●マトリ(麻薬取締官)の仕事内容と特徴まとめ
- マトリは厚生労働省に所属する国家公務員
- 規制薬物の捜査や監督、指導、啓発活動など多岐にわたる業務
- 特別司法警察員としての捜査権限を持つ
- 薬剤師資格を有する人材が6〜7割と高比率
- 危険で過酷な面もあるが、やりがいを感じる人が多い
- 勤務地は全国12拠点(地方厚生局など)
麻薬取締官(マトリ)という仕事に興味を持ったあなたへ
「薬剤師としての知識をもっと社会に役立てたい」
「公的機関で働きながら、薬物問題の解決に関わりたい」
そんな想いを抱く方にとって、マトリ(麻薬取締官)は大きな可能性を秘めた選択肢です。
とはいえ「マトリ」と聞くと、どこかドラマチックで特殊なイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか?
この記事では、薬剤師としてのバックグラウンドを持つ方や、マトリという仕事に興味を持つすべての方に向けて、そのリアルな業務内容、働き方、やりがい、そして実際の体験談までを掘り下げてご紹介します。
マトリ(麻薬取締官)の基本業務とは?
マトリの仕事は、テレビドラマで描かれるような「薬物犯罪の摘発」だけではありません。実際には、大きく分けて以下の3つの業務を担っています。
① 規制薬物の取締捜査
- 麻薬、覚醒剤、大麻、向精神薬、アヘン、指定薬物などの違法取引・使用の捜査
- 内偵(尾行や証拠撮影)、家宅捜索、取り調べ、逮捕
- 拳銃や手錠の使用も認められている
- 危険を伴う場面も多く、逮捕術や射撃訓練を日常的に行う
② 医療用麻薬などの監視・監督
- 病院・薬局・製薬会社などで扱われる医療用麻薬の管理状況を監査
- 流通・保管・使用方法が法的に適正であるかをチェック
- 違反が見つかれば、指導・是正を行う
- 製薬現場の知識や薬学的な視点が生かされる場面が多い
③ 薬物乱用防止の啓発・相談活動
- 学校や地域での講演活動(予防教育)
- 依存症患者への支援、相談、社会復帰サポート
- 地域や世代を問わず、幅広く人と関わる業務
マトリの1日の流れ【配属先ごとに異なる】
麻薬取締官の仕事は、配属部署によってまったく異なります。以下に代表的な一日をご紹介します。
捜査課(捜査担当)
- 9:00 出勤、前日の捜査結果の報告・整理
- 11:00 逮捕術訓練・射撃訓練
- 13:00〜 内偵捜査(尾行・証拠撮影など)
- 17:00 捜査会議・報告書作成
- 18:30 退勤(ただし残業・深夜勤務あり)
調査総務課(行政・監督担当)
- 8:50 出勤、事務処理(許認可・申請書チェック)
- 11:00 製薬会社への立ち入り検査
- 15:00 帰庁、報告書作成、申請審査
- 21:00 退勤
鑑定課(分析担当)
- 8:30 出勤、鑑定試験の準備
- 9:00〜15:30 押収薬物や検体の分析(成分鑑定、DNA検査など)
- 17:00 片付け・日報作成
- 17:15 退勤
薬剤師資格を持つマトリの活躍フィールド
麻薬取締官の6〜7割は薬剤師免許を持っています。薬剤師だからこそ強みになる点が多数あります。
- 薬物の化学的知識を生かせる:鑑定課での分析業務などで専門性が重宝される
- 医療現場との橋渡しができる:病院・薬局の実態に精通している
- 監査や指導に説得力がある:医薬品の扱いに理解があることで現場の信頼を得やすい
マトリの現場からの声:インタビューで明らかになった実情
実際に現場で働く麻薬取締官(仮名:真鳥さん)のインタビューでは、こんなリアルな声が寄せられています。
- 「地道で体力のいる仕事。でも、そのぶん成果が出たときの達成感は大きい。」
- 「薬物依存者が社会復帰したという報告があると、やっていてよかったと実感する」
- 「服装や髪型も捜査に合わせてラフ。だけど情報管理は徹底。SNSも使わない」
マトリは派手なドラマ的なイメージとは裏腹に、地味で緻密な仕事の積み重ね。それでも「正義感」や「社会貢献」が強く求められ、やりがいを見出す人が多くいます。
マトリの仕事に向いている人の特徴
以下のような性格・価値観を持つ人が、マトリに向いているとされています。
- 強い正義感を持っている
- 粘り強く、地道な仕事が苦にならない
- 高い倫理観を持ち、公私の線引きができる
- チームワークや協調性を重んじる
- 薬学的知識や分析力を実務で生かしたい人
マトリに関するよくある質問
Q1. 薬剤師免許があればマトリになれる?
→ はい。29歳以下で薬剤師国家試験に合格していれば、特別枠での採用試験(論文・面接など)を受けることが可能です。
Q2. 危険な仕事ではないですか?
→ 捜査業務は危険を伴いますが、訓練や装備、チーム体制でリスクを最小限に抑えています。また、薬剤師として行政監査や分析業務に従事するポジションもあります。
Q3. 女性でもマトリになれますか?
→ もちろん可能です。現在マトリ全体の2割程度が女性で、女性対象者の取り調べや尾行などで活躍しています。
薬剤師がマトリを目指す価値とは?
マトリの仕事には、薬剤師としての「知識」と「使命感」を最大限に発揮できる舞台があります。
薬物の正しい知識を持ち、医療現場の現実を理解している薬剤師だからこそ、社会にできる貢献があります。
医療用麻薬の管理・監査、薬物依存の再発防止、分析業務など多方面で活躍できるのがマトリの魅力です。
安定した国家公務員としての待遇と、命に直結する薬物問題に立ち向かうやりがい。
それらを両立したい方にとって、麻薬取締官という職業は、間違いなく魅力的な選択肢と言えるでしょう。
