世界アルツハイマーデー(9月21日)はどんな日?
✅ 1994年、国際アルツハイマー病協会の会議で患者支援を進める宣言が採択された日。
✅ 世界中で9月を「アルツハイマー月間」として啓発活動が行われている。
✅ 国際アルツハイマー病協会(ADI)と「認知症の人と家族の会」が重要な役割を担っている。
9月21日: 世界アルツハイマーデー ― いま、私たちにできること
毎年9月21日は「世界アルツハイマーデー」です。この日を迎えるたびに、アルツハイマー病や認知症について改めて考える機会が訪れます。
世界中で100年以上にわたり闘われてきたこの病気は、今も多くの家族に深い影響を与え続けています。
ですが、この日を通じて一つだけ言いたいことがあります。それは、「理解と支援の輪を広げることが、私たちにできる最も大切なことだ」ということです。
アルツハイマー病とは何か?
アルツハイマー病は、認知症の中でも最も多くの人々に影響を与える病気のひとつです。
記憶を失い、物事を思い出せなくなるこの病気は、初期段階では「物忘れ」程度に思われがちですが、進行すると日常生活を送るのも困難になります。
自分の名前や家族の顔を思い出せなくなり、最終的には周囲とのコミュニケーションが取れなくなることもあります。
では、なぜこれほどまでに多くの人がアルツハイマー病に苦しんでいるのでしょうか。
それは、認知症の中でも最も進行が早く、治療法が確立していないからです。もちろん、研究は日々進んでいますが、アルツハイマー病の治療法はまだ見つかっていません。
世界アルツハイマーデーの歴史と意味
世界アルツハイマーデーは、1994年(平成6年)に「国際アルツハイマー病協会(ADI)」の国際会議で採択された宣言をきっかけに制定されました。
この日を通じて、アルツハイマー病や認知症に対する理解を深め、患者やその家族の支援を強化することが目的とされています。
また、9月は「世界アルツハイマー月間」として、世界中で啓発活動が行われます。各国で街頭キャンペーンが展開され、シンポジウムや講演会などが開催されるなど、広く認知症に関する情報が発信される月でもあります。
日本における活動の例
日本では、9月21日を中心に多くの活動が行われます。
例えば、お城やタワーなどのランドマークがオレンジ色にライトアップされ、アルツハイマー病の認知度を高めるための活動が展開されます。
オレンジ色は、アルツハイマー病の象徴的なカラーであり、この色でライトアップされることで、病気への関心を高めるとともに、患者やその家族に寄り添う気持ちを示しています。
また、全国各地で行われる記念講演会やシンポジウムでは、専門家による最新の研究成果や患者支援に関する情報が提供されます。
これらの活動は、単に病気の啓発だけでなく、病気に対する偏見をなくし、理解を深めるための重要なステップとなっています。
例えば、「認知症の人と家族の会」では、患者や家族のサポートを行うとともに、地域ごとの支援活動にも力を入れています。
全国の各都市では、この日を迎えるにあたり、街頭でのチラシ配布やボランティア活動が行われ、一般市民にも認知症への理解を促進するためのキャンペーンが実施されています。
アルツハイマー病と家族の支援 ― 患者の視点
アルツハイマー病は、患者本人だけでなく、その家族にも大きな影響を与える病気です。
ある家庭では、母親が認知症を発症したことにより、家族全員がそのケアに奔走することになりました。
初めは物忘れがひどくなる程度で済んでいたものの、次第に日常生活にも支障をきたすようになり、家族は専門の介護サービスを利用することを決断しました。
患者本人が最も困難なのは、自分が何を忘れているのか、どれだけ自分の状態が悪化しているのかを理解できないことです。
しかし、家族にとっては、愛する人が次第に自分を忘れていくことがどれほど辛いことかを感じる瞬間が多いのです。
そのため、アルツハイマー病においては、患者と家族の支援が最も重要です。
物忘れが進行する中でも、家族の愛情や支援があれば、患者は心穏やかに過ごすことができるかもしれません。
そして、家族にとっても支援を受ける場所があることで、精神的な負担が軽減され、より良いケアが提供されるのです。
アルツハイマー病への最新の研究と治療
アルツハイマー病の研究は日々進展しています。
最近では、アルツハイマー病の進行を遅らせる可能性のある新しい治療法がいくつか試験段階にあります。
例えば、アミロイドβというタンパク質が脳内で蓄積することが病気の進行に関与しているとされ、このアミロイドβを減少させる薬の開発が進んでいます。
また、認知症の予防にも焦点が当てられています。食生活や運動習慣、社会的な交流が予防に効果があることが分かってきており、早期の予防が重要だとされています。
さらに、遺伝子研究やAI技術を活用した診断法の向上も期待されています。これらの進展が今後、アルツハイマー病の早期発見や治療法の開発につながることを願っています。
まとめ ― 私たちにできること
「世界アルツハイマーデー」を迎えるにあたり、私たち一人一人にできることは何でしょうか。
それは、アルツハイマー病について学び、理解を深めること、そして患者やその家族を支援するために積極的に行動することです。
理解を広げ、社会全体で支え合うことが、患者や家族にとって大きな力になります。
例えば、身近な地域で行われている啓発活動に参加することや、認知症についての情報を共有することなど、私たちができることはたくさんあります。
アルツハイマー病を抱える人々が「理解されている」と感じ、支えられていると実感できる社会を作り上げることこそが、この日を意義あるものにするための鍵です。
皆さんも、この「世界アルツハイマーデー」を機に、アルツハイマー病について考え、できることから始めてみてください。
どんな小さな行動でも、それが一歩前進につながり、未来を変える力になるはずです。
