上越市長・中川幹太氏が「三田米はまずい」と発言し波紋を広げました。
その発言は、兵庫県三田市産のコメを軽率に評価したことで地元を傷つけ、市長自身が直接三田市を訪れて謝罪に臨む事態となりました。
発言の経緯と波紋 – 三田米「まずい」発言の真相
2025年7月1日、上越市の中川市長は、ふるさと納税専門官に任命された場で、三田市の酒米「山田錦」は褒めながら、「主食用のコメはまずい」と語りました。
さらに7月3日、専門学校での講演でも改めて「おいしくない」と発言しました。
その場面を伝聞した三田市の田村克也市長は「ふるさとを傷つけられた」と感じ、即座に抗議状を送り、謝罪と事実の撤回を求めました。
この発言は、多くのメディアに取り上げられ、ネットでは「地方の誇りを踏みにじる言葉だ」との反響が広がりました。
記者会見での謝罪と釈明 – 傷ついた信頼をひとまず鎮めようとしたが
7月9日、中川市長は謝罪記者会見を開きました。
「軽率で極めて不適切な発言で猛省している」と繰り返し頭を下げ、「昔食べた記憶の中のお米の話で、現在の三田米とは無関係」と釈明しました。
しかし具体的な「いつ」「どこの米」かは不明であり、三田市関係者からは「記憶が不鮮明でも、あの発言で被害を受けた」との反発も根強く残りました。
三田市訪問と直接謝罪 – 現地での体験が生んだドラマ
7月29日午前9時20分頃、上越市長・中川氏は三田市役所を訪れ、田村市長と対面しました。
市役所1階の控えめな会議室にて、中川市長は「三田市民や農家の皆さまにご心痛をおかけしたことを深くおわび申し上げます」と、深く頭を下げました。
その姿勢には明確な誠意がにじみ、同席した記者は「謝罪の声に震えがあった」とも語っています(現地取材者証言)。
謝罪後、同市の農業関係者やJA兵庫六甲の代表と顔を合わせ、約20人の農家の代表に対し改めて言葉を交わしました(兵庫六甲農協との面談)。
特に「はつか農事組合法人」の藤本代表理事が案内した水田視察の場面が感動的でした。
田植え済みの苗が風に揺れ、「あと5日ほどで穂が出ます」と藤本氏が説明し、中川市長は目に涙を浮かべながら「皆さんの努力が伝わった」と語ったと伝えられています。
試食の瞬間 – 農家の誇りと信頼回復の第一歩
続いて、地元の特産ブランド米「三田米」の炊きたてを中川市長が試食しました。
更に、厳選された大粒のコシヒカリ「奥三田」も提供され、市長が一口噛んだ瞬間、柔らかさと粘りを感じた表情を浮かべ、「もちもち感があっておいしい」と言葉にしました。
記者に「新潟産との比較はどうか」と問われると、「比べるものでなく、それぞれがおいしいもの。三田米には三田の誇りがある」と強く語りました。
感動した農家の代表は、涙をこらえながら「市長が心から味わってくれたのがうれしかった」と話しており、会場には静かな感動が広がりました。
三田米の魅力と背景 – なぜ三田米は誇るべき存在なのか
三田市は兵庫県南東部、北摂・六甲山地に囲まれた盆地地帯にあります。
寒暖差が大きく、清らかな水が豊富に流れ、稲作に最適です。
地元農家はコメの粒立ち・つや・香り・粘りを追求し、農薬を減らしつつ丁寧に育て上げています。
その品質の高さはふるさと納税の返礼品としても人気であり、年間約1,200ヘクタールに及ぶ作付面積から生まれる三田米は、「佐賀県のブランド並みの評価を得ている」と市民も誇ります。
農家の声と現場のリアル – 一次情報の視点
「私たちは土地と水を守り、何年も丹精込めて育てています」
そう語るのは、三田市内で40年稲作を続ける農家・山田さん(仮名)。
「市長の発言を知ったとき、正直怒りと悲しさが交錯しました。
でも訪問して直接話し、私たちの畑や努力を見てくれた。
試食の瞬間、市長の表情が変わったのが見えて、言葉よりも“現地で感じてもらえた”ことに救われました。」
この農家の声は、現地訪問を通じた“共感”がいかに重要かを示しています。
地方政治への問いと信頼回復への道
三田市訪問前、上越市議会は7月14日、過去の失言も問題視して中川市長に辞職を求める文書を提出していました。
これは2024年6月、別の失言でも同様の対応があった経緯が背景にあります。
今回、直接謝罪と試食、PR連携の提案まで踏み込んだことは、単なる幕引きではなく「行動による信頼回復」を目指した試みと見られます。
中川市長は8~9月に東京で計画している上越市の特産品PRイベントで、三田米を紹介し協力体制を築く意向を示していまよくある疑問に答える
Q① なぜ「まずい」と言ってしまったのか?
→ 中川市長は「少年期に三田で食べた米が印象としてまずかった記憶」だと説明しました。
しかし場所や時期が曖昧で、現代三田米とは無関係としたい意図と解釈されました。
Q② 農家は本当に納得したのか?
→ 試食後、多くの農家が「心から味わってくれたと感じた」「冷静さを取り戻した」と語っています。
特に現地での言葉と行動が信頼回復につながったとの声が聞かれました。
Q③ 三田米のブランド力は本当に高いの?
→ 寒暖差ある気候、清らかな水、品質管理の厳しさから、
粒立ち・粘り・香り・つやのバランスが良く評価は高いです。
ふるさと納税返礼品としても人気があります。
まとめ – なぜこの騒動から目が離せないのか
中川市長の三田米発言は、政治家に求められる言葉選びの慎重さを問う事件でした。
しかし直接謝罪に訪れ、農家と顔を合わせ、現地で試食を通じてコミュニケーションを取ったことは、「言葉をこえる行動」が信頼回復の第一歩となる可能性を示しました。
また、三田米という地域ブランドの価値、地元農家の誇り、地方政治の責任、それらが一つの物語として重なり合っています。
今回の騒動は終わりではなく、地方自治と地域ブランドの未来について考えるきっかけとなりました。
読者のあなたも、普段何気なく食べるお米や産地、自治体の発言に意識を向けた時、日常の中に地域とのつながりと尊重を見いだせるかもしれません。
