世界糖尿病デー(11月14日)はどんな日?
✅ インスリン発見者バンティング医師の誕生日を記念した国連の国際デー。
✅ シンボルは「ブルーサークル」で団結と空を象徴している。
✅ フレデリック・バンティング医師、IDF、WHO、国連が深く関わっている。
11月14日は、毎年「世界糖尿病デー」として世界中で注目される記念日です。
この日は、糖尿病という私たちの身近にもある疾患を単に“知っておく”日ではなく、「なぜ私たちにとって重要なのか」「今日から何をできるのか」を改めて考えるきっかけとなります。
世界で6秒に1人の命を奪うと言われる糖尿病の脅威。誰もが“いつかは他人事ではない”と感じる時代です。
この記念日には、青い丸「ブルーサークル」をシンボルに、世界中が“団結して糖尿病と闘おう(Unite for Diabetes)”というメッセージを発信します。
この記事では、なぜ11月14日なのか、どのような活動が行われているのか、私たち一人ひとりができるアクションとは何かを、親しみやすく、かつ専門性を保ちながらご紹介します。
家族や友人に「ねえ、知ってる?」と話したくなるような内容を目指しています。
世界糖尿病デー(11月14日)の由来――どうしてこの日?
まず押さえておきたいのは、記念日を形作る“3つの柱”です。
一つ目が「歴史」、二つ目が「世界的な危機感」、三つ目が「国際的な連携」です。
この三つが重なって、11月14日の世界糖尿病デーが生まれました。
インスリン発見と11月14日
カナダの医師 フレデリック・バンティング(1891‑1941年)は、1922年にインスリンの発見という画期的な研究を成し遂げました。
インスリンの登場以前、1型糖尿病はほぼ死に至る病とみなされていましたが、バンティングらの研究によって“管理可能な病”へと大きく転換しました。
11月14日は彼の誕生日であり、「発見への感謝」と「治療の希望」を象徴する日となりました。
国際記念日へと進化
1980年代末から、糖尿病の患者数が世界的に急増していました。つまり、「私たちの世代だけの問題ではない」という認識が生まれたのです。
それを受けて、国際的な団体である 国際糖尿病連合(IDF)と 世界保健機関(WHO)が中心となって、1991年に11月14日を「世界糖尿病デー」と定めました。
さらに、2006年12月20日には国連総会で決議(A/RES/61/225)が採択され、2007年以降は国連の公式国際デーとして扱われるようになりました。
目的と意義
記念日の目的はシンプルですが重いものです。
「糖尿病という全世界的な脅威を認知する」「予防・治療・ケアへの意識を高める」「国や社会が団結して対策に取り組む」という三つの方向です。
“6秒に1人”というフレーズは、糖尿病関連の死がいかに頻繁かを象徴しており、単なる啓発日ではなく、行動変容を促す日であることが強調されます。
このように、11月14日「世界糖尿病デー」は、歴史と現実と未来が交差する特別な日です。
世界糖尿病デー(11月14日)の豆知識――知るほど深まる“気づき”
この章では、ちょっと“へぇ”となる情報を集めました。友達に「知ってた?」と話したくなるようなものです。
シンボル「ブルーサークル」の意味
青い丸のマークは、IDFとWHOが採用したシンボルで、「空と世界」「どこまでも続く」「団結」のメッセージを込めています。
青は国連の旗の色と同じく「世界共通」「平和」「希望」を象徴し、丸い形は「輪」「つながり」「ひとつのチーム」を意味しています。
このため、11月14日には世界各地で建物や橋、ランドマークが青くライトアップされる「ブルーライトアップ」運動が行われています。
なぜ「6秒に1人」なのか?
しばしば「世界で6秒に1人が糖尿病で命を落としている」と言われます。これは、糖尿病およびその合併症(心疾患、腎不全、下肢切断など)による世界的な死亡・障害の頻度を強調するための表現です。
こうした数字を知ることで、「他人事ではない」という気持ちが湧き、啓発の力を持たせています。
年ごとのテーマと変化
毎年この記念日は、啓発のためのテーマが設けられています。
例えば、2021〜2023年は「Access to Diabetes Care(糖尿病ケアへのアクセス)」。2024〜2026年は「Diabetes and Well‑being(糖尿病とウェルビーイング=暮らしの質)」とされ、単に血糖だけでなく、心や社会・環境も含めた“生活まるごと”としての糖尿病対策に目が向けられています。
このように、時代やニーズに応じて記念日の役割も進化しているのです。
日本国内での取り組みの一例
日本でも、11月14日を中心に各地で啓発イベントが展開されます。例えば自治体での無料血糖測定、「ブルーライトアップ」対象施設の告知、糖尿病患者・家族向けのセミナーの開催など。
「今日、青い服を着ている人が多いな」と感じたら、それはこの記念日の影響かもしれません。
こうした身近な活動を知ることで、記念日が“遠い世の中の話”ではなく“自分の生活とつながる話”になるのです。
世界糖尿病デー(11月14日)と関わりの深い人物・団体・企業
この日を語るうえで、特に知っておきたい関係者・団体があります。
フレデリック・バンティング医師
バンティング医師は、カナダ出身の医師・研究者で、1922年にインスリンを発見しました(チャールズ・ベストらと共同研究)。
この発見は、1型糖尿病を“シャットダウン不可避の死”から“管理可能な疾患”へと変える医学史のターニングポイントとなりました。
彼の誕生日である11月14日が世界糖尿病デーの起点となるのは、まさにその功績を称えるものです。
国際糖尿病連合(IDF)
IDFは160以上の国・地域の糖尿病協会を束ねる国際的なネットワーク組織で、世界糖尿病デーの主導団体のひとつです。
この組織が、毎年のテーマ設定、啓発キャンペーンの構築、資料提供などを担っています。世界で1 billion(10億)以上の人々にリーチしたとも言われます。
世界保健機関(WHO)
WHOは、世界糖尿病デーを通じて「糖尿病は可防・可治の非感染性疾患である」というメッセージを発信し続けています。
例えば、2025年のテーマ「Diabetes across life stages(ライフステージを通じた糖尿病)」では、子どもから高齢者まで、あらゆる年齢層へのケアと支援が重要であると訴えています。
産業・医療・啓発活動企業/団体
また、製薬会社や医療機器メーカー、各国の糖尿病協会、患者支援団体なども、ブルーライトアップやSNSキャンペーン、啓発イベントでこの記念日に協力しています。
例えば、青いリボンバッジを配布したり、イベントで血糖測定の無料サービスを提供したりという動きもあります。
このように、世界糖尿病デーは個人・団体・企業が“ひとつの輪”として動く日でもあるのです。
世界糖尿病デー(11月14日)に関するよくある質問
Q1:この日だけ何をすればいいですか?
「この日だけ特別なことをしなければならない」というわけではありません。むしろこの日をきっかけに、糖尿病・生活習慣・自分の健康を振り返ることが大切です。
例えば、青い服を着る、家族や友人と血糖や運動・食事の話をする、近くの検査イベントに参加するなどが気軽に始められます。
重要なのは「気づき」から「行動」へつなげることです。
Q2:糖尿病ってどんな病気?誰がなりやすいの?
糖尿病とは、体がインスリンを十分に作れない、あるいはインスリンをうまく使えないために、血糖(ブドウ糖)が過剰になり、時間とともに様々な合併症を引き起こす病気です。
典型的には2型糖尿病が多く、肥満・運動不足・食事の偏り・家族歴・加齢などがリスクとなります。一方、1型糖尿病はインスリンがほとんど作れなくなるタイプで、予防は難しいですが、治療法が確立されています。
この病気が「若い人や働き盛りも無関係ではない」ことを、この記念日を通じて理解することが重要です。
Q3:日本ではどうやって参加・啓発できますか?
日本国内でも、11月14日前後には自治体・医療機関・地域の糖尿病協会などが「無料血糖測定」「講演会」「ブルーライトアップ」などのイベントを行うことがあります。まずは自分の住む市町村の保健所・糖尿病協会のウェブサイトをチェックしてみましょう。
また、自宅でできることとして、家族や友人と「次の1年間で何を健康のためにするか」を話し合ってみるのも有効です。「来年のこの日には、数値を改善して報告しようね」といった小さな約束が、行動に変わります。
まとめ――世界糖尿病デー(11月14日)だからこそできること
世界糖尿病デー(11月14日)は、ただの日ではありません。
インスリンを発見したバンティング医師の誕生日にちなみ、世界が「糖尿病という疾患」を共有の課題として捉え、啓発・予防・ケアを進める日です。
そして、「ブルーサークル」というシンボルのもとに、“ひとりひとり/ひとつの社会”が団結して動き出すきっかけとなります。
身近な家族・友人と「自分たちにできること」を話すだけでも、この日の意義が増します。
例えば、次の1年で「運動を少し増やす」「毎年血糖検査を受ける」「食事のバランスを見直す」といった“小さな変化”を約束してみてください。
青いライトの灯った建物を見かけたら、それは「あなたが気づきを新たにするサイン」です。
ぜひ今回、この記念日を機に、「私/あなた/家族」の健康と未来を見つめ直してみてください。

