おもちの日はどんな日?
✅ 2010年に全国餅工業協同組合が制定
✅ 10と10は角もちと丸もちにも見える
✅ 増田明美さんらが制定イベントに登場
10月10日の「おもちの日」は、日本の伝統食である餅の魅力を広めるために設けられた記念日です。
制定したのは、包装餅の製造事業者でつくる全国餅工業協同組合。2010年から10月10日を「おもちの日」と定め、国内産水稲もち米100%の包装餅を中心に普及活動を続けています。
10月10日が選ばれた背景には、かつてこの日が「体育の日」だった歴史があります。1964年10月10日は東京オリンピックの開会式が行われた日。そこから生まれたスポーツとの結びつきと、餅が炭水化物を多く含む食品であることが重ねられました。
さらに、「10」と「10」という数字そのものにも遊び心があります。
全国餅工業協同組合では、膨らんだ餅を横から見た姿や、切り餅と丸餅を組み合わせた形が「10」に見えることも、日付を選んだ理由の1つとして紹介しています。10月10日は、スポーツの歴史と餅の形が重なった日なのです。
おもちの日の由来は?なぜ10月10日なのか
おもちの日の由来をたどると、中心にあるのは「スポーツの秋」です。全国餅工業協同組合は2010年、国内産水稲もち米100%で作る包装餅の需要拡大を目指し、10月10日を記念日に制定しました。
では、なぜ正月でも鏡開きでもなく10月10日なのでしょうか。その理由を理解するには、1964年まで時計を戻す必要があります。1964年10月10日、東京オリンピックの開会式が東京で開催されました。この日を記念し、1966年の祝日法改正によって10月10日は「体育の日」となります。
体育の日は、国民がスポーツに親しみ、健康な心身を育む趣旨を持つ祝日でした。
1998年の法改正を経て、2000年から日付は固定の10月10日ではなく「10月の第2月曜日」へ移ります。
さらに2020年から名称が「スポーツの日」に変わりました。現在も祝日は10月の第2月曜日で、10月10日に固定されているわけではありません。
一方、おもちの日は現在も毎年10月10日です。つまり、祝日の日付が移動した後も、1964年の東京大会と旧体育の日の記憶を受け継ぐ形で残っています。全国餅工業協同組合は餅をスポーツ時のエネルギー・栄養補給源に適した食品と位置づけ、「スポーツの秋!お餅でパワーアップ!!」という発信も行ってきました。
栄養成分を見ると、その背景もわかりやすくなります。文部科学省の食品成分データベースでは、餅100g当たりのエネルギーは223kcal、炭水化物は50.8gです。
利用可能炭水化物の単糖当量は50.0gとなっています。餅が炭水化物を多く含む食品であることは、こうした数値からも確認できます。
ただし、「スポーツに適している」という位置づけは、全国餅工業協同組合が記念日の普及活動で掲げているものです。運動前後の食事量やタイミングは、競技内容や体格でも変わります。「餅を食べれば運動能力が上がる」といった意味ではありません。
もう1つの日付の理由が、数字の形です。「10」と「10」を眺めると、四角い切り餅と丸餅を並べた姿を連想できます。焼いてぷっくり膨らんだ餅を横から見ると「10」に見えるという説明もあり、10月10日らしい覚えやすさにつながっています。
全国餅工業協同組合の活動記録には、2010年に「10月10日はおもちの日」のマークを制定し、記念日登録を行ったことも記されています。
同年には東京・お台場で制定を知らせるイベントも開催されました。記念日を作るだけで終わらせず、食文化とスポーツの両面から餅を知ってもらう活動へ広げた形です。
おもちの日に知りたい餅とスポーツの意外な背景
おもちの日には、「旧体育の日との関係」「数字の10」「日本の行事食」という3つの背景があります。特に興味深いのは、10月10日という1日から、近代スポーツと古い食文化の両方へ話が広がっていくことです。
まず、1964年10月10日の東京オリンピック開会式。この日を記念して生まれた体育の日は、長い間、日本では秋の運動会やスポーツを連想させる日として親しまれてきました。祝日の日付が2000年に移動した後も、「10月10日とスポーツ」という結びつきは、おもちの日の由来として残りました。
そして10月10日は、記念日が集中しやすい日でもあります。日本記念日協会によると、2025年8月1日時点で協会認定の記念日は10月10日に69件あり、年間で2番目に多い日でした。同協会は、月日が同じ数字の日は覚えやすく、語呂や形から意味を持たせやすいことを理由として挙げています。
おもちの日も、数字の形をうまく利用した1例です。角餅の四角と丸餅の丸を思い浮かべながら「10」「10」を見ると、カレンダーの数字が食べ物の姿に変わって見えてきます。旧体育の日という歴史的な理由だけでなく、記念日として覚えやすい工夫も込められているわけです。
餅そのものの歴史は、2010年に生まれた記念日よりはるかに古くまでさかのぼります。奈良時代に編纂された『豊後国風土記』には、大きな餅を的にして矢を射たところ、白い鳥となって飛び去ったという説話が残されています。全国餅工業協同組合も、713年に編纂が始まった風土記を餅の古い記録として紹介しています。
日本では餅は、空腹を満たす食品としてだけでなく、年中行事とも深く結びついてきました。農林水産省によれば、正月には歳神様への供え物として鏡餅を飾り、1月11日の鏡開きでは、その餅を汁粉やぜんざいなどにして食べる習わしがあります。
地域ごとの食べ方も豊富です。宮城県では正月や婚礼、盆、法事、農作業の節目などに餅が食べられ、餅料理は50種類以上あるとも伝えられています。あんこ餅だけでなく、くるみ餅や大根おろしを使ったおろし餅など、身近な食材と結びついて発展してきました。
この長い食文化を、現代の包装餅やスポーツという切り口から見直したのが10月10日のおもちの日です。奈良時代の説話から1964年の東京大会、2010年の記念日制定までを並べると、餅が時代によって異なる意味を持ちながら受け継がれてきた様子が見えてきます。
おもちの日と関係が深い全国餅工業協同組合や人物
おもちの日でもっとも関係が深い組織は、制定者である全国餅工業協同組合です。同組合は1974年7月に設立され、同年7月25日に農林大臣の認可を受けました。国内産水稲もち米のみを原料とする包装餅を基本理念に掲げています。
1982年には、組合員の商品であることを示すシンボルマークを制定しました。このマークは1989年に商標登録されています。全国餅工業協同組合によれば、組合員が国内産水稲もち米100%で製造した商品に表示できるもので、包装餅を選ぶ際の目印として普及を進めてきました。
2010年のおもちの日制定時には、記念日とスポーツの関係を伝えるため、大規模な催しも行われました。9月23日にアクアシティお台場で開催された制定記念イベントでは、スポーツジャーナリストの増田明美さん、スポーツコメンテーターの千葉真子さん、スポーツ栄養士のこばたてるみさんが登場しています。
3人が参加したトークショーでは、餅とスポーツの関係がテーマになりました。増田明美さんや千葉真子さんの競技経験にまつわる話も披露され、餅つきパフォーマンスには会場の子どもたちも参加。当日は5つの臼が用意され、餅つきが行われました。
さらに、会場では1,000人分の餅を用意した試食会が開かれ、準備した餅はすべて提供されたと記録されています。記念日の出発点から「実際に食べる」「体を動かす」という2つの体験を組み合わせていた点が、おもちの日らしいところです。
全国餅工業協同組合はその後も、佐渡国際トライアスロンや中学生のソフトボール、テニス、ラグビーなどスポーツ関連事業への協賛を行ってきました。2018年度には包装餅の品質・表示調査も実施し、市場から購入した32サンプルについて検査結果がすべて適正だったと公表しています。
組合は2015年度に事務所を新潟市へ移転しました。現在も国内産水稲もち米100%の包装餅について情報を発信し、餅の食文化の維持と発展を活動目的に掲げています。おもちの日は、こうした長期的な取り組みを象徴する10月10日の催しでもあります。
おもちの日に関するよくある質問
おもちの日はなぜ10月10日なのですか?
10月10日が選ばれた主な理由は、この日がかつて体育の日だったためです。旧体育の日は、1964年10月10日に東京オリンピックの開会式が行われたことを記念して生まれました。餅をスポーツ時のエネルギー補給に向く食品として発信していた全国餅工業協同組合が、その歴史に着目しています。
数字の形も理由の1つです。「10」と「10」が角餅と丸餅を並べたように見えることや、膨らんだ餅を横から見た形が「10」を連想させることも紹介されています。歴史と数字の両方から10月10日が選ばれました。
おもちの日は誰が制定したのですか?
制定したのは全国餅工業協同組合です。2010年から10月10日をおもちの日と定め、国内産水稲もち米100%の包装餅を広める活動を展開しました。同組合の活動記録にも、2010年に記念日登録を行ったことが記載されています。
日本記念日協会の認定記念日を紹介する資料でも、制定者は全国餅工業協同組合とされています。10月10日は現在も同組合がおもちの日として情報発信を続けている日です。
おもちの日はいつから始まったのですか?
始まったのは2010年です。全国餅工業協同組合が同年から10月10日をおもちの日とし、9月23日には東京のアクアシティお台場で制定記念イベントを開催しました。
2010年のイベントには増田明美さん、千葉真子さん、こばたてるみさんが参加し、餅とスポーツをテーマにしたトークショーや餅つきが行われています。つまり、記念日の始まりから「日本の伝統食」と「スポーツの秋」がセットになっていたことがわかります。
おもちの日は10月10日に日本の食文化とスポーツをつなぐ日
10月10日のおもちの日は、全国餅工業協同組合が2010年に制定した記念日です。その背景には、1964年の東京オリンピック開会式と、かつて10月10日に固定されていた体育の日の歴史があります。数字の「10」が角餅や丸餅を思わせることも、覚えやすい由来の1つです。
一方、餅の歴史をたどれば、奈良時代の『豊後国風土記』や正月の鏡餅など、日本人の暮らしと長く結びついてきた姿が見えてきます。2010年の制定記念イベントでは増田明美さんらも登場し、古い食文化を現代のスポーツへつなぐ形で記念日がスタートしました。
10月10日に切り餅や丸餅を手に取ったら、「10」と見比べてみるのも面白い楽しみ方です。いつもの焼き餅や雑煮の向こう側に、東京1964大会から続く記念日の物語と、何世紀にもわたる日本の餅文化が見えてきます。
