが理由です。
バッテリーは化学反応によって電気を生み出していますが、気温が低くなるとその反応自体が鈍くなります。
結果として、同じ容量でも出力が落ちたり、エンジンをかけるための電力が足りなくなったりすることがあります。
特にエンジン始動直後の大きな電力を必要とする車では、朝の冷え込みが “バッテリー上がり” を引き起こしやすくなるのです。
Q2.乾電池とバッテリー(蓄電池)はどう違うの?
乾電池は一般的に「使い捨て」、もしくは「使い切り」が前提の電源です。
一方、バッテリー(蓄電池)は「充電・放電を繰り返せる再利用可能な電源」という性質があります。
「バッテリーの日」は、この“再利用可能な電源”としての蓄電池全般を含めた名称変更の結果生まれたものです。
つまり、乾電池・充電池・車載バッテリー・家庭用蓄電池など、あらゆる電池を対象にした広い意味での“電源全般の日”ということになります。
Q3.自分でできるバッテリーの簡単な点検方法は?
車であれば、エンジン始動時のライトやアクセサリーの点灯・作動がスムーズかどうかをチェックするのがひとつの方法です。
ライトが暗い、ウィンカーが弱い、エンジンかけたときの音が弱い、などはバッテリーの劣化サインです。
また、乾電池やモバイルバッテリーなどは、長期間使わず放置したままにせず、定期的にチェックして、液漏れや容量の低下がないか確認することが大切です。
古い電池は、ちゃんと回収やリサイクルに回すなど、安全な処分も忘れないようにしましょう。
まとめ-バッテリーの日に、電池を見直すきっかけを
- 電池の日(11月11日)
- 電池月間(11月11日〜12月12日)
- バッテリーの日(12月12日)
バッテリーの日は、ただの語呂合わせから生まれた記念日ではありません。
それは、私たちの日常に静かに寄り添う「電池・蓄電池」の重要性をあらためて認識し、安全で安心な使い方を考えるための、ちょっと立ち止まる時間なのです。
寒い冬、車がかからず慌てた経験。懐中電灯が使えず不安になった夜。
そんな小さな不便や不安を防ぐために、バッテリーの日をきっかけに「点検」「備え」「見直し」をしてほしいと思います。
スマートフォンの電池でも、モバイルバッテリーでも、非常用の蓄電池でも。
使いやすいだけでなく、安全で信頼できる“電源”として、毎日の生活を支えてくれている存在――。
このバッテリーの日に、「ありがとう」と思いながら、ちょっとだけ電池と向き合う時間を持ってみてはいかがでしょうか。

