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夏の土用の丑の日(7月・8月)とは?なぜうなぎ?五行思想・平賀源内との関係まで徹底解説

夏の土用の丑の日に関するうなぎや季節の食材を取り入れたカラフルな紙アート

玄関を開けた瞬間、むわっと押し寄せる熱気。

アスファルトの照り返し、蝉のけたたましい声、冷房の効いた部屋から一歩出るのも億劫になる真夏。

そんな中、どこからともなく香ばしい香りが漂ってきたら、それは「夏の土用の丑の日」が近づいている合図かもしれません。

「丑の日にはうなぎを食べる」。

もはや定番になったこの風習ですが、なぜ「丑の日」なのか?

どうして「うなぎ」なのか?

実はこれ、思っている以上に奥深い文化と知恵の結晶なんです。

この記事では、「夏の土用の丑の日」がどんな記念日なのか、いつ頃から、誰が、どんな理由で始めたのか、そして私たちが毎年なぜうなぎを食べているのか――

その秘密を、食文化・暦・健康・歴史の視点からひも解きます。

うな重を味わいながら、ちょっと誰かに話したくなる豆知識を知ってみませんか?

目次

夏の土用の丑の日はどんな日?

✅夏の土用の期間に訪れる「丑の日」
✅精をつけるためにうなぎを食べる風習
✅江戸時代に広まった民間の知恵

「夏の土用の丑の日」の由来とは?季節の境目に栄養を!

「土用(どよう)」とは、私たちが普段使う“土曜日”とは全く異なる意味を持っています。

土用とは、古代中国の自然哲学「五行思想」に由来する、日本の暦の一部です。

五行とは、万物が「木・火・土・金・水」の5つの元素から構成されているという考え。

春=木、夏=火、秋=金、冬=水。

そして、残った「土」は季節と季節の狭間、いわば“バッファ”のような役割を果たす期間にあてがわれ、「土旺用事(どおうようじ)」、略して「土用」と呼ばれました。

この土用は年に4回。立春・立夏・立秋・立冬の直前、約18日間が該当します。

つまり「夏の土用」は、立秋(8月7日頃)の前の約18日間。

この間に、十二支でいう「丑の日」が巡ってくる日が、「夏の土用の丑の日」なのです。

年によってはこの期間に「丑の日」が2回来ることがあり、それぞれ「一の丑」「二の丑」と呼ばれます。

例えば、2025年の「夏の土用の丑の日」は、

  • 一の丑:7月19日(土)
  • 二の丑:7月31日(木)

となっています。

なぜ「うなぎ」?丑の日に食べる意味とその効果

では、なぜ「丑の日」には「うなぎ」なのでしょうか?

その理由は、大きく分けて3つあります。

①「う」のつくものを食べる習慣

もともと丑の日には、「う」が付く食べ物を食べると夏負けしないという言い伝えがありました。

「うなぎ」だけでなく、「うどん」「梅干し」「瓜(うり)」なども候補。

この時点では、必ずしも「うなぎ」でなければならないという決まりはなかったのです。

②うなぎの栄養価の高さ

うなぎは古くから滋養強壮に良いとされ、特に夏バテ予防に効果的。

ビタミンA・B1・B2・D・E、そしてDHAやEPAも豊富で、体力低下や食欲不振の時期にはぴったりの食材です。

皮膚や粘膜の健康維持、疲労回復、抗酸化作用など、多くの面で「夏を乗り切るための食材」として理にかなっているのです。

③江戸時代のマーケティングの成果?

この風習を全国的に広めたのは、江戸時代の発明家・平賀源内(ひらが げんない)です。

夏は売れないうなぎを何とかしたいという鰻屋から相談を受けた源内は、「土用の丑の日にうなぎを食べると元気になる」と書いた貼り紙をすすめました。

これが評判を呼び、多くの鰻屋が真似をして、大流行。

まさに“キャッチコピー”の力で、文化が根づいた瞬間でした。

彼の手腕は、「日本最古のコピーライター」として語られることもあるほどです。

平賀源内ってどんな人?「土用のうなぎ」の仕掛け人

平賀源内(1728年~1780年)は、江戸時代中期の多才な発明家・学者・作家・医者・画家であり、まさにマルチクリエイター。

オランダからの医学や技術を学び、日本に伝える「蘭学者」としても知られ、エレキテル(静電気発生装置)の復元や鉱山の開発、芝居の脚本、風刺小説の執筆まで幅広く活躍しました。

そんな源内が、商売不振の鰻屋に貼り紙を提案したというのは、「科学者」であると同時に「庶民の暮らしに目を向ける商人」でもあったことを示しています。

「うなぎ=スタミナ」という定着は、彼の発想から始まったとも言えるのです。

現代のうなぎ事情とサステナブルな選択

しかし現代では、「うなぎ」は資源としての問題も指摘されています。

日本うなぎ(ニホンウナギ)は2014年に国際自然保護連合(IUCN)の「絶滅危惧種」に指定され、乱獲や環境破壊、海流の変化などで生息数が激減。

こうした背景から、持続可能な消費行動として「国産養殖うなぎの選択」や「認証制度(ASC認証など)」への注目が集まっています。

また、代替食材として「うなぎ風」の豆腐やナス、こんにゃく、さらには植物性たんぱくを使用したヴィーガン鰻なども登場。

夏の土用の丑の日を楽しみながら、自然と共に生きる選択肢も、これからのスタンダードになっていくかもしれません。

夏の土用の丑の日に関するよくある質問

Q1:夏の土用の丑の日にうなぎを食べないといけない?
→必須ではありません。「う」のつく食べ物やスタミナ食であればOKです。

Q2:年に2回ある丑の日、どちらが本命?
→一の丑がメインとされますが、二の丑も近年では同様にうなぎを楽しむ日として定着しています。

Q3:スーパーや飲食店のうなぎの価格が上がっている理由は?
→資源保護の観点や輸入コストの上昇、国産の人気などによる影響です。


まとめ:夏の土用の丑の日は「知るほど味わい深い記念日」

「夏の土用の丑の日」は、ただの“うなぎの日”ではありません。

自然哲学に基づく暦、先人の知恵、健康への配慮、そして江戸のユーモアとマーケティング。

それらが一体となって今に伝わる、日本文化の粋ともいえる日です。

今年の丑の日は、ただ「うなぎを食べる」だけでなく、その背景にある物語や人々の知恵に想いを馳せながら、少しだけゆっくり噛みしめてみてください。

きっと、味も心にも染み渡る「丑の日」になるはずです。

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