忙しい日常の中で、「ずぼら調理」や「簡単レシピ」は私たちの生活に欠かせないものになっています。
ちょっとした工夫で、簡単に手早く美味しい料理が作れるのは、誰にとっても魅力的ですよね。
特に電子レンジやIHコンロなどの調理家電は、火を使わず安全に調理ができるとして、安心感を持っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、その使い方を誤ると、火災や爆発など思わぬ事故が発生する可能性があることをご存じでしょうか?
実際に、NITE(製品評価技術基盤機構)が発表したデータによると、2019年から2023年にかけて、調理家電に関する事故が494件報告されています。
そのうち、44%(99件)は使用者の誤使用や不注意によるものです。
特に、電子レンジとIHコンロに関連する事故が多発しています。
そこで今回は、「ずぼら調理」で起こりがちな調理家電の誤使用事故について取り上げ、具体的な対策を紹介していきます。
誤使用による電子レンジの事故:何が問題なのか?
電子レンジは、火を使わずに食べ物を温めたり調理したりできる便利な家電ですが、誤った使い方をすると事故に繋がることがあります。
例えば、2020年3月には、カップ麺を容器ごと電子レンジで加熱したことで容器が爆発し、電子レンジ自体も破損する事故が起こりました。
容器が爆発する原因は、電子レンジ内で加熱されると容器の中の圧力が急激に上昇するためです。
このような事故は「ずぼら調理」にありがちなミスであり、正しい手順を踏まずに「容器ごと」加熱してしまうことが原因です。
カップ麺の容器は耐熱性があるように見えるかもしれませんが、実は電子レンジでの加熱には向いていないことがほとんどです。
また、電子レンジで加熱する食品の中でも、特に卵や栗など密閉された食品は破裂するリスクがあります。
内部の水分が急激に蒸発し、圧力が高まることで破裂し、やけどや機器の破損を引き起こすのです。
NITEのデータでも、電子レンジでの事故件数は149件と最も多く、その中でもこうした誤使用が原因となっています。
金属容器は絶対NG
さらに、電子レンジで金属製の容器やアルミホイルを使用するのも大変危険です。
電子レンジは、食品内の水分をマイクロ波で加熱する仕組みですが、金属はこのマイクロ波を反射し、火花が散ったり、火災を引き起こす可能性があります。
レトルト食品のアルミパウチや、アルミホイルで包んだ食品を電子レンジに入れるのは絶対に避けましょう。
IHコンロの誤使用による事故:見えない火災リスク
次に注目したいのが、IHコンロです。
IHコンロは、火を使わないため安全性が高いと考えられがちですが、誤った使い方をするとこちらも大きな事故を引き起こす可能性があります。
例えば、2019年6月には、女性が少量の油で揚げ物をしていた際に発火事故が発生しています。
この事故では、揚げ物モードを使用せず、さらに調理中にその場を離れたことが原因で油が過熱し、発火してしまいました。
IHコンロには、油が発火点に達しないように温度を一定に保つ揚げ物モードが搭載されていますが、この機能を使用しないと、油が急激に高温に達し、炎が見えなくても火災の危険性があります。
また、油の量が少ないと温度管理が難しくなり、さらに発火のリスクが高まります。
IHコンロを使用する際は、必ず規定の油量を守り、揚げ物モードを活用することが大切です。
さらに、調理中はその場を離れず、火災のリスクを減らすために目を離さないようにしましょう。
調理家電の安全な使い方:事故を防ぐための具体的対策
ここからは、具体的な事故を防ぐための安全な使い方について、電子レンジとIHコンロそれぞれのポイントを詳しく見ていきます。
電子レンジの正しい使い方
- 耐熱容器を使用する
電子レンジで加熱する際は、必ず耐熱容器を使用しましょう。カップ麺の容器やプラスチック製品の中には、加熱に耐えられないものがあります。説明書を確認し、耐熱性があるかどうかを確認することが重要です。 - 密封された食品に注意する
卵や栗など、内部に水分を含んだ食品は加熱すると破裂することがあります。加熱する前に切り込みを入れ、内部の圧力を逃がすようにしましょう。 - 金属を使わない
アルミホイルや金属製の容器は絶対に使用しないでください。金属は電子レンジ内でマイクロ波を反射し、火花や発火を引き起こす可能性があります。
IHコンロの正しい使い方
- 揚げ物モードを活用する
揚げ物をする際は、必ず揚げ物モードを使用し、油の温度が高くなりすぎないようにしましょう。 - 規定の油量を守る
少量の油で揚げ物をすると、温度が急激に上昇し発火するリスクがあります。IHコンロの説明書を確認し、規定の油量を守ってください。 - 調理中はその場を離れない
IHコンロは火を使わないため、安心して目を離すことが多いですが、これは大変危険です。調理中は常にその場を離れず、火災を未然に防ぎましょう。
まとめ
電子レンジやIHコンロは、日常の「ずぼら調理」において大変便利な家電です。
しかし、誤使用や不注意が原因で、火災や爆発といった重大な事故に繋がる可能性も高いことを忘れてはいけません。
NITEが発表したデータからもわかるように、調理家電の誤使用による事故は依然として多発しています。
私たち一人ひとりが、正しい使い方を守り、事故を未然に防ぐための対策を徹底することが重要です。
取扱説明書を確認し、金属製品を電子レンジに入れない、揚げ物をする際は適切なモードを使用するなど、基本的な安全ルールを守りましょう。